トラップ
2000年代の米国南部で成立した、ハイハットの細かい刻みと808ベースを特徴とするHip Hop。
まずはここから
ひとことで言うと2000年代の米国南部で成立した、ハイハットの細かい刻みと808ベースを特徴とするHip Hop。
まずはこの曲からYoung Thug — Stoner ▶ YouTube
代表的な人Migos
どんな音か
南部ヒップホップの一系統。テンポはBPM130〜170(1分間の拍数)とかなり速い。だが手拍子(スネア)が2拍に1回しか入らないため、聴いていて感じる速さはその半分くらい、ゆったりしたものになる。これをハーフタイムと呼ぶ。だから一発一発が重く着地する。音作りの核は三つ。一つ目は「サブベース」と呼ばれる、とても低い音だ。ドラムマシン『808』のキック(バスドラム)を極端に低く長く伸ばし、それをそのままベースの旋律として鳴らす。二つ目は、『タカタカタカ』と細かく連打されるハイハット。1拍を細かく4つに割った刻み(16分)と、1拍を3分割する3連符(トリプレット)を、曲の途中で切り替える。三つ目は、持続音のシンセが作る、ホラー映画を思わせる不穏なメロディだ。これらに加えて、ヴォーカルはオートチューンで加工され、歌とラップの中間のような節回しになる。歌詞は薬物売買、ストリート、贅沢、自己肯定が多い。仕上げの音作りで中域を削って低音を前に出すので、腹に響く重低音になる。そしてこの重低音の上に、乾いた手拍子(クラップ)がパチンと乗る。
このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。
聴きどころ
ハイハットの「タカタカタカタ」という細かい刻みに注目したい。途中でこれが倍速になる瞬間や、3連符に切り替わる瞬間が、トラップらしい盛り上げどころだ。808のサブベース・キックが「ドゥーン」と長く伸びる音色、オートチューンで音程が機械的に揺れるヴォーカルの艶、そして暗く不穏な響きのシンセが作る陰った気分も聴きどころになる。
初めて聴くなら
代表アーティスト
- Migos
- Travis Scott
- Future
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- Future
- Young Thug
- RL Grime
- Metro Boomin
- 21 Savage
- Lil Baby
代表曲
- Young Thug — Stoner (2014)
- Migos — Bad and Boujee (2016)
- Travis Scott — Goosebumps (2016)
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- Future — Mask Off (2017)
- Travis Scott — SICKO MODE (2018)
生まれた背景
2000年代初頭、米国南部アトランタ。T.
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I.のアルバム『Trap Muzik』(2003)で「Trap」という言葉が一般化した(「trap house」=麻薬の販売所のこと)。続いてGucci Mane、Young Jeezyが2000年代半ばに歌詞世界を作る。サウンド面では、Shawty ReddやDJ Toompが2000年代後半に808中心の暗い音像を先導し、Lex Lugerが2010〜11年に大音量の808サウンドを量産・標準化した。ZaytovenやMike WiLL Made-Itもこの時期に主要プロデューサーとなる。Migosは2013年「Versace」、2016年「Bad and Boujee」で、3連符に乗せてたたみかけるラップの節回し(トリプレット・フロー)を世に広めた。起源は1990年代のThree 6 Mafiaらにさかのぼるが、これを主流化させたのがMigosで、以降のラッパーが学ぶ雛形になった。2010年代後半、Futureはオートチューンの哀愁を一つの様式にまで高めた。Travis Scottは同じ808を土台に映画的で巨大な音響を組み立て、21 Savage、Lil Baby、Cardi Bらがそれをポップの主戦場へ運んだ。クラブ向けの電子ダンス音楽(EDM)にも広がり、「Trap EDM」(Baauer『Harlem Shake』2013など)も派生した。ストリートの符牒だった一語が、いまやポップの共通言語になっている。
その後の代表曲
- 21 Savage — Bank Account (2017)
- Lil Baby — Drip Too Hard (2018)
- Future — Life Is Good (2020)
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- Metro Boomin — Creepin' (2022)
日本との関係
豆知識
「808」と呼ばれるサブベース・キックは、1980年発売のローランドTR-808リズムマシンのキック音だ。発売当時は「リアルなドラムに聞こえない」との評で売れ行きが振るわず(出荷は1万2000台未満)、約3年で生産終了になった。
影響・派生で結ばれたジャンル
もっと見る(あと22件と系譜図)
感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
トラップが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
