アンビエント
1970年代にBrian Enoらが提唱した、空間の雰囲気を作る非リズム中心の電子音楽。
どんな音か
リズム・ビート・ボーカルがほぼ存在しない(あっても極端に薄い)音楽。シンセサイザーのパッド、フィールドレコーディング(自然音、街の音)、ピアノやギターの単音、テープによるループが空間に静かに置かれる。曲尺は5分から30分、アルバム単位で60分超のものも珍しくない。「曲を聴くため」というよりは「空間の音色そのもの」を体験するための音楽として作られている。録音は残響を重視し、メロディは循環するか、もしくはまったく存在しない。
生まれた背景
1978年、イギリスのブライアン・イーノが『Music for Airports』を発表し、自分の音楽を「アンビエント」と名付けたのが始まり。空港で乗客の気分を落ち着けるための音楽として構想された。実は同時期、アメリカ合衆国ではミニマル・ミュージック(テリー・ライリー、フィリップ・グラス、スティーヴ・ライヒ)、フランスではサティの『家具の音楽』が先行する系譜にあり、これらが20世紀後半に合流した。1990年代にエイフェックス・ツインの『Selected アンビエント Works』、Stars of the Lid、ウィリアム・バシンスキらが現代アンビエントを定型化。2010年代以降、YouTubeの『lofi hip hop radio - beats to relax/study to』が地球規模のアンビエント受容を再起動した。
聴きどころ
「メロディがない」ことの聴き方。同じパッドが何分も延々と鳴り続けるなかで、わずかに揺れるピッチ、フェードイン/アウトのタイミング、フィールドレコーディングが何の音か(風?水?電車?)。耳を澄ますためというより、音と一緒に何か別の作業をするための音楽として設計されている曲も多い。
代表アーティスト
- Harold Budd
- Brian Eno
- Aphex Twin
- Boards of Canada
- Stars of the Lid
- Fennesz
代表曲
- Music for Airports 1/1 — Brian Eno (1978)
- An Ending (Ascent) — Brian Eno (1983)
- Requiem for Dying Mothers — Stars of the Lid (2001)
Tomorrow Never Knows (ambient) — Brian Eno (1983)
Madrigal Meridian — Harold Budd (1980)
日本との関係
初めて聴くなら
始祖を1枚なら、Brian Eno『Music for Airports』(1978)。日本のものなら、Hiroshi Yoshimura『Music for Nine Post Cards』(1982)。仕事や勉強の合間にBGMにしたいなら、Stars of the Lid『The Tired Sounds of Stars of the Lid』。寝る前に聴くなら、William Basinski『The Disintegration Loops』。
