ヒップホップ・R&B

クラウドラップ

Cloud Rap

アメリカ合衆国 / 北米 · 2009年〜

2010年頃SoundCloudで成立した、空気感あるアンビエント的ビートと夢幻的ヴォーカルを特徴とするHip Hopサブジャンル。

どんな音か

クラウドラップは、霞んだシンセ、薄いドラム、夢の中のようなサンプルを背景に、力を抜いたラップが乗る音楽。Clams Casinoのビートは声の断片が霧のように広がり、Lil Bは技巧より存在感とムードで押す。A$AP Rockyの初期曲では、低く遅いラップと空間的なビートが、夜のネット画面のような浮遊感を作る。

生まれた背景

2009年頃からSoundCloud、Tumblr、YouTubeを中心に広がった。南部ヒップホップの遅い感覚、アンビエント、チョップド&スクリュード、インターネットのミーム文化が重なり、ラップの攻撃性よりムードを重視する流れが生まれた。高価なスタジオより、ネット上の共有と個人制作が強い推進力だった。

聴きどころ

ラップの言葉を全部追うより、声がビートにどれくらい溶けているかを聴く。キックやスネアは硬くても、上ものは遠くにぼやける。サンプルが歌のように聞こえる部分、ラップが独り言のように低く沈む部分が、クラウドラップの感触になる。

発展

A$AP Rocky『LiveLoveA$AP』(2011)で広く知られた。Witch House、Vaporwaveと美学的に近接。

出来事

  • 2009: Lil B『6 Kiss』 / 2011: A$AP Rocky『LiveLoveA$AP』 / 2011: Clams Casino『Instrumental Mixtape』

派生・影響

SoundCloud Rap、Witch House、Vaporwave、Trap。

音楽的特徴

楽器DAW、サンプラー、シンセ、Auto-Tune

リズム60-90 BPM、アンビエント・ビート、深いリバーブ

代表アーティスト

  • A$AP Rockyアメリカ合衆国 · 2007年〜
  • Lil Bアメリカ合衆国 · 2007年〜
  • Clams Casinoアメリカ合衆国 · 2009年〜
  • SpaceGhostPurrpアメリカ合衆国 · 2010年〜

代表曲

日本との関係

日本ではSoundCloud以降のネットラップ、ローファイ、トラップの受容と一緒に知られた。大きなテレビ的流行ではないが、若いラッパーやビートメイカーが、空間的なシンセや脱力したフロウを取り入れる例はある。アニメ画像を使った投稿文化とも近い距離にある。

初めて聴くなら

ビートの原型を知るなら「I'm God — Clams Casino (2011)」。ネット的な脱力感は「Wonton Soup — Lil B (2010)」。ラップ作品として入りやすいのは「Peso — A$AP Rocky (2011)」や「Live.Love.A$AP — A$AP Rocky (2011)」だ。

豆知識

クラウドラップのcloudは、音の霞みだけでなく、クラウド上で広がる音楽という感覚にも合っている。スタジオより先に、リンク、動画、画像、タグでムードが共有されたジャンルである。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代2000年代クラウドラップクラウドラップヒップホップヒップホップウィッチハウスウィッチハウス凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
クラウドラップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 2009年前後 (±25年)

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