ヒップホップ・R&B

UKドリル

UK Drill

ロンドン / イギリス / 西ヨーロッパ · 2012年〜

2010年代のロンドンで成立した、低速のスライドベースとダーク歌詞のHip Hopスタイル。

どんな音か

BPM 140〜150のヒップホップだが、ハーフタイムで聴くと70〜75。ハイハットの細かい刻み、スライド・ベース(音程が滑るシンセ・ベース)、シンセ・ストリングス、暗いマイナーキーの旋律。ヴォーカルはほぼ全員ロンドン訛り、半分囁き半分ラップの暗い語り口。歌詞は英語(ロンドン特有の俗語が多い)、テーマはストリート暴力、ナイフ、薬物売買、警察との対立、ギャング抗争。録音は重低音とパーカッションが前面、ヴォーカルが冷たい質感。

生まれた背景

2014年頃のロンドン南部、特にBrixton(ブリクストン)の若者集団「67」がシカゴ・ドリルを直接の参照点にして始めた。Section Boyz、67、150、SneakBo、Grizzy、Loski、Headieoneらが2014〜18年にシーンを形成。2018〜19年にHeadie One、Skengdo & AM、AJ Tracey、Digga Dらがイギリスメインストリーム・チャートに到達。アメリカ合衆国に逆輸入されてPop Smoke(NY、2020年に20歳で殺害)、Fivio Foreignが「ブルックリン・ドリル」を派生させた。フランスオランダオーストラリアでもローカルな派生が出ている。

聴きどころ

シカゴ・ドリルとの違い: UKドリルはハイハットがより細かく刻まれ、ベースが「滑る(slide)」音程変化を多用。スネアが2&4ではなく、ずらした位置に置かれることも多い(独特のシンコペーション)。ロンドン訛り(コックニー寄り、ジャマイカ系も含む)の語り口。

代表アーティスト

  • Headie Oneイギリス · 2014年〜
  • Central Ceeイギリス · 2015年〜
  • Digga Dイギリス · 2017年〜
  • Russ Millionsイギリス · 2018年〜

代表曲

日本との関係

BAD HOP、Awich、JP THE WAVY、Tohjiなど日本ヒップホップ・アーティストが2018年以降にUK/ブルックリン・ドリルの語法を直接取り入れた楽曲を発表している。Pop Smokeの来日公演は実現しなかった(2020年2月に殺害された)。

初めて聴くなら

起点を1曲なら、67『Lets Lurk』(2015)。商業ピーク期の代表なら、Headie One『18Hunna』(2018)、Digga D『No Diet』(2019)。ブルックリン・ドリル経由なら、Pop Smoke『Welcome to the Party』(2019)。

豆知識

UKドリルの楽曲はイギリスでgang抗争を煽る歌詞内容が問題視され、警察(ロンドン警視庁)が約1500本のYouTube動画を削除要請したり、特定のラッパーに「同じ歌詞内容の曲を作ったら逮捕」という法廷命令(英国独自の「Criminal Behaviour Order」)が出されたケースがある。Skengdo & AMは2018〜19年に「特定の曲を演奏してはいけない」という命令を破って実刑判決を受けた、世界初の事例とされる。

影響・派生で結ばれたジャンル

UKドリルを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

UKドリル の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 2012年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る