マンブル・ラップ
2010年代中盤に台頭した、不明瞭な発音・反復的フックを特徴とするTrap派生Hip Hop潮流。
どんな音か
生まれた背景
2010年代中盤、アトランタ以後のトラップとSoundCloud世代の中で台頭した。古典的なリリック技術を重んじるリスナーから批判的に名付けられた面もあるが、若い世代には声のリズムとムードを優先する新しいラップとして受け入れられた。
聴きどころ
歌詞の明瞭さより、声がビートにどう溶けるかを聴く。短いフレーズを繰り返すうちに、意味より音の中毒性が前に出る。ハイハットの細かさと低音の揺れが、声の曖昧さを支える。
発展
2016-18年メインストリーム化、批評的議論を巻き起こしつつ、2020年代も主流として継続。
出来事
- 2014: Future『Monster』 / 2015: Young Thug『Barter 6』 / 2017: Migos『Culture』
派生・影響
Trap、SoundCloud Rap、Cloud Rap。
音楽的特徴
楽器DAW、TR-808、Auto-Tune、サンプラー
リズム120-160 BPM、トリプレットフロー、反復フック
代表アーティスト
- Future
- Playboi Carti
- Lil Pump
代表曲
- Best Friend — Young Thug (2015)
- Gucci Gang — Lil Pump (2017)
- Magnolia — Playboi Carti (2017)
- ESSKEETIT — Lil Pump (2018)
- Mask Off — Future (2017)
日本との関係
初めて聴くなら
入口は「Mask Off — Future (2017)」。メロディの軽さは「Magnolia — Playboi Carti (2017)」。極端に短いフックの中毒性なら「Gucci Gang — Lil Pump (2017)」がよい。
豆知識
マンブル・ラップはしばしば批判語として使われる。だが、発音の曖昧さは怠慢だけでなく、声をリズムと音色に変える表現として機能している。Futureのメロディックな発声やPlayboi Cartiのアドリブを聴くと、言葉の明瞭さよりも声の輪郭そのものがフックになることが分かる。 ライブでは観客がフックやアドリブを一緒に叫ぶことで、聞き取れない言葉も共同体の合図として機能する。
