ヒップホップ・R&B

マンブル・ラップ

Mumble Rap

アトランタ / アメリカ合衆国 / 北米 · 2014年〜

2010年代中盤に台頭した、不明瞭な発音・反復的フックを特徴とするTrap派生Hip Hop潮流。

どんな音か

マンブル・ラップは、はっきり発音するラップより、声の質感、反復フック、メロディの脱力を重視するトラップ系の潮流。FutureやPlayboi Cartiの曲では、言葉は意味より音色として流れ、808と一体化する。曖昧な発音が、酩酊感や気だるさを作る。

生まれた背景

2010年代中盤、アトランタ以後のトラップとSoundCloud世代の中で台頭した。古典的なリリック技術を重んじるリスナーから批判的に名付けられた面もあるが、若い世代には声のリズムとムードを優先する新しいラップとして受け入れられた。

聴きどころ

歌詞の明瞭さより、声がビートにどう溶けるかを聴く。短いフレーズを繰り返すうちに、意味より音の中毒性が前に出る。ハイハットの細かさと低音の揺れが、声の曖昧さを支える。

発展

2016-18年メインストリーム化、批評的議論を巻き起こしつつ、2020年代も主流として継続。

出来事

  • 2014: Future『Monster』 / 2015: Young Thug『Barter 6』 / 2017: Migos『Culture』

派生・影響

Trap、SoundCloud Rap、Cloud Rap。

音楽的特徴

楽器DAW、TR-808、Auto-Tune、サンプラー

リズム120-160 BPM、トリプレットフロー、反復フック

代表アーティスト

  • Futureアメリカ合衆国 · 2010年〜
  • Playboi Cartiアメリカ合衆国 · 2011年〜
  • Lil Pumpアメリカ合衆国 · 2016年〜

代表曲

日本との関係

日本の若いラッパーにも、脱力したフロウや反復フックの影響が見られる。日本語は発音が比較的明瞭に聞こえやすいが、声を音色として扱う発想はトラップ以降の日本語ラップにも入っている。

初めて聴くなら

入口は「Mask Off — Future (2017)」。メロディの軽さは「Magnolia — Playboi Carti (2017)」。極端に短いフックの中毒性なら「Gucci Gang — Lil Pump (2017)」がよい。

豆知識

マンブル・ラップはしばしば批判語として使われる。だが、発音の曖昧さは怠慢だけでなく、声をリズムと音色に変える表現として機能している。Futureのメロディックな発声やPlayboi Cartiのアドリブを聴くと、言葉の明瞭さよりも声の輪郭そのものがフックになることが分かる。 ライブでは観客がフックやアドリブを一緒に叫ぶことで、聞き取れない言葉も共同体の合図として機能する。

影響・派生で結ばれたジャンル

マンブル・ラップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

マンブル・ラップ の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 2014年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る