サウンドクラウド・ラップ
2010年代中盤SoundCloudで成立した、Lo-fi録音・歪み多めの808・Emo/Punk的歌唱を特徴とするHip Hop潮流。
どんな音か
サウンドクラウド・ラップは、粗い録音、歪んだ808、短いフック、エモやパンクの感情を抱えた2010年代のネット発ヒップホップ。Lil Peepはギターの悲しさをトラップに混ぜ、XXXTentacionは叫びと囁きを極端に行き来する。
生まれた背景
2014年頃からSoundCloudを中心に、若いラッパーがレーベルを通さず曲を公開し始めた。スマホ、SNS、短い曲、派手な髪やタトゥーのビジュアルが一体となり、ヒップホップのスターの作られ方を変えた。
聴きどころ
音質の荒さを欠点としてだけ聴かず、感情の近さとして捉えるとよい。808が割れ、声が歪み、フックが何度も繰り返される。歌とラップの境目が曖昧なところも重要だ。
発展
2017年Lil Pump『Gucci Gang』、XXXTentacion『SAD!』(2018)で大衆化。Lil Peep没(2017)、XXXTentacion没(2018)以降、シーンの中心は Emo Rap/Drillへ移動した。
出来事
- 2015: Lil Peep活動本格化 / 2017: Lil Pump『Gucci Gang』 / 2017: Lil Peep没
派生・影響
Trap、Cloud Rap、Emo Rap、Mumble Rap。
音楽的特徴
楽器DAW、サンプラー、TR-808、Auto-Tune
リズム80-160 BPM、Lo-fi 808、エモコード進行
代表アーティスト
- Playboi Carti
- XXXTentacion
- Lil Peep
- Lil Pump
代表曲
- Awful Things — Lil Peep (2017)
- Gucci Gang — Lil Pump (2017)
- Look at Me! — XXXTentacion (2017)
- SAD! — XXXTentacion (2018)
Star Shopping — Lil Peep (2015)
日本との関係
初めて聴くなら
エモ寄りなら「Star Shopping — Lil Peep (2015)」。短い中毒性なら「Gucci Gang — Lil Pump (2017)」。暗い感情とヒット性の両方を聴くなら「SAD! — XXXTentacion (2018)」がよい。
豆知識
このジャンルは音だけでなく、投稿場所、画像、コメント欄、SNSの拡散まで含めて成立した。完成度より先に、今この瞬間の感情が出ていることが価値になった。曲が短く、ミックスが荒く、ジャケット画像が粗くても、それがむしろ距離の近さとして機能し、従来のデビュー手順を飛び越えた。 従来のアルバム中心の評価より、単曲の拡散、短い動画、コメント欄の反応がスターを作る仕組みを前面に出した。 その一方で、早すぎる成功や薬物、メンタルヘルスの問題も表面化し、ジャンルの明るさと危うさは切り離せない。
