ポップ

ハイパーポップ

Hyperpop

オンライン / 国際 / 北米 · 2014年〜

2010年代後半に台頭した、ピッチアップヴォーカル・歪み・極端な多層化を特徴とするポップ音楽。

どんな音か

BPM 130〜170、ポップを「過剰に整え、過剰に甘く、過剰に歪ませる」感覚で再構成した電子ポップ。シンセサイザー、ピッチ調整したヴォーカル(オートチューン、ピッチシフト)、極端に歪んだ808ベース、メタリックなパーカッション、ボイス・サンプル。曲尺は1分半〜2分半と短く、TikTok時代の感覚に最適化されている。歌詞は恋愛、自己肯定、過剰な感情、薬物、インターネット文化。録音はわざと「壊れている」ような歪みとクリッピングを残す。

生まれた背景

2013年頃のロンドンで、A. G. Cookが立ち上げたバブルガム・ベースが起点。SOPHIE、Hannah Diamond、QT、Charli XCX周辺で「ポップを真面目に解体する」実験が始まる。2018〜19年にDylan BradyとLaura Lesによる100 gecsが、その美学にエモスカ、ニュー・メタルの破片を投げ込み『1000 gecs』(2019)を発表。2019年、Spotifyの編集者がプレイリスト「hyperpop」を作って一気にジャンル名が定着。Charli XCX『how i'm feeling now』(2020)、『Crash』(2022)、『brat』(2024)で完全に主流ポップに到達した。

聴きどころ

オートチューンの極端な使い方(SOPHIEの曲では声がほぼ楽器化されている)。808ベースが歪みすぎて音色そのものが破壊されているところ。サビの突然の音域ジャンプ、テンポチェンジ、無音の挿入。曲が短いので、繰り返し聴いて細部を発見していくのが楽しい。

発展

Charli XCX『Pop 2』(2017)が橋渡し。2020年にSpotifyが公式プレイリストを開設、コロナ禍のSoundCloud活況とBandcampの隆盛が後押しした。Glaive、ericdoa、Quinn、Aldnら若年層プロデューサーがDigicore/Glitchcoreへ枝分かれ。

出来事

  • 2013: PC Music設立 / 2017: Charli XCX『Pop 2』 / 2018: SOPHIE『Oil of Every Pearl's Un-Insides』 / 2019: 100 gecs『1000 gecs』 / 2020: Spotify公式プレイリスト

派生・影響

Bubblegum Bass、Digicore、Glitchcore、Hexd、Dariacore。

音楽的特徴

楽器DAW、Auto-Tune、シンセ、サンプル、ピッチシフター

リズム140-180 BPM、急激な転調、ピッチ操作

代表アーティスト

  • Charli XCXイギリス · 2008年〜
  • A.G. Cookイギリス · 2011年〜
  • GFOTYイギリス · 2013年〜
  • SOPHIEイギリス · 2013年〜2021
  • 100 gecsアメリカ合衆国 · 2015年〜
  • ericdoaアメリカ合衆国 · 2019年〜
  • glaiveアメリカ合衆国 · 2020年〜

代表曲

日本との関係

FemmやAdo、Aiobahn、TORIENA、OniMaru、Lil Mariko、tipsy.など、日本人ハイパーポップ・アーティストも一定数いる。Adoの『うっせぇわ』(2020)はハイパーポップの感覚と日本的歌唱の融合と評価された。日本のVtuber/インディー音楽シーンとの親和性も高い。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、100 gecs『money machine』(2019)。3分のなかにハイパーポップの全要素が詰まっている。Charli XCX『Vroom Vroom』(2016)もシーンの起点。SOPHIEなら『It's Okay to Cry』(2017)。アルバムなら、Charli XCX『brat』(2024)。

豆知識

100 gecsのDylan Bradyが、最初のアルバムをリリースした時の予算は500ドルだった。彼らの曲『money machine』は、ディスコrdサーバーで見知らぬ人がポストしたインターネット・ミームの会話を歌詞にしたもの。SOPHIE(本名Sophie Xeon)は2021年にギリシャで月を見ようとして転落事故で33歳で死去した。

影響・派生で結ばれたジャンル

ハイパーポップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

国際 · 2014年前後 (±25年)

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