ハイパーポップ
2010年代後半に台頭した、ピッチアップヴォーカル・歪み・極端な多層化を特徴とするポップ音楽。
どんな音か
生まれた背景
2013年頃のロンドンで、A. G. Cookが立ち上げたバブルガム・ベースが起点。SOPHIE、Hannah Diamond、QT、Charli XCX周辺で「ポップを真面目に解体する」実験が始まる。2018〜19年にDylan BradyとLaura Lesによる100 gecsが、その美学にエモ、スカ、ニュー・メタルの破片を投げ込み『1000 gecs』(2019)を発表。2019年、Spotifyの編集者がプレイリスト「hyperpop」を作って一気にジャンル名が定着。Charli XCX『how i'm feeling now』(2020)、『Crash』(2022)、『brat』(2024)で完全に主流ポップに到達した。
聴きどころ
オートチューンの極端な使い方(SOPHIEの曲では声がほぼ楽器化されている)。808ベースが歪みすぎて音色そのものが破壊されているところ。サビの突然の音域ジャンプ、テンポチェンジ、無音の挿入。曲が短いので、繰り返し聴いて細部を発見していくのが楽しい。
発展
Charli XCX『Pop 2』(2017)が橋渡し。2020年にSpotifyが公式プレイリストを開設、コロナ禍のSoundCloud活況とBandcampの隆盛が後押しした。Glaive、ericdoa、Quinn、Aldnら若年層プロデューサーがDigicore/Glitchcoreへ枝分かれ。
出来事
- 2013: PC Music設立 / 2017: Charli XCX『Pop 2』 / 2018: SOPHIE『Oil of Every Pearl's Un-Insides』 / 2019: 100 gecs『1000 gecs』 / 2020: Spotify公式プレイリスト
派生・影響
Bubblegum Bass、Digicore、Glitchcore、Hexd、Dariacore。
音楽的特徴
楽器DAW、Auto-Tune、シンセ、サンプル、ピッチシフター
リズム140-180 BPM、急激な転調、ピッチ操作
代表アーティスト
- Charli XCX
- A.G. Cook
- GFOTY
- SOPHIE
- 100 gecs
- ericdoa
- glaive
代表曲
- Vroom Vroom — Charli XCX (2016)
- Immaterial — SOPHIE (2018)
- money machine — 100 gecs (2019)
- ringtone — 100 gecs (2019)
Hey QT — A.G. Cook (2014)
日本との関係
初めて聴くなら
1曲だけ聴くなら、100 gecs『money machine』(2019)。3分のなかにハイパーポップの全要素が詰まっている。Charli XCX『Vroom Vroom』(2016)もシーンの起点。SOPHIEなら『It's Okay to Cry』(2017)。アルバムなら、Charli XCX『brat』(2024)。
豆知識
100 gecsのDylan Bradyが、最初のアルバムをリリースした時の予算は500ドルだった。彼らの曲『money machine』は、ディスコrdサーバーで見知らぬ人がポストしたインターネット・ミームの会話を歌詞にしたもの。SOPHIE(本名Sophie Xeon)は2021年にギリシャで月を見ようとして転落事故で33歳で死去した。
