ジャズ

ジャズ

Jazz

ニューオーリンズ / アメリカ合衆国 / 北米 · 1910年〜

1910年代のニューオーリンズで成立した、即興演奏とスウィングを核とする音楽。

どんな音か

サックス、トランペット、ピアノ、コントラバス、ドラム。スウィングと呼ばれる「跳ねた8ビート」の感覚が基本で、4拍子の拍頭をベースが等間隔で踏みながら、ドラムのハイハットが2拍4拍を切る。テーマ(曲のメロディ)を全員で短く演奏したあと、メンバーが順番にソロを取る、いわゆる「アドリブ」の音楽。同じコード進行を何度も繰り返しながら、毎回違うフレーズを乗せるのがルールであり楽しみ方でもある。スタイルはディキシーランド、ビバップ、クール、モード、フリー、フュージョンと約100年で何度も枝分かれしている。

生まれた背景

20世紀の頭、ニューオリンズ。フランススペイン・西アフリカ・カリブの音楽伝統が同じ街で混ざり合うこの港町で、ブラスバンドの行進編成と、コンゴ広場で受け継がれた西アフリカのリズム、そして黒人教会のブルース感覚が結合した。第一次世界大戦後にミュージシャンが北部都市シカゴ、ニューヨークへ移動し、ラジオとレコードを通じて全米に広がる。1940年代のチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーがビバップで音楽家のための音楽に変え、1959年のマイルス・デイビス『Kind of Blue』、コルトレーン『Giant Steps』が現在まで聴かれ続ける標準を作った。

聴きどころ

テーマ→ソロ→ソロ→ソロ→テーマという構造をまず追う。ベースが1拍ずつ歩く「ウォーキングベース」、ドラムが2&4で叩くスネアの「コンプ」、ピアノが裏でコードをばらまく「コンピング」を聴き分けられると景色が変わる。ソロの最中、奏者がコード進行のどこを今走っているか、休符をどう使うかが聴きどころ。同じ曲でも演奏者が違えば「別の物語」になることを体感できる音楽。

音楽的特徴

楽器サックス、トランペット、ピアノ、ベース、ドラム

リズムスウィング、シンコペーション、即興

代表アーティスト

  • Duke Ellingtonアメリカ合衆国 · 1914年〜1974
  • Louis Armstrongアメリカ合衆国 · 1919年〜1971
  • Count Basieアメリカ合衆国 · 1924年〜1984
  • Ella Fitzgeraldアメリカ合衆国 · 1934年〜1996
  • Billie Holidayアメリカ合衆国 · 1935年〜1959
  • Thelonious Monkアメリカ合衆国 · 1940年〜1982
  • Miles Davisアメリカ合衆国 · 1944年〜1991

代表曲

日本との関係

1920年代の関東大震災後、銀座のダンスホールで「ジャズ」という言葉が使われ始めた(当時の意味は今より広く、ダンス音楽全般)。戦後は進駐軍クラブを通じて本格化し、秋吉敏子は1950年代にバークリー音楽院に渡り女性ジャズピアニスト/コンポーザーとして世界的に評価された。日野皓正、渡辺貞夫、菊地雅章、上原ひろみ、挾間美帆と、いまも日本人プレイヤーがアメリカ合衆国シーンで活動している。漫画『BLUE GIANT』(石塚真一)の世界的ヒット以降、若い読者の間でジャズ入門が再び広まっている。

初めて聴くなら

1枚で「ジャズとは」を知りたいなら、Miles Davis『Kind of Blue』(1959)。コードがほとんど動かない中で全員が同じ温度を保ち続けるという、ビバップ以後の最重要発明。歌付きで入りたいなら、Billie Holiday『Lady Sings the ブルース』。声の質感だけで曲が成立することがわかる。最近のものを聴きたいなら、Robert Glasper『Black Radio』。ヒップホップとR&Bを通ってきたピアニストによる現代ジャズの入口。

豆知識

ビバップ」という名前は、ディジー・ガレスピーがフレーズを口で歌う時に使った擬音「bee-bop」が由来とされる。日本語の「ジャズ喫茶」は1950年代に生まれた独自の文化で、客は基本的に話さず、店主が選んだレコードに集中して耳を傾ける。新宿のDUG、吉祥寺のMEGなど、いまも残っている店がある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャズを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1910年前後 (±25年)

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