ブルース・カントリー

カントリー

Country

ナッシュビル / アメリカ合衆国 / 北米 · 1920年〜

1920年代の米国南部で成立した、Folkとブルース、Gospelを背景に持つ大衆音楽。

どんな音か

アコースティックギター、フィドル(バイオリン)、バンジョー、スティールギター、ウッドベース。ゆったり3拍子のワルツから、4拍2&4のシャッフル、現代の8ビートまで幅は広い。歌は鼻にかかった南部アクセントと、語りかけるようなフレージングが基本。歌詞は失恋、トラック運転、酒場、田舎町、家族、神様といった具体的な日常と地名で構成され、抽象的な表現は少ない。録音はわざと素朴な質感を残し、Pop寄りのプロダクションでもアコギの胴鳴りが必ず聴こえる場所に置かれる。

生まれた背景

1920年代のアメリカ合衆国南部・アパラチア山脈周辺で、イギリスアイルランド系移民が持ち込んだフィドル民謡と、アフリカ系アメリカ合衆国人のバンジョー、ブルースゴスペルが交わって生まれた。1925年にナッシュビルで始まったラジオ番組『Grand Ole Opry』が業界を集約し、戦後はホンキートンクのハンク・ウィリアムズ、ナッシュヴィル・サウンドのパッツィ・クライン、アウトロウのウィリー・ネルソン……と世代ごとに主流が更新されてきた。2010年代にはテイラー・スウィフトがカントリーから出発してポップに移行し、現在はモーガン・ウォレン、ザック・ブライアンがアメリカ合衆国チャート上位を取る規模になっている。

聴きどころ

フィドルとペダル・スティールギターの「泣き」、バンジョーの転がるような3連符、歌い手のしゃがれと裏声の切り替え。歌詞の三人称物語(誰それの娘がトラック運転手と恋に落ちて……)と、サビでの情景の俯瞰の対比。シャッフル系では、スネアが2拍4拍ではなくハイハットと一緒に細かく刻まれることが多い。

音楽的特徴

楽器アコギ、フィドル、バンジョー、スライドギター、声

代表アーティスト

  • Hank Williamsアメリカ合衆国 · 1937年〜1953
  • Johnny Cashアメリカ合衆国 · 1954年〜2003
  • Dolly Partonアメリカ合衆国 · 1956年〜
  • Willie Nelsonアメリカ合衆国 · 1956年〜

代表曲

日本との関係

1950〜60年代、進駐軍クラブとカントリー&ウェスタンブームを通じて受容が始まり、ジミー時田、小坂一也らが日本カントリーを担った。井上陽水、はっぴいえんど、矢野顕子の世代以降は直接の影響は薄れたが、最近では桑田佳祐や星野源がアコースティック編成のなかにカントリー寄りのコード進行や歌い回しを引用することがある。日本独自のカントリー・シーンは小さいが、ライブハウス系のバンドにはずっと続く伝統がある。

初めて聴くなら

夕方ドライブで聴くなら、Willie Nelson『On the Road Again』。3分のなかに「カントリーとは何か」がほぼ全部入っている。静かに聴くなら、Hank Williams『I'm So Lonesome I Could Cry』。1949年の録音で歌詞・声・伴奏すべてが寒い。今のカントリーを掴むなら、Zach Bryan『Something in the Orange』。アコギとバンドだけで2020年代の音にしている。

豆知識

「ナッシュヴィル」は名前のとおりテネシー州の州都で、現在も全米のメジャー・カントリーレーベルが集中している。録音スタジオが軒を連ねるディビジョン地区は通称「Music Row」。カントリー歌手のステージ衣装のラインストーン(光るスパンコール)は、ロサンゼルスのテーラー、ヌディ・コーンが1940年代に始めたもので、エルヴィス・プレスリーのジャンプスーツも彼の系譜にある。

影響・派生で結ばれたジャンル

カントリーを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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アメリカ合衆国 · 1920年前後 (±25年)

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