カントリー
1920年代の米国南部で成立した、Folkとブルース、Gospelを背景に持つ大衆音楽。
どんな音か
アコースティックギター、フィドル(バイオリン)、バンジョー、スティールギター、ウッドベース。ゆったりした3拍子のワルツから、2拍目と4拍目を強く打つシャッフル、現代の8ビートまで幅は広い。歌は鼻にかかった南部アクセントと、語りかけるようなフレージングが基本。歌詞は失恋、トラック運転、酒場、田舎町、家族、神様といった具体的な日常と地名で構成され、抽象的な表現は少ない。ポップに寄せた作りでも、アコースティックギターの木の箱が鳴る音(胴鳴り)はたいていどこかに残されている。コンピューターで組み上げた音ではなく、人が部屋で演奏した音に聴こえてほしい——という作り手の美学だ。
生まれた背景
1920年代のアメリカ合衆国南部・アパラチア山脈周辺で、イギリス・アイルランド系移民が持ち込んだフィドル(バイオリン)の民謡と、アフリカ系アメリカ合衆国人のバンジョー、ブルース、ゴスペルが交わって生まれた。1927年のブリストル・セッション(カーター・ファミリーとジミー・ロジャーズ(Jimmie Rodgers)の初録音)が出発点とされる。1925年にナッシュビルのラジオ局WSMが始めた番組は、1927年から『Grand Ole Opry(グランド・オール・オープリー)』と呼ばれるようになり、カントリー音楽の中心地をナッシュビルに引き寄せた。戦後は世代ごとに主流が塗り替えられてきた。1940年代は、酒場の生々しさを持ち込んだホンキートンクのハンク・ウィリアムズの時代だ。続く50年代後半から60年代は、プロデューサーのチェット・アトキンスらが弦とコーラスで磨き上げたナッシュビル・サウンド——パッツィ・クラインの時代である。70年代には、ナッシュビルのスタジオ主導の制作体制を嫌ったウィリー・ネルソンやウェイロン・ジェニングスらアウトローが反旗を翻した。90年代にはガース・ブルックスやシャナイア・トゥエインがポップへとクロスオーバーした。2000年代後半にカントリー歌手としてデビューしたテイラー・スウィフトは、物語性を10代の日記のように書き換えながら、2010年代半ばにポップへ移っていった。そして現在は、モーガン・ウォレンやルーク・コムズら主流勢と、ネット発で主流とは別系統のザック・ブライアンやタイラー・チルダーズ、スタージル・シンプソンが、それぞれ違うルートからアメリカ合衆国チャートの上位に並んでいる。
聴きどころ
フィドルとペダル・スティールギターの「泣き」、バンジョーの転がるような3連符、歌い手がしゃがれ声と裏声を切り替えるところ。歌い出しでは「誰それの娘がトラック運転手と恋に落ちて……」と三人称で物語が語られ、サビではその情景を少し離れた視点から眺める——この語りの切り替わりも聴きどころだ。リズムも面白い。一定のリズム(バックビート)では2拍目と4拍目を強く打つが、シャッフル系ではそこをドンと叩かず、スネアをハイハットと一緒にシャラシャラ細かく刻む。ドラムが派手に出ないぶん、声と歌詞が前に立つ。カントリーはあくまで「歌を聴かせる音楽」なのだ。
音楽的特徴
楽器アコギ、フィドル、バンジョー、スライドギター、声
リズムを聴く
このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。
代表アーティスト
- Hank Williams
- Johnny Cash
- Dolly Parton
- Willie Nelson
代表曲
- I'm So Lonesome I Could Cry — Hank Williams (1949)
- Your Cheatin' Heart — Hank Williams (1953)
- Folsom Prison Blues — Johnny Cash (1955)
- Ring of Fire — Johnny Cash (1963)
- Jolene — Dolly Parton (1973)
- On the Road Again — Willie Nelson (1980)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
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