ブルース・カントリー

ブルース

Blues

ミシシッピ・デルタ / アメリカ合衆国 / 北米 · 1890年〜

別名: Delta Blues / Country Blues

アフリカ系アメリカ人の労働歌や霊歌を背景に、19世紀末のアメリカ南部で生まれた音楽。

どんな音か

アコースティック/エレキギター、ハーモニカ、ピアノ、ベース、ドラム。「12小節進行(I-IV-V)」と「ブルーノート」(メジャースケールの3度・5度・7度を半音下げる)が骨格。歌は語りに近く、コブシをきかせて伸ばす音、しゃがれた裏声、笑い声に近い間。ギターはチョーキングとビブラートで「泣かせる」のが定番。BPMは60前後の遅いものから100超えのジャンプ・ブルースまで幅がある。録音は意図的にローファイで、ギターが歪み気味のままアンプから直接出ている音が好まれる。

生まれた背景

19世紀末から20世紀初頭、アメリカ合衆国南部・ミシシッピ・デルタの綿花プランテーション。アフリカ起源のワーク・ソング、フィールド・ハラー、教会のスピリチュアル・ソングが、解放後も貧困と差別のなかで生きる黒人労働者の独唱形式に結晶した。1920年代に女性歌手のマミー・スミス、ベッシー・スミスが録音で「クラシック・ブルース」を商業化し、1930年代にロバート・ジョンソンら戦前の弾き語りギタリストが伝説を残す。第二次大戦後、黒人労働者が北上したシカゴでマディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフがエレキ化(シカゴ・ブルース)し、ロックンロールロックの直接の親になった。

聴きどころ

12小節がきっちり同じパターンで何度も繰り返される、その反復のなかで歌い手と楽器がどう「ずらす」か。ギターの1音にどれだけ表情を付けるか、歌のフレーズの最後を伸ばすときのビブラートの揺れ、ハーモニカが「うー」と吸う音と「いー」と吐く音の対比。完璧な演奏ではなく、わざと「外す」「遅らせる」「強く突っ込む」ことで人間味を出すのが流儀。

音楽的特徴

楽器ギター、ハーモニカ、ピアノ、声

リズム12小節進行、シャッフル、ブルーノート

代表アーティスト

  • Robert Johnsonアメリカ合衆国 · 1929年〜1938
  • Muddy Watersアメリカ合衆国 · 1941年〜1983
  • John Lee Hookerアメリカ合衆国 · 1948年〜2001
  • B.B. Kingアメリカ合衆国 · 1949年〜2014
  • Howlin' Wolfアメリカ合衆国 · 1951年〜1976

代表曲

日本との関係

1960年代、ミッキー・カーチスや内田裕也、初期の細野晴臣・大瀧詠一らがブルースの影響を公言し、はっぴいえんど〜YMOの世代の下敷きの一つになった。憂歌団、上田正樹、レピッシュ、塩次伸二らによる日本ブルース・シーンも長く続いている。最近は、米米CLUBやSuchmosのギタリストがソロで取り組むなど、表に出る形ではないが影響は途切れていない。

初めて聴くなら

戦前を1曲なら、Robert Johnson『Cross Road ブルース』(1936)。ギター1本と声だけで世界を作り出す原型。エレキ化した戦後のシカゴ・ブルースなら、Muddy Waters『Mannish Boy』。1音のリフだけで5分間引っ張る潔さ。歌のうまさで聴きたいなら、B.B. King『The Thrill Is Gone』。ギターと歌が会話しているように聴こえる。

豆知識

「ブルーノート」は1939年にニューヨークで創業されたジャズ・レーベルの名前にもなっているが、もともとは音楽用語のほう(ブルースの「青い音」)が先。エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、ビートルズと、イギリスロックの第一世代はほぼ全員ロバート・ジョンソンとマディ・ウォーターズの研究から始めている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ブルースを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

ブルース の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1890年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る