宗教・霊歌

ゴスペル

Gospel

アメリカ合衆国 / 北米 · 1900年〜

アフリカ系米国人のキリスト教礼拝音楽として20世紀初頭に確立された宗教音楽。

どんな音か

アフリカ系アメリカ合衆国人のキリスト教会で歌われる宗教音楽。教会オルガン、ピアノ、ベース、ドラム、タンバリン、そして10〜100名規模の合唱団(クワイア)が中心。ボーカルはコブシ、シャウト、コール&レスポンス、ハミング、ウーピング(叫び続ける)と振れ幅が大きい。BPMは60の祈り系から130の歓喜系まで広い。歌詞はイエス、ジーザス、神様への賛美と感謝が大半。録音は教会ライブを意識した残響感を残すことが多い。

生まれた背景

20世紀初頭、シカゴのトーマス・A・ドーシーが、自身の苦しみのなかでブルースジャズの音楽性をキリスト教会に持ち込み、「ゴスペル・ソング」というジャンルを作った(1932年の『Take My Hand, Precious Lord』が起点)。1940〜50年代、マヘリア・ジャクソンが世界に広め、シスター・ロゼッタ・サープがゴスペルロックンロールを直接つないだ。1960年代以降の公民権運動でも歌われ続け、1990年代以降カーク・フランクリン、フレッド・ハモンドがコンテンポラリー・ゴスペルを定型化。R&B、ソウルファンクヒップホップとの相互流入が常に続いている。

聴きどころ

コール&レスポンス(リード歌手の問いかけに、合唱が答える形式)、何人ものソリストが順番に「叫ぶ」ような展開、フィールド・ホラー由来のコブシ。ピアノとオルガンの即興、ハンドクラップ、足踏み、タンバリンが加わると教会の空気がそのまま音響として再現される。

代表アーティスト

  • Mahalia Jacksonアメリカ合衆国 · 1929年〜1972
  • Sister Rosetta Tharpeアメリカ合衆国 · 1938年〜1973
  • Kirk Franklinアメリカ合衆国 · 1992年〜

代表曲

日本との関係

1990年代の映画『天使にラブ・ソングを…』(1992)以降、日本でもゴスペル・ワークショップが各地で開かれるようになり、教会経由ではなく音楽として受容された珍しい例。亀渕友香率いるVOJA系の合唱団、新宿ゴスペル・クワイアなど、宗教抜きで歌われる場が多い。米米CLUBや桑田佳祐が大編成のコーラスをアレンジに使うのは、ゴスペルの直接の影響。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、Mahalia Jackson『How I Got Over』(1961)。声量と感情の振り幅で「ゴスペルとは」が分かる。コンテンポラリーなら、Kirk Franklin『Stomp』(1997)。ヒップホップ世代のゴスペル。ハッピー寄りなら、Edwin Hawkins Singers『Oh Happy Day』(1969)。世俗のラジオでヒットした初期の例。

豆知識

ゴスペル」は古英語のgōd-spell(良い知らせ=福音)が語源。ホイットニー・ヒューストン、アレサ・フランクリン、ティナ・ターナー、スティーヴィー・ワンダー、サム・クック、ジョン・レジェンド、エイリシア・キーズ……現代R&B/ソウルの大半の歌手は教会のクワイアで歌い始めている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1900年代1950年代ゴスペルゴスペルソウルソウル凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ゴスペルを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1900年前後 (±25年)

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