ゴスペル
アフリカ系米国人のキリスト教礼拝音楽として20世紀初頭に確立された宗教音楽。
まずはここから
ひとことで言うとアフリカ系米国人のキリスト教礼拝音楽として20世紀初頭に確立された宗教音楽。
まずはこの曲からSister Rosetta Tharpe — Strange Things Happening Every Day ▶ YouTube
代表的な人Mahalia Jackson
どんな音か
静かな語りが一瞬で爆発的な叫びに変わる——その振れ幅こそゴスペルの核心だ。アフリカ系アメリカ合衆国人のキリスト教会で歌われる宗教音楽で、中心となるのは、教会オルガン、ピアノ、ベース、ドラム、タンバリンと、10〜100名規模の合唱団(クワイア)である。ボーカルの表現は幅広い。声をしゃくり上げて叫んだり(シャウト)、一つの音を叫ぶように伸ばし続けたり(ウーピング)、一節を声を震わせながら細かく装飾したり——リード歌手と合唱が呼び交わすコール&レスポンスもその柱だ。テンポの振れ幅も大きく、歩く速さほどの祈るような曲から、駆け足のように高揚する曲まである。歌詞の大半は、イエスや神への賛美と感謝、そして個人の信仰の証(あかし)である。録音はあえて教会の空気ごと捉え、合唱が残響の層に溶けていく——その響きがゴスペルの署名になっている。
聴きどころ
派手な歌唱技法の下で熱気を生んでいるのは、実は反復だ——そこに耳を澄ましてほしい。骨格はコール&レスポンス。リード歌手が投げかけた一行に、合唱が和音や決まり文句で応える。そこへ、同じ一節を8回も12回も繰り返しながら、山場で半音ずつ調を上げて熱を積み上げていく構造が重なる。ハモンドオルガンは和音をきざむのではなく、ペダルで音と音の間を滑らかに渡り、緊張した和音を一節まるごと引き伸ばして「息をする」ように鳴る。ピアノの即興、ハンドクラップ、足踏み、タンバリンが加わると、教会のあの熱気がそのまま音になって伝わってくる。
初めて聴くなら
1曲だけ聴くなら、Mahalia Jackson『How I Got Over』(1951)。声量と感情の起伏の大きさに、ゴスペルの本質が表れている。次に、現代的な響きが欲しければKirk Franklin『Stomp』(1997)を。教会の合唱をそのままダンスフロアに引きずり出し、それでいてR&Bラジオの頂点に立った一曲だ。明るい一曲が欲しければ、Edwin Hawkins Singers『Oh Happy Day』(1969)。教会の地下室で生まれた歌が、世俗のラジオで世界的ヒットになった初期の代表例である。
代表アーティスト
- Mahalia Jackson
- Sister Rosetta Tharpe
- Kirk Franklin
代表曲
- Sister Rosetta Tharpe — Strange Things Happening Every Day (1944)
- Mahalia Jackson — Take My Hand, Precious Lord (1956)
- Mahalia Jackson — How I Got Over (1961)
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- Oh Happy Day (1969)
生まれた背景
20世紀初頭、シカゴのトーマス・A・ドーシーが、ブルースやジャズの和声と節回しを教会音楽に持ち込み、「ゴスペル・ソング」というジャンルを作った(1932年の『Take My Hand, Precious Lord』が起点。妻と生まれたばかりの子を相次いで失った悲しみのなかで書かれた曲だ)。
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その後の代表曲
- Kirk Franklin — Stomp (1996)
日本との関係
豆知識
「ゴスペル」は古英語のgōdspell(良い知らせ=福音)が語源。アレサ・フランクリン、サム・クック、ホイットニー・ヒューストン、ジョン・レジェンド——現代R&B/ソウルの歌手の多くは、教会のクワイアで歌い始めた。
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教会の外で歌われる黒人音楽が、教会と同じこぶしや声の使い方を引き継いでいるのはそのためだ。
影響・派生で結ばれたジャンル
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感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
ゴスペルが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
