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これまでAdele一人が突出していたイギリスチャートが、いま一気に多様化した。女性R&B・ソウルの新世代とイギリスラップが、同じ年にそろって頂点へ駆け上がった。イギリスの公式チャート(Official Charts)のトップ10は、おおむね半数を自国のアーティストが占める。

その象徴が、2025年に頭角を現したシンガー、Olivia Dean。その「Man I Need」は、海外勢(アメリカ合衆国のAlex Warren「Ordinary」が総合首位)を抑えこそしなかったものの、国内勢としては今年最大のヒットとなった(年間総合9位、UKでのストリーム再生は約1億1900万回)。同じく女性勢のR&B歌手RAYEは、「WHERE IS MY HUSBAND!」で年明けにUK1位を獲得した。

ラップ・R&B勢も相次いで全英首位へ向かう。Dave & Temsの「Raindance」(2025年10月リリース)も年明けにUK1位へ到達。Sam FenderにOlivia Deanが加わったデュエット版「Rein Me In」は、イギリスの音楽賞ブリット・アワードで2026年の最優秀楽曲に選ばれた。

次にイギリスチャートを開くとき、トップ10の顔ぶれはもう「Adeleとその他」ではない。Adeleに代表される定番ポップの時代から、若い英国発のR&B・ソウル・ラップへ——チャートの主役が確かに入れ替わった。

自国アーティストの人気曲

  • Man I Need 私が必要としてる男Olivia Dean · 2025

    2026年の英国年間最多ストリーム曲(8230万再生)。「自分が本当に必要としてるのはこういう男」と自己との対話を歌うソウルフルなバラード。

  • Rein Me In 私を抑えてSam Fender ft. Olivia Dean · 2026

    BRITs Song of the Year 2026。Newcastle出身のSam Fenderとロンドン新世代Olivia Deanのコラボ、イギリスらしい衿持を持ったバラード。

  • Raindance 雨乞いの踊りDave & Tems · 2025

    英国年間最大のラップ曲。Daveのラップにナイジェリア出身Temsのソウルフル・ボーカル、UK rapのアフロビーツ融合の最高峰例。

海外アーティストの人気曲

世代・地域・経済による違い

聴かれる音楽は、世代・性別・地域でくっきり分かれる。若い女性は、英国発の新しいR&B・ソウル——Olivia DeanやRAYE——を好み、ここにアメリカ合衆国のSabrina Carpenterら海外のポップも加わる。若い男性はUKドリルグライムに向かい、その代表格がCentral Cee。地域差も大きく、北部ではインディーロックが今も強い。その象徴がSam Fenderで、ニューカッスル近郊のノース・シールズという労働者の町の出身だ。

イギリスでは昔から、どんな音楽を好むかに階級の違いがにじむ。ロンドンのパブで流れる曲と、ランカシャーのパブで流れる曲は違う。その違いが、そのままイギリスチャートの幅広さに表れている。

参考資料

- Official Charts UK: https://www.officialcharts.com/charts/singles-chart/ - Biggest songs of 2026: https://www.officialcharts.com/chart-news/official-biggest-songs-of-2026/