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ラテン・カリブ

サルサ

Salsa

ニューヨーク / アメリカ合衆国 / 北米 · 1965年〜

1960年代のニューヨークで、キューバのソンを基盤に成立したラテンダンス音楽。

どんな音か

一度乗ると体が勝手に動き出す——サルサの推進力は、全パートが「クラーベ」という2小節のリズムの骨格に従うことから生まれる。クラーベには3-2か2-3の二通りがあり、どちらに揃えるかでうねり方が変わる。前面に立つのはコンガ、ボンゴ、ティンバレスといった打楽器の層。その上にピアノが細かく刻む反復パターン「モントゥーノ」が乗り、トランペットやトロンボーンのホーン(管楽器)が合奏で重なる。歌は独唱者(ソネーロ)とコロ(合唱)の掛け合いだ。テンポは1分間に150〜200拍とかなり速いが、踊るときの体感はおよそ半分。数字ほど忙しなくはない。歌詞はスペイン語で、恋愛や移民街の暮らし、政治を歌う。

生まれた背景

1960〜70年代、ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム。プエルトリコ系・キューバ系移民の第二世代が、キューバ起源のソンやマンボチャチャチャを土台に、ルンバの要素も加え、それをジャズのビッグバンド編成と融合させた。キューバ革命後の対キューバ禁輸でラテン音楽の商業中心地はハバナからニューヨークへ移り、プエルトリコ系の音楽家たちが新しい顔となった。Fania Recordsが有力アーティストを次々に擁し、看板歌手のエクトル・ラボーや、社会派の歌詞を書いたルベン・ブラデスらとともに「サルサ」という名前を世界へ広めた。1971年にはファニア・オールスターズがマンハッタンのクラブ「チーター」を、73年にはヤンキー・スタジアムを満員にし、ニッチではなく大衆運動であることを示した。1970年代末からはコロンビア(とりわけカリ)やベネズエラが主要拠点となり、80年代にはエディ・サンティアゴやフランキー・ルイスらが甘い恋愛ものに特化した「サルサ・ロマンティカ」で人気を再燃させた。サルサはいまもラテン圏で鳴り続けている。

聴きどころ

まずクラーベのパターンを耳で覚える(手で「タッ・タッ・タッ/タッ・タッ」と叩いてみる)。ピアノのモントゥーノが2小節でぐるぐる循環すること、ベースが拍の頭よりわずかに早く入る独特のうねり(「トゥンバオ」)に注目したい。管楽器(トランペットやトロンボーン)が歌の合間にパッと差し込む短い決め演奏も聴きどころだ。ここまで掴めれば、あとは体が拍を追いかけるだけだ。

音楽的特徴

楽器コンガ、ボンゴ、ティンバレス、ピアノ、ベース、ホーン、声

リズムを聴く

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

サルサ(2-3クラーベ) · 96 BPM

代表アーティスト

  • Celia Cruzキューバ · 1947年〜2003
  • Héctor Lavoeプエルトリコ · 1963年〜1993
  • Willie Colónアメリカ合衆国 · 1967年〜
  • Rubén Bladesパナマ · 1969年〜
  • Marc Anthonyアメリカ合衆国 · 1988年〜

代表曲

日本との関係

1970年代、オルケスタ・デ・ラ・ルスが東京で結成され、ティト・プエンテにも認められて世界の一線で活動した稀有な日本人サルサ・バンド。1990年代以降、横浜・横須賀・新宿に常設サルサ・クラブが残り、ダンサー人口が一定数いる。アニメ『カウボーイビバップ』のサウンドトラックで菅野よう子が起用したサルサ的編成も、ジャンルへの間口を広げた。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、エクトル・ラボー&ウィリー・コロン《El Cantante》(1978、作詞作曲ルベン・ブラデス)。静かな歌い出しから熱狂的なモントゥーノへなだれ込む構成が、サルサの典型だ。アルバムなら、ウィリー・コロン&ルベン・ブラデス《Siembra》(1978)。300万枚超を売り、いまも史上最も売れたサルサのLPとされる。ダンス入門にはセリア・クルース《La Vida Es un Carnaval》——逆境を笑い飛ばし「人生はカーニバルだ」と歌う祝祭の歌で、底抜けに明るく、サルサの陽気さが一発で分かる(彼女の葬儀でも歌われた、人生を肯定する一曲だ)。ぐっと現代に寄せたいなら、世界的ヒットとなったマーク・アンソニー《Vivir Mi Vida》を——古典の様式を保ったままポップスとして通用する好例だ。

豆知識

サルサ」はもとは「ソース/ふりかけ」の意味だ。「これはキューバ音楽?マンボ?チャチャ?」と細かく分類されがちだった曲を、まとめて売り出すための呼び名として、1960年代後半〜70年代初頭のニューヨークでレーベルが広めた言葉である。ティト・プエンテをはじめ複数のミュージシャンが「サルサは音楽ジャンルではない、料理にかけるソースのようなものだ」と語ってきた。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1700年代1850年代1900年代1930年代1960年代1990年代サルササルサボンバ/プレナボンバ/プレナクンビアクンビアメレンゲメレンゲソン・クバーノソン・クバーノマンボマンボティンバティンバ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
サルサを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1965年前後 (±25年)