ラテン・カリブ

メレンゲ

Merengue

ドミニカ共和国 / カリブ海 · 1850年〜

ドミニカ共和国で成立した、2/4拍子の明快なリズムを特徴とするダンス音楽。

どんな音か

ドミニカ共和国生まれの高速ダンス音楽。BPM 130〜180の2/4拍子(2拍子)。アコーディオン(ボタン式)、タンボーラ(両面太鼓を膝に乗せ両手で叩く)、ギラ(金属製スクレイパー)、エレキベース、ピアノ、ホーンセクション。ヴォーカルは男性が中心、力強くシャウト気味に歌う。歌詞はスペイン語、テーマは恋愛、ダンス、ストリート、政治批判、自己賛美。タンボーラの「ドゥッ・タッ・ドゥッ・タッ」と細かく刻むパターンと、ギラの「シャカシャカ」が独特のリズムを作る。

生まれた背景

19世紀末のドミニカ共和国、農村の踊りとして始まる。当初は植民地時代のヨーロッパ系上流階級から「下品」として嫌われていたが、1930年代に独裁者ラファエル・トルヒーヨが「メレンゲは国民音楽」と公式宣言し、政府主導で全国に広めた。1960〜70年代にビッグバンド編成のヨヘニー・ベントゥーラ、ウィルフリード・バルガスらが商業的に大成功。1980年代の米国移住第2世代(Juan Luis Guerra)が、よりメロディックな「メレンゲ・ロマンティコ」を発展させた。1990年代以降、世界規模のラテン音楽ブームでサルサと並ぶ国際ダンス音楽になった。

聴きどころ

タンボーラの細かいリズム(「タカタカタカタカ」と16分音符で刻む)とギラの「シャカシャカ」(8分音符で刻む)の絡み。アコーディオンのリフ(短い繰り返しフレーズ)、ホーンセクションのキメ、歌い手の「ヘイ!」「ウォー!」という掛け声。ダンスは2拍子で右足・左足の単純なステップだが、腰の振りが命。

代表アーティスト

  • Alberto Beltránドミニカ共和国 · 1948年〜1997
  • Johnny Venturaドミニカ共和国 · 1956年〜2021
  • Wilfrido Vargasドミニカ共和国 · 1972年〜
  • Juan Luis Guerraドミニカ共和国 · 1984年〜
  • Elvis Crespoプエルトリコ · 1990年〜

代表曲

日本との関係

ラテン・ダンス・スクール(東京・新宿・横浜・大阪)で定番ジャンルとして教えられている。Juan Luis Guerraは何度も来日公演を行っている。日本独自のメレンゲ・シーンは小さいが、ドミニカ共和国系コミュニティ(東京・名古屋)とラテン愛好者の間で活発。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、Juan Luis Guerra『Ojalá Que Llueva Café』(1989)。メレンゲのメロディアスな代表。古典的アップテンポなら、Wilfrido Vargas『El Funcionario』。最近のものなら、Elvis Crespo『Suavemente』(1998)。

豆知識

メレンゲ」の語源は不明だが、フランス語の「meringue(メレンゲ菓子)」と同じく、軽くてふわふわしたものを指すという説がある。トルヒーヨ独裁(1930〜61)時代、彼が個人的にメレンゲを愛したため、国民音楽として法的に保護された。彼の暗殺後もメレンゲは国民音楽の地位を保っている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1850年代1950年代1960年代メレンゲメレンゲコンパコンパバチャータバチャータサルササルサ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
メレンゲを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

メレンゲ の系譜全体図(多段)を見る

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