ボンバ/プレナ
プエルトリコ沿岸部のアフリカ系コミュニティで生まれたボンバ(打楽器主導)とプレナ(歌詞主導)という二つの伝統的アフロ・カリブ音楽。
どんな音か
複数の太鼓が重なり、最も低いバスドラムが基調を支え、その上に高さの違う三つ、四つの太鼓が複雑に絡む。拍は2拍子だが、タイコの絡み具合で3拍子のポリリズムに聞こえることもある。歌はスペイン語で、サビが非常に短く、ほぼアドリブのヴォーカルと反復的なコーラスが交互に現れる。男女が別々に踊ることもあり、その場合、ボンバは男性のソロ・ダンス中心、プレナは男女が混在する。音質はライヴ感が重視され、スタジオ録音でも現場の空気をそのまま保つスタイル。
生まれた背景
聴きどころ
複数のタイコの音色の差と、それぞれのリズムパターン。一見複雑に聞こえても、よく聴くと各タイコが独立した短いフレーズを繰り返していることに気づく。ボーカルのシャウトと、コーラス集団の合わせ方。音の抜き方、タイミングのズレが意図的に作られているか。踊り手の足音が録音に含まれている場合、その音も音楽の一部。
発展
1950年代にラファエル・コルティハ、コルティーホ・イ・ス・コンボがプレナとボンバを電化バンド化し、現代サルサに接続した。1970年代以降のボンバ・プレナ復興運動でロス・プレネロス・デ・ラ・ベインティトレス、ヤヤ・サラサが伝統的形態の保存を担った。
出来事
- 1898: 米国占領
- 1950: コルティーホ・イ・ス・コンボ結成
- 1975: ボンバ・プレナ復興運動
- 2018: プレナがプエルトリコ国民音楽指定
派生・影響
サルサ、レゲトン、ラテン・ジャズ、現代プエルトリコ・ヒップホップに深い影響。
音楽的特徴
楽器バリル、クア、パンデロ、アコーディオン、ギロ、声
リズムボンバ:6/8と4/4、プレナ:2/4 ピケ即興、コール&レスポンス
代表アーティスト
- Ismael Rivera
- Rafael Cortijo
代表曲
- El Bombón de Elena — Rafael Cortijo (1959)
- Las Caras Lindas — Ismael Rivera (1978)
日本との関係
初めて聴くなら
Rafael Cortijo『El Bombón de Elena』(1959) を祭りの雰囲気で聴く。複数の太鼓と、祝祭的なシャウトが一体になった源泉的な音。静かな環境で聴くなら、Ismael Rivera『Las Caras Lindas』(1978)。より洗練された音質で、プレナの歌詞の物語性が浮かび上がる。
豆知識
プレナの歌詞の多くは、その時々の社会ニュースや恋愛の嘆きをテーマにしており、新聞小説的な物語性を持つ。ボンバの儀式的な起源に対し、プレナはより娯楽的・日常的な音楽として発展した。両者はしばしば混同されるが、タイコの構成と歌詞の役割がはっきり異なる。
