エレクトロニック

プロセス音楽

Process Music

アメリカ合衆国 / 北米 · 1965〜1975年

規則やプロセスを設定し、その自動的な展開そのものを音楽とする手法。ライヒの初期作品が代表。

どんな音か

プロセス音楽は、作曲家が決めた規則が少しずつ進む様子そのものを聴かせる音楽。Steve Reichの「Piano Phase」では、同じパターンを弾く二台のピアノがわずかにずれていき、最初は同じだった音が波紋のように分かれる。「I Am Sitting in a Room」では、声の録音を部屋で再生し録音し直すたび、言葉が響きだけへ変わっていく。

生まれた背景

1960年代のアメリカ合衆国実験音楽の中で、結果より手続きに焦点を置く考え方が強まった。ミニマル・ミュージックテープ音楽、コンセプチュアル・アートとも近く、演奏者の感情表現より、設定した条件が時間の中でどう音になるかを見せる。Reich、Terry Riley、Alvin Lucierらの作品は、その後の反復音楽やサウンドアートにも影響した。

聴きどころ

劇的なサビを待たず、変化の速度を聴く。最初の1分でパターンを覚えたら、次に同じはずの音がどこでずれたかを探す。ずれ、残響、反復の濁りが主役なので、長く聴くほど耳が細部に合ってくる。退屈に感じる時間も、プロセスを知覚するための余白になる。

発展

ライヒ「Piano Phase」(1967)、「Pendulum Music」(1968、振り子マイクのフィードバック)、「Drumming」(1971)が古典例。アルヴィン・ルシエ「I Am Sitting in a Room」(1969、声を空間で繰り返し再生・録音する)も代表的プロセス作品。

出来事

  • 1967: ライヒ「Piano Phase」
  • 1968: ライヒ「音楽としてのプロセス」エッセイ
  • 1968: ライヒ「Pendulum Music」
  • 1969: ルシエ「I Am Sitting in a Room」

派生・影響

ミニマル・ミュージック全体、ジェネレーティヴ・ミュージック(ブライアン・イーノ)、コンピュータ・アルゴリズム作曲、サウンドアートの過程的作品へ広がった。

音楽的特徴

楽器ピアノ、打楽器、声、テープ

リズムフェイジング、付加リズム、自動展開

代表アーティスト

  • テリー・ライリーアメリカ合衆国 · 1960年〜
  • アルヴィン・ルシエアメリカ合衆国 · 1965年〜2021
  • スティーヴ・ライヒアメリカ合衆国 · 1965年〜

代表曲

日本との関係

日本では現代音楽、サウンドアート、ミニマル音楽の文脈で紹介されてきた。美術館や実験音楽イベントで演奏されることもあり、ポップスの形式とは離れた聴き方を求められる。反復を使う日本電子音楽や映像作品にも、間接的な影響を見つけられる。

初めて聴くなら

規則が耳で分かりやすいのは「Piano Phase — スティーヴ・ライヒ (1967)」。音響の変質を味わうなら「I Am Sitting in a Room — アルヴィン・ルシエ (1969)」。集団演奏の明るい入口としては「In C — テリー・ライリー (1964)」も聴きやすい。

豆知識

プロセス音楽では、作曲家がすべての瞬間を手で飾るのではなく、仕組みが音を生む。聴き手は完成品だけでなく、音が変わっていく手順をリアルタイムで追うことになる。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1960年代プロセス音楽プロセス音楽ミニマル・ミュージックミニマル・ミュージック凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
プロセス音楽を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

プロセス音楽 の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1965年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る