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ヒップホップ・R&B

ファンク

Funk

アメリカ合衆国 / 北米 · 1967年〜

1960年代後半にJames Brownらによって確立された、ベース・ドラムのグルーヴ重視の音楽。

どんな音か

BPM 90〜120。リズムは「the One」、つまり1拍目の強拍に集中し、ベース、ドラム、ギター、ホーンの全員が1拍目で「タッ」と一斉に揃う。ベースは親指で弦を叩く「スラップ」と指で弦を引っ張って弾く「プル(ポップとも)」を組み合わせ、跳ねるような独特の弾力を生む。ギターは右手で短く刻むカッティング。ドラムはハイハットの細かい刻みとキックを組み合わせ、強拍にあたる2・4拍(バックビート)をあえて弱く小さく叩く「ゴーストノート」で隙間を埋める。管楽器が全員で短く鋭く差し込む「キメ」が随所に入る。歌は語りに近く、シャウトやコール&レスポンスが多い。こうしてばらけていた各パートが1拍目で一点に集まり、そこから一斉にほどける瞬間が、ファンク特有の前のめりな高揚を生む。

生まれた背景

1960年代後半、ジェイムス・ブラウンが『Cold Sweat』(1967)、『Funky Drummer』(1969年録音、70年発売)で「ザ・ワン」中心のリズム概念を確立した。1970年代には、スライ&ザ・ファミリー・ストーンがそれをサイケデリックに広げ、ジョージ・クリントン率いるPファンク(ファンカデリック/パーラメント)が衣装も寸劇も詰め込んだひとつの宇宙的ショーへと作り変えた。さらにアース・ウィンド・アンド・ファイアーがホーンとコーラスでファンクをラジオの主役に押し上げ、スラップ・ベースを生んだラリー・グラハム自身もグラハム・セントラル・ステーションを率いた。1980年代にはプリンスやリック・ジェームスがシンセサイザー中心に再構築。1990年代以降はヒップホップにサンプリング素材として大量に吸収される一方、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやVulfpeckといったバンドが生演奏の伝統を受け継いでいる。

聴きどころ

「ザ・ワン」(1拍目)で全員が揃う瞬間を探すこと。ベースのスラップとプル(弦を叩く音と引っ張る音)の音色の違い。ギターの16分カッティング、ドラムのハットとキックの細かい絡み。ホーンのキメは曲の節目(8小節ごとやサビ終わりなど)に入ることが多く、その位置を一度つかむと、ばらばらに聴こえた各パートが一つの設計図に収まる。

音楽的特徴

リズム1拍目強調(The One)、シンコペートしたベースとドラム

リズムを聴く

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

ファンク16分 · 100 BPM

代表アーティスト

  • James Brownアメリカ合衆国 · 1953年〜2006
  • Stevie Wonderアメリカ合衆国 · 1962年〜
  • Sly and the Family Stoneアメリカ合衆国 · 1966年〜1983
  • Parliamentアメリカ合衆国 · 1968年〜
  • Chicアメリカ合衆国 · 1976年〜

代表曲

日本との関係

1970年代、シュガー・ベイブ、はっぴいえんど、山下達郎、大滝詠一、矢野顕子の世代がファンクを直接の参照点にした。山下達郎『SPARKLE』『PLASTIC LOVE』(実際は竹内まりや)はファンクのリズム文法そのもの。1990年代以降、東京スカパラダイスオーケストラ、ORANGE RANGE、SOIL & PIMP SESSIONS、SMAPの中田ヤスタカ系プロデュースなど、現在もファンクの「the One」感覚は日本の主流ポップに残り続けている。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、James Brown『Funky Drummer』(1969年録音、70年発売)。ドラムのクライド・スタッブルフィールドが叩いたブレイクは、後にヒップホップで大量に引用されることになる(その顛末はトリビアで)。踊れる入口としては同じくJames Brown『Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine』(1970)。アルバムなら、Pファンクの世界観を丸ごと味わえるParliament『Mothership Connection』(1975)。より実験的な隣接作として、ギターの即興が圧巻のFunkadelic『Maggot Brain』(1971、サイケデリック/ファンク・ロック寄り)。ソウル寄りでは Sly & The Family Stone『There's a Riot Goin' On』(1971)も聴いておきたい。

豆知識

「Funk」はもとはアフリカ系アメリカ合衆国人の口語で「臭い/汚れた」、とりわけ汗や体臭といった肉体的なニュアンスを持つ言葉。ジェイムス・ブラウンが「Make it funky!」と叫ぶ時、本来の文脈では「もっと泥臭く、肉体的に」という意味だ。形容詞「funky」が「イケてる/カッコいい」という肯定的なスラングに転じたのは、もとは1950年代のハードバップ/ソウルジャズの用語が始まりで、ファンクの台頭とともに一般に広まった。なお『Funky Drummer』のあのブレイクには後日談がある——パブリック・エネミーやジョージ・マイケルをはじめ無数の曲を支えたにもかかわらず、叩いたドラマーのクライド・スタッブルフィールド本人には作曲クレジットも印税も与えられなかった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ファンクを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1967年前後 (±25年)