ダリアコア
2021年にプロデューサーleroyが提唱した、ポップ/ヒップホップのアカペラを高速マッシュアップする超情報量のハイパーポップ亜種。
どんな音か
ダリアコアはポップ・ミュージックの「素材」を限界まで加速させて再構成する音楽だ。アカペラやボーカルチョップ(ボーカルを細かく切って並べ直したもの)が毎秒のように入れ替わり、コーラス・ヒット・ラップ・フックが数秒ずつ重なって衝突する。BPMは150〜200台で、音の層は5〜10以上が同時進行することも珍しくない。カットアップの編集が早すぎて、聴いた瞬間に元の曲を特定するのが困難なものも多い。認識できるはずの有名曲が「認識の手前」でずれ続けることによる眩暈感がダリアコアの体験の核で、情報過多のインターネット文化の感覚そのものを音楽にしたような性格がある。leroy(ローリー)の制作は自室のDAWで完結し、リリースはSoundCloudが主戦場だった。
生まれた背景
ダリアコアは2021年にプロデューサーleroyがSoundCloudに投稿した「dariacore 1」から始まった。ハイパーポップ(2010年代後半にバブルガム・ベースを起点に広まった誇張されたポップ電子音楽)のサブジャンルとして位置づけられることが多いが、マッシュアップの伝統(Gregg Gillis/Girl Talkが2000年代に広めた)やブレイクコアの破壊的な編集感覚も引き継いでいる。特定のアーティストより「スタイルや概念」として広まった側面が強く、Twitterでジャンル名が拡散し、模倣作が多数生まれた。2022年までに第三章まで発表されたシリーズは、各回で参照ポップカルチャーのレイヤーが密になり、「元ネタ探し」の楽しみもある。
聴きどころ
『dariacore 1』(2021年)を最初に聴くとき、個々のサンプルを特定しようとするのではなく、音の流れ全体を映像のように流すほうがよい。どのタイミングでキックが突き刺さり、どのボーカルが浮かんでくるかを「解析」するよりも「洪水に乗る」感覚が向いている。3〜4回繰り返すうちに「聴いたことある声」が聴こえてくるようになり、そこで初めてサンプルの素材を調べると楽しめる。
音楽的特徴
楽器サンプラー、DAW
リズム150-170BPM、密集サンプル、急速展開
代表アーティスト
- leroy
代表曲
dariacore 2 — leroy (2021)
dariacore 3 — leroy (2022)
dariacore 1 — leroy (2021)
dariacore intro — leroy (2021)
dariacore exit — leroy (2022)
日本との関係
初めて聴くなら
leroyの『dariacore 1』(2021年)から。短い曲(10分未満)で、ダリアコアの基本的な手法が最も整理されて現れている。聴いた後に『dariacore 2』(2021年)に進むと、同じ手法がより高密度になっていく変化が追える。イヤホンよりもスピーカーで、音量を大きめにして聴くほうが「音の洪水」の体験が鮮明になる。
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- ヒップホップ・R&Bレイジ・ラップ
- エレクトロニックシジルコア
- ヒップホップ・R&Bブルックリン・ドリル
- ヒップホップ・R&Bプラッグンビー
- ヒップホップ・R&Bプラッグ
- ヒップホップ・R&Bシカゴ・ドリル
- ラテン・カリブムンバトン
- 伝統・民族インディー・フォーク
