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Pop

Hyperpop

2014–present

2010年代後半に台頭した電子ポップ。声をキーンと吊り上げ、音を割れるまで歪ませ、何層にも重ねた、飽和点まで盛った音楽だ。

What it sounds like

ポップスを「過剰に整え、過剰に甘く、過剰に歪ませる」方向へ突き詰めた電子ポップだ。聴いた印象を先に言えば、声は人間離れしてキラキラと割れ、低音は潰れて轟く。主な道具立てはシンセサイザー、ピッチを極端に上げた歌声(オートチューン)、飽和してつぶれた808ベース(ドラムマシンTR-808由来の重低音)、金属質の打楽器、細かく刻んだ声のサンプル——といったところだ。テンポはおおむねBPM130〜180程度と速く、曲の途中で変わることも多い。あえて「壊れている」ように聞かせるため、音が割れたザラつき(クリッピング)もそのまま残す。曲の長さは1分半〜2分半と短く、TikTokで広まりやすい尺になっている。歌詞は恋愛、自己肯定、過剰な感情、薬物、インターネット文化を扱う。

How it came about

ひとことで言えば、2010年代に一部の若者が思い描いた「次のポップはこんな音になるはず」という予感が、そのまま現実になったジャンルだ。起点は2013年にロンドンでA. G. Cookが立ち上げたレーベル、PC Music。Hannah DiamondやGFOTYといった周辺アーティストと、盟友SOPHIE、そしてCharli XCXのまわりで、ポップスの「型」をいったん壊してつくり直す実験が始まった。2015年ごろにDylan BradyとLaura Lesが組んだデュオ100 gecsは、そこにエモやスカ、ニュー・メタルの要素を混ぜ込み、2019年にアルバム『1000 gecs』を発表する。同2019年、Spotifyの編集者がプレイリスト「Hyperpop」を通じてこのジャンル名を広め、それまで散発的に使われていた呼び名が一気に定着した。そしてCharli XCXは『brat』(2024)で、かつて実験室の音だったものをそのまま世界中のチャートに乗せた。十年前の予感は、そのまま現実になった。

What to listen for

オートチューンの極端な使い方(SOPHIEの曲では声がほぼ楽器のように扱われる)。808ベースが歪みすぎて音色そのものが破壊されているところ。サビの突然の音域ジャンプ、テンポチェンジ、無音の挿入。尺が短いぶん、何度も通すうちに埋もれた細部が立ち上がってくる。

If you only hear one thing

1曲だけ聴くなら、100 gecs『money machine』(2019)。2分足らずの中にハイパーポップらしさがぎゅっと詰まっている。Charli XCX『Vroom Vroom』(2016)もシーンの起点。SOPHIEなら『It's Okay to Cry』(2017)。アルバムなら、Charli XCX『brat』(2024)。最も聴きやすい入口でありながら、このジャンルが主流にたどり着いた到達点でもある。

Trivia

「ハイパーポップ」という名前は、Spotifyの編集者リジー・サボがプレイリストを通じて広め定着させたものだが(ラベル自体はもともとSpotifyのメタデータ上のタグに由来する)、当初そこに入れられたアーティストの多くはこのラベルを拒否していた。名前は外から貼られたものだった。SOPHIE(本名Sophie Xeon)の2018年作『Oil of Every Pearl's Un-Insides』は、グラミー賞の最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム部門にノミネートされた。そのSOPHIEは2021年1月30日、滞在先のアテネで満月の写真を撮ろうと高い場所に登り、足を滑らせて転落、34歳で亡くなった。自ら切り開いたシーンは、その中心にいた存在を、一夜にして失った。

Hear the rhythm

The signature rhythm pattern of this genre. Press play to loop it, and follow the score below to see which beat is sounding.

Trap · 140 BPM

Notable artists

  • Charli XCX2008–present
  • A.G. Cook2011–present
  • GFOTY2013–present
  • SOPHIE2013–2021
  • 100 gecs2015–present
  • ericdoa2019–present
  • glaive2020–present

Notable tracks

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around 2014 (±25 years)