ディスコ
1970年代の米国で成立した、4つ打ちと豪華なオーケストレーションを特徴とするダンスポップ。
どんな音か
途切れず踊り続けられること——ディスコの設計はこの一点に尽きる。テンポはBPM110〜130、キックは1拍ごとに鳴る「四つ打ち」、ベースは同じ音を1オクターブ上下に行き来する「オクターブ・ベース」で1拍ごとに動く。この四つ打ちとオクターブ・ベースが、踊りを止めさせないエンジンだ。その上に、弦とホーンを分厚く重ねる。ハイハット(シンバルの一種)は裏拍の8分を細かく刻み、ギターは「カッティング」(短く弾んで刻む奏法)で勢いをつけ、ピアノは小気味よくコードを散らす。ボーカルは男女どちらも担い、サビでは大勢の合唱になることが多い。曲尺は5〜10分のロング・バージョンが主流で、DJがフェードイン/アウトで延々と繋ぐためのフォーマットだ。オーケストラ並みの大編成を、クラブの大音量でも音が潰れないように調整して鳴らす——踊る場所のために組み直したオーケストラ・ポップだ。
生まれた背景
もとになったのは、フィラデルフィア・ソウルの分厚い弦、ファンクのリズム、ラテン音楽の打楽器だ。これらを混ぜ合わせ、四つ打ちのキックを加えたことで、途切れず踊り続けられる新しい音楽が生まれた。舞台は1970年代前半、ニューヨークの黒人・ラテン系・ゲイ・コミュニティの初期アンダーグラウンド・クラブ群(The Loft、Sanctuary、Continental Baths など)。人種も性的指向も問わない解放区だった。なかでもDJのデヴィッド・マンキューソは招待制のパーティ『The Loft』を始め、高音質再生とコミュニティを重んじるダンスフロア文化を築いた。スタジオの音作りも独自の色を持つ。フィラデルフィアのプロデューサー、ギャンブル&ハフが分厚い弦を、シックのナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズが歯切れのよいギターとベースを供給した。1977年、ジョン・トラヴォルタ主演の映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が世界的なブームを起こす。同じころジョルジオ・モロダーは、ドナ・サマーとの仕事で、それまで人が生演奏していたリズム隊(ドラムやベース)を、機械に自動演奏させる「打ち込み」のシンセ・ベースに置き換えた。これにより、四つ打ちで踊れる形をさらに先へ進めた。だが1979年、人種差別や同性愛差別を背景にしたディスコ排斥運動が起こる。シカゴの球場に集めたディスコのレコードを爆破する過激なイベント『ディスコ破壊の夜(ディスコ Demolition Night)』はその象徴だった。これを機に、ディスコは表向き幕を閉じる。それでもその音はハウス、テクノ、ガラージへと受け継がれていく。
聴きどころ
まずオクターブ・ベースに耳を。同じ音を1オクターブ上下に行き来する動きで、ディスコと一発で分かる最大の目印だ。次にハイハットの裏拍、ストリングスのスウィープ(弦が一気に駆け上がるように鳴る箇所)、ギターのカッティング、ホーンが一斉に鳴らす決め所。長い12インチ・バージョンでは「ブレイク」——バンドが抜けてドラム・ベース・打楽器だけになる箇所——にも注目したい。DJが次の曲へつなぐための余白だ。曲が長めなのもこのためで、そう知って聴くと冗長に思えた長尺が腑に落ちる。
リズムを聴く
このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。
代表アーティスト
- Bee Gees
- Michael Jackson
- Donna Summer
- The Trammps
- Chic
代表曲
- Disco Inferno — The Trammps (1976)
- I Feel Love — Donna Summer (1977)
- Stayin' Alive — Bee Gees (1977)
- Le Freak — Chic (1978)
- Hot Stuff — Donna Summer (1979)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 古典新ロマン主義
- ジャズフュージョン
- 宗教・霊歌コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック
- ロック・メタルカントリーロック
- ヒップホップ・R&Bヒップホップ
- ロック・メタルパンクロック
- ラテン・カリブサルサ
- ロック・メタルサイケデリックロック
