ヒップホップ・R&B

ジャージー・ドリル

Jersey Drill

ニューアーク / アメリカ合衆国 / 北米 · 2021年〜

Jersey ClubのリズムにDrill的TR-808とラップを乗せた、2022年以降に台頭したサブジャンル。

どんな音か

ニュージャージー州ニューアーク発のドリル系ヒップホップ。BPM 140〜150(ハーフタイムで70〜75)。ジャージー・クラブ(ニューアーク発のクラブ音楽)のシンコペーションを取り入れた独特のスネア・パターン、シンセ・ベース、暗いマイナーキー、トリプレット・ハイハット。ヴォーカルは英語、ニューアーク訛り、半分囁き半分ラップ。歌詞は英語、テーマはストリート暴力、ギャング抗争、警察、薬物、自己肯定。録音は重低音と冷たい質感が前面、ジャージー・クラブの「Bed Squeak(ベッドの軋み音)」サンプルが時々挿入される。

生まれた背景

2020年頃のニュージャージー州ニューアーク。ブルックリン・ドリルが世界化する中で、ニューアークの若いプロデューサー(MCVertt、Cash Cobain系)が、ジャージー・クラブ(2000年代からのニューアーク発クラブ音楽)のシンコペーション感覚をシカゴ・ドリルに混ぜたのが起点。Bandmanrill、SHA EK、DUDU、SyKo The Coldestらが代表。2022〜23年にBandmanrill『Heartbroken』が世界規模でバイラル化し、ジャージー・ドリルが認知された。スタイルは現在進行形で発展中。

聴きどころ

ジャージー・クラブの「Bed Squeak」(ベッドのきしむ音)サンプルが、ドリルのドラム・パターンに突然挿入される独特の温度感。スネアが「ドゥンドゥンドゥン」とシンコペートする(2&4ではなく、独特の位置)パターン。MCVerttのプロデュースは、暗いシンセと明るいジャージー・クラブのリズムが共存する独特の音響を作る。

発展

TikTokで急速拡散し、Drakeも採用するなどメインストリーム化が進行。

出来事

  • 2022: Bandmanrill『Heartbroken』 / 2022: Drake『Sticky』

派生・影響

Brooklyn Drill、Jersey Club、UK Drill。

音楽的特徴

楽器DAW、TR-808、サンプラー

リズム140 BPM、Drill 808、Jerseyキックパターン

代表アーティスト

  • Bandmanrillアメリカ合衆国 · 2021年〜

代表曲

  • Jiggy in JerseyBandmanrill (2022)
  • HeartbrokenBandmanrill (2022)
  • Got ThatBandmanrill (2023)
  • Click n SpinBandmanrill (2022)
  • Heartbroken (Remix)Bandmanrill (2022)

日本との関係

ジャージー・ドリル日本での認知はまだ限定的だが、2023年以降にBAD HOP、JP THE WAVY、Tohjiなどがその語法を試している。日本ヒップホップ・コミュニティは欧米のサブジャンルへのキャッチアップが速い。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、Bandmanrill『Heartbroken』(feat. MCVertt)(2022)。ジャージー・ドリルの代表的1曲。SHA EK『Like Diss』(2022)、DUDU『Cooler Than Me』も外せない。

豆知識

「Bed Squeak」(ベッドのきしむ音サンプル)は、もとは2000年代のジャージー・クラブで頻繁に使われていた音色。露骨にセクシュアルな含意があり、これがシカゴ・ドリルの暴力的内容と結合する独特の温度感が、ジャージー・ドリルのアイデンティティを作った。MCVerttはYouTubeのチュートリアルでビート制作を独学し、10代でシーンの中心プロデューサーになった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャージー・ドリルを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 2021年前後 (±25年)

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