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エレクトロニック

ダブステップ

Dubstep

ロンドン / イギリス / 西ヨーロッパ · 2002年〜

2000年代初頭のロンドンで成立した、低重心のサブベースとシンコペートしたリズムを特徴とする電子音楽。

どんな音か

BPMは140前後(おおむね138〜142)。ダンス音楽としては中速だが、体感はずっと遅い。普通のダンス音楽がスネア(タンッと鳴る乾いた太鼓の音)を2拍目と4拍目に置くのに対し、ダブステップは重いスネアを3拍目だけに落とす。これがドラムを半分の速度に感じさせる仕組みで、「ハーフタイム」と呼ばれる骨格になっている。中心になるのはシンセでつくる低音(シンセ・ベース)だ。この低音の音色を周期的に揺らし、「ウォブル(うねり)」と呼ばれる独特のゆらぎを生むのが、このジャンルの顔になっている。ドラムは数を絞り、ダブ由来の質感をまとう。あえての無音(打音と打音のあいだの間)、長く尾を引く残響、そして2ステップ由来の跳ねたノリが、低音だけでは出せない奥行きを生む。ヴォーカルは少なく、短いフレーズが断片的に差し込まれる程度。こうした曲はクラブの大型サブウーファーで鳴らすことを前提につくられる。だから低音域がとくに強調され、耳で聞くというより体で感じる音になる。

生まれた背景

2000年代前半の南ロンドン(クロイドン)。UKガラージダブを下敷きに、Skream、ベンガ、Mala(Digital Mystikz)らが、レコード店ビッグ・アップルとクラブイベント「FWD>>」を拠点に実験を重ねた。2007年にはBurialの2枚目のアルバム『Untrue』が世界的に高く評価され、より陰影に富んだ方向性を示した。2010年前後にはアメリカ合衆国でSkrillexが、攻撃的でメロディアスな派生型「ブロステップ(brostep)」をEP『Scary Monsters and Nice Sprites』(2010)、続く『Bangarang』(2011)で大ヒットさせ、ダブステップはEDMの主流ジャンルの一つになった。以降は本来のUKダブステップと派生のブロステップが、別々の場で共存している。

聴きどころ

まず「ハーフタイム」を確かめたい。140BPMのダンス曲なのに、手拍子してみると1小節に強いスネアが1発しか来ない。次に「ドロップ」と呼ばれる、ベースが落ちる瞬間。曲の前半で緊張を溜めて、ドロップで一気に解放する構造だ。ウォブル・ベースのうねるような低音は、音量を上げるほど体に響く。サブベースは耳ではなく腹で感じる音域で、スマートフォンのスピーカーでは魅力が半分も伝わらない。

リズムを聴く

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

ダブステップ · 140 BPM

代表アーティスト

  • Bengaイギリス · 2002年〜
  • Chase & Statusイギリス · 2003年〜
  • Skreamイギリス · 2003年〜
  • Skrillexアメリカ合衆国 · 2004年〜
  • Burialイギリス · 2005年〜
  • Joy Orbisonイギリス · 2009年〜

代表曲

日本との関係

日本ではEDMブームの一環として2010年代前半に広まり、Skrillex(2012年TBSサミット出演)、特にSkrillex+砂原良徳のような実験的コラボもあった。Boris、Boom Boom Satellites、Pa's Lam System、TAARなど、ダブステップ寄りの音響を取り入れた日本人プロデューサーもいる。

初めて聴くなら

まずアルバム全体で空気感を味わうなら、Burial『Untrue』(2007)。一曲で派手な落差を体感するなら、Skrillex『Bangarang』(2011)。その中間を埋めるのが、Magnetic Man『I Need Air』(2010, シングル)。UKの正統派からEDM寄りまでを一望できる三作だ。ここまでは英米。日本のシーンを覗くなら、SUNGA『Reactor』を。

豆知識

ダブステップ」の語源は「Dub」と「2-step」(UKガラージのリズム名)を組み合わせたもの。dubと2-stepを核とするこの音を、ひとつのジャンルとして名づけたとされるのが、レーベル Tempa/Ammunition Promotions の Neil Jolliffe だ。Sarah Lockhart や Oris Jay らとの会話のなかで生まれた呼び名と言われ、ライターの Martin Clark が2002年に米誌 XLR8R に書いた記事で広まった(DJ Hatcha は命名者ではなく初期の代表的なDJ)。一方、覆面で活動したBurialの正体は長く謎に包まれていたが、本人(William Bevan)は2008年にウェブ上で身元を明かした。本人いわく、今もスタジオを持たず、自宅でラップトップだけで制作しているという。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代1990年代2000年代2010年代ダブステップダブステップダブダブUKガラージUKガラージUKベースUKベースフューチャー・ベースフューチャー・ベース凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ダブステップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 2002年前後 (±25年)