エレクトロニック

グライム

Grime

ロンドン / イギリス / 西ヨーロッパ · 2002年〜

2000年代初頭のロンドンで成立した、高速で電子的なHip Hop寄りのMC音楽。

どんな音か

2000年代初頭ロンドン東部発のヒップホップ電子音楽。BPM 140前後、ハーフタイム感(ドラムが半分の速度で聴こえる)。シンセ・ベース、シンセ・ストリングス、シンセ・パッド、ドラムマシンの硬質なキック、ハイハットの細かい刻み。ヴォーカルはイギリスロンドン訛り(「マルチエスニック・ロンドン英語」)、語りに近い高速ラップ。歌詞は英語、テーマはストリート、ロンドンの貧困、人種差別、警察、自己肯定。録音はクラブのサウンドシステムを意識した重低音、ヴォーカルが鋭く前面に立つ。

生まれた背景

2000〜02年のロンドン東部(Bow、Hackney、Tower Hamlets)、ガラージ(UKガラージ)とジャングルを下敷きに若いMC(司会兼ラッパー)達が独自のサウンドを作った。Wiley(ジャンルの父と呼ばれる)、Dizzee Rascal、Kano、JME、Skepta、More Fire Crew、Pay As U Goが2002〜04年にシーンを形成。Dizzee Rascal『Boy in da Corner』(2003)が世界化のきっかけ。2010年代にSkepta『Konnichiwa』(2016)、Stormzy『Gang Signs & Prayer』(2017)がイギリスチャート1位を獲得し、グライムイギリスの主流音楽になった。アメリカ合衆国ヒップホップとは別系譜の独自進化を遂げている。

聴きどころ

ハーフタイム感: BPM 140なのに、ドラムが半分の速度に聴こえる感覚。シンセ・ストリングスとシンセ・ベースの「ホラー映画的」な暗いマイナーキー。ヴォーカルが超高速で言葉を吐き出すフロウ。ロンドン訛りの俗語(「innit」「bare」「peng」「bruv」など)。

代表アーティスト

  • Dizzee Rascalイギリス · 2002年〜
  • Lethal Bizzleイギリス · 2002年〜
  • Skeptaイギリス · 2002年〜
  • Stormzyイギリス · 2014年〜

代表曲

日本との関係

BAD HOP(横浜)のメンバーがグライムの語法を直接取り入れた楽曲を発表している。Skeptaは2017年にフジロックに出演、グライム日本でも認知させた。日本グライムMCも数名活動している(YOUNG MAS、Lil$ho)。

初めて聴くなら

古典を1曲なら、Dizzee Rascal『I Luv U』(2003)。グライムの起点。Wiley『Eskimo』(2003)も外せない。現代の頂点なら、Skepta『Shutdown』(2015)、Stormzy『Vossi Bop』(2019)。

豆知識

グライム」という名前は、2002年頃にBBC RadioのDJ Sarah Loveが付けたとされる(諸説あり)。「汚れ、垢」という意味で、当時のイギリスメディアが「ガラージの汚いバージョン」として侮蔑的に使った言葉が、シーンの自称として定着した。Skepta(本名Joseph Adenuga)はナイジェリア系英国人2世で、Drakeとも親交が深い。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代1990年代2000年代2010年代グライムグライムヒップホップヒップホップUKガラージUKガラージアフロスウィングアフロスウィング凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
グライムを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 2002年前後 (±25年)

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