エレクトロニック

トランス

Trance

ドイツ / 西ヨーロッパ · 1990年〜

1990年代初頭のドイツで成立した、メロディアスで高揚感あるエレクトロニックダンス。

どんな音か

BPMは130〜145。テクノと同じく4つ打ちキックが基盤だが、上に乗るシンセのメロディとアルペジオが感情的・宗教的・神秘的に作られているのが違い。曲構造は「イントロ→ブレイクダウン(キックが抜ける)→メロディの提示→ドロップ(キックが戻る)→クライマックス」と、明確にドラマを描く。曲尺は5〜10分。サイドチェイン(キックに合わせて他の音が呼吸する加工)が前面に出ることが多い。歌付きの「ヴォーカル・トランス」では、女性ボーカルが空に向かって伸びる長いフレーズを歌う。

生まれた背景

1990年代前半、ドイツのフランクフルト周辺で、テクノからより旋律的・上昇的な方向に分岐したのが起点。Sven Vath、Cosmic Babyの世代。同じ時期にイギリス・ベルギーで「ハードコア・トランス」、オランダで「アップリフティング・トランス」、イスラエル/ゴアで「サイケデリック・トランス(goa trance)」が並行発展。1999年〜2000年代前半、Tiesto、Armin van Buuren、Paul van Dykが世界規模で広め、ヨーロッパの大型フェス(Tomorrowland、Dance Valley)の中心ジャンルになった。

聴きどころ

ブレイクダウンとドロップの「溜めと解放」のドラマ。シンセ・メロディが何小節かけて上昇していくか、サイドチェインのキックの呼吸感、女性ボーカルが入る曲ならボーカルの伸びと裏のシンセの呼応。クラブで踊るというより、フェスで「両手を上げて」体験するための音楽として設計されている。

音楽的特徴

リズム4つ打ち、130-150 BPM、長いブレイクとビルド

代表アーティスト

  • Robert Milesイタリア · 1990年〜2017
  • Paul van Dykドイツ · 1991年〜
  • Tiëstoオランダ · 1994年〜
  • Armin van Buurenオランダ · 1995年〜
  • Darudeフィンランド · 1995年〜

代表曲

日本との関係

2000年代前半、ageHaが若い世代のクラブ最大拠点になり、トランスJ-POP寄りの聴衆まで届いた。Cyber TRANCEシリーズ(avex)、コンピレーション盤がヒットチャートに入る現象も起きた。Ferry Corsten、Armin van Buuren、Tiestoは何度も来日し、フジロック、SUMMER SONICのダンス・ステージにも常連だった。

初めて聴くなら

ヴォーカル・トランスの典型なら、Tiesto『Adagio for Strings』(2005)。アップリフティングなら、Above & Beyond『Sun & Moon』(2011)。サイケデリック・トランスなら、Astrix『Type 2』。

豆知識

トランス」は文字通り「トランス状態(恍惚状態)」から。長尺のトラックが続くフェスで、聴衆は文字通り意識が変容することを期待している。インド・ゴア州のビーチで生まれた「ゴア・トランス」は、もとはヒッピー文化と東洋哲学の融合シーンに由来する。

影響・派生で結ばれたジャンル

トランスを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ドイツ · 1990年前後 (±25年)

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