新しい単純性
1970年代後半ドイツで興った、新複雑性に対峙して直截的・調性的書法を志向する潮流。
まずはここから
ひとことで言うと1970年代後半ドイツで興った、新複雑性に対峙して直截的・調性的書法を志向する潮流。
まずはこの曲からヴォルフガング・リーム — Dis-Kontur ▶ YouTube
代表的な人ヴォルフガング・リーム
どんな音か
新しい単純性は、1970年代後半のドイツで語られた現代音楽の潮流。難解な構造を前面に出す新複雑性やダルムシュタット楽派の抽象性に対し、より直接的な身振り、調性感、感情の圧を取り戻そうとした。単純という名だが、幼稚な簡略化ではない。聴こえる形で緊張を作り、音楽が身体や劇へ戻ることを重視する。
聴きどころ
音列や理論を先に追うより、音がどんな身振りとして出てくるかを聴く。急な叫び、分厚い和音、静かな独白、過去の音楽を思わせる影が交互に現れる。単純性は、旋律が分かりやすいという意味だけではなく、表現が遠回りせずに届くという意味でもある。劇作品なら、声と器楽が互いを押し広げる瞬間に注目したい。
初めて聴くなら
入口は「Jakob Lenz — ヴォルフガング・リーム (1979)」。劇的な声の扱いと切迫した音響が分かる。器楽の密度を聴くなら「Dis-Kontur — ヴォルフガング・リーム (1974)」、大きな音響のうねりなら「Tutuguri — ヴォルフガング・リーム (1989)」がよい。
代表アーティスト
- ヴォルフガング・リーム
代表曲
- ヴォルフガング・リーム — Dis-Kontur (1974)
- ヴォルフガング・リーム — Jakob Lenz (1979)
- ヴォルフガング・リーム — Klangbeschreibung I (1982)
もっと見る(あと2件)
- ヴォルフガング・リーム — Tutuguri (1989)
- ヴォルフガング・リーム — Jagden und Formen (2001)
生まれた背景
西ドイツのダルムシュタット楽派が制度化される中で、ヴォルフガング・リームら若い作曲家が、表現主義、ロマン派、劇場性を再び引き寄せた。1970年代の政治的、文化的な空気の中で、厳密なシリアリズムだけでは扱いきれない主観や声の強さが求められた。
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リームの「Jakob Lenz」は、その方向を示す代表的な舞台作品である。
音楽的特徴の詳細
楽器管弦楽、室内楽、声楽
リズム調性/半調性、表現主義的叙情、直截的形式
発展
リーム「Jakob Lenz」(1979、室内オペラ)、「Dis-Kontur」(1974)、「Schrift-Um-Schrift」、ボーゼ「Symbolum」など、リズム・ハーモニーの直截的・劇的回復を示した。日本では佐藤聰明など類似志向の作曲家もいる。
出来事
- 1977: ドナウエッシンゲン音楽祭、リーム作品で話題
- 1978: 「Neue Einfachheit」用語の流通
- 1979: リーム「Jakob Lenz」
- 1989: リーム「Tutuguri」全曲完成
派生・影響
新ロマン主義(米国)、現代の調性的書法、現代映画音楽の感情的書法に影響を残している。
日本との関係
日本では現代音楽の文脈でリーム作品が演奏、紹介されてきた。ダルムシュタット楽派、ミニマリズム、新ロマン主義を比較する授業や演奏会で触れられることがある。日本の作曲家や演奏家にとっても、厳格な構造と感情表現をどう両立させるかという問題を考える参照点になりうる。
豆知識
新しい単純性という名称は便利だが、リーム本人を含む作曲家たちの全貌を一語で説明できるわけではない。むしろ、前衛の後にもう一度、情念、歴史、声、劇を作曲へ戻すための合図として見ると理解しやすい。
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単純さはゴールではなく、表現を隠さないための態度だった。
影響・派生で結ばれたジャンル
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