エレクトロニック

ゴア・トランス

Goa Trance

ゴア / インド / 南アジア · 1990年〜

1990年代初頭、インド・ゴア州のヒッピー・パーティ文化から発展したトランス。サイケデリックな上音とアシッドベースを特徴とする。

どんな音か

BPM 130〜150のサイケデリック・トランス電子音楽。シンセサイザーの複雑なアルペジオ(分散和音を高速で連打)、4つ打ちキック、ハイハットの細かい刻み。ヴォーカルはほぼ無し、東洋系のサンプル音声、宗教的なフレーズが時々挿入される。曲尺は7〜10分のDJ向け長尺。「サイケデリック」要素として、シタールやタブラのサンプル、東洋哲学のテキスト、揺れるシンセ・パッド(LFO使用)が定型。録音は屋外フェスでの大型サウンドシステム再生を意識した重低音と高音の鮮明さ。

生まれた背景

1980年代後半のインド・ゴア州(旧ポルトガル植民地、ヒッピー集落として有名)で、欧米から来た若者たちがビーチ・パーティで電子音楽をかけ始めたのが起源。1989〜92年にDJ Goa Gil、Goa Connectionらがアシッド・ハウス、テクノを「より精神的に」アレンジ。1993〜97年にイスラエル発のInfected Mushroom、ドイツのEat Static、イギリスのJuno Reactorらが商業化、世界各地に「サイトランス」フェスティバル(Boom Festival, Ozora, Universoなど)が広がった。ピーク後はPsy-トランス、Dark Psy、Forest トランス、Suomisaundi、Hi-Tech Psyなど多様化が続いている。

聴きどころ

シンセサイザーのアルペジオが、1小節のなかで何音動くか(古典的な16〜32音の高速アルペジオ)。サイドチェイン(キックに合わせて他の音が呼吸する加工)で全体が「うねる」感覚。ブレイクダウン(キックが消える)から再びキックが戻る瞬間の緊張感。屋外で大音量で聴くのが本来のフォーマット。

発展

1995年前後にDragonflyやBlue Roomレーベルを通じて欧州メインストリーム化。後にPsychedelic Trance(Psytrance)として再定式化された。

出来事

  • 1991: Goaシーン形成期 / 1995: Hallucinogen『Twisted』 / 1997: Astral Projection『Dancing Galaxy』

派生・影響

Psytrance、Acid Trance。

音楽的特徴

楽器TB-303、シンセ、サンプラー

リズム135-150 BPM、4つ打ち、アシッド・ベースライン

代表アーティスト

  • Astral Projectionイスラエル · 1991年〜
  • Infected Mushroomイスラエル · 1996年〜

代表曲

日本との関係

1990年代後半〜2000年代に日本にもサイトランス・シーンが定着、八ヶ岳・富士山麓・伊豆などで野外フェスが開催された(SOLSTICE、Gathering、Re:Birthなど)。日本人プロデューサーではTSUYOSHI SUZUKI、KEN ISHII(初期)、BLAQ JAQUEなど、世界レベルで活動した。

初めて聴くなら

古典なら、Astral Projection『Trust in トランス』(1996)。商業ピーク期の代表作。Infected Mushroom『The Gathering』(1999)、Hallucinogen(Simon Posford)『Twisted』(1995)。

豆知識

ゴア州のビーチ・パーティ文化は、1960年代後半のヒッピー・ムーブメント(アメリカ合衆国ヘイト・アシュベリーから流れ着いた人々)が起源。インド政府は1990年代以降、過剰な薬物使用と環境破壊を理由にビーチ・パーティを規制し、現代はゴア発のサイケデリック・パーティはむしろブラジル(Universo Paralello)、ポルトガル(Boom Festival)、ドイツ(VuuV Festival)で開催されている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1990年代ゴア・トランスゴア・トランストランストランスサイトランスサイトランス凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ゴア・トランスを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

インド · 1990年前後 (±25年)

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