エレクトロニック

マイクロハウス

Microhouse

ベルリン / ドイツ / 西ヨーロッパ · 2000年〜

2000年代初頭のドイツ周辺で広がった、ハウスの四つ打ちにクリック音、細かなサンプル、グリッチ処理を組み込むミニマルな電子音楽。

どんな音か

マイクロハウスは、キックが一定に鳴っていても、派手なシンセリフで押す音楽ではない。カチッ、プツッ、紙をこするような小さな音がリズムの隙間に置かれ、ベースは低く丸く、声の断片や生活音のサンプルが細かく刻まれる。Akufenのようにラジオの切れ端を散らすものもあれば、Ricardo Villalobosの長尺トラックのように、ほとんど動いていないようで少しずつ床の揺れが変わるものもある。

生まれた背景

2000年前後のドイツ、特にケルンやベルリン周辺のミニマル・テクノ、Clicks & Cuts、グリッチの流れから形が見えてきた。クラブで踊るハウスの機能を残しながら、デジタル編集で生まれる失敗音やノイズをリズム素材にした点が新しかった。大音量のピークより、長く踊るための細部の変化を好む時代の感覚がある。

聴きどころ

バスドラムだけでなく、裏拍の小さなクリックや、声の切れ端がどの拍に入るかを聴くと面白い。大きな展開を待つより、8小節ごとにハイハットが薄くなったり、ベースの長さが変わったりする微細な差を拾う音楽だ。スピーカーで聴くと低音の反復、ヘッドホンでは粒の配置がよく見える。

発展

2002年頃Perlon、Force Inc.周辺で確立。Akufen『My Way』(2002)がマイルストーン。後にRomanian Minimalへの影響を残した。

出来事

  • 2000: 『Clicks & Cuts』Vol. 1 / 2002: Akufen『My Way』 / 2003: Matthew Herbert『Goodbye Swingtime』

派生・影響

Minimal Techno、Glitch、Romanian Minimal。

音楽的特徴

楽器DAW、サンプラー、TR-909、グリッチプラグイン

リズム120-125 BPM、マイクロサンプル、クリックリズム

代表アーティスト

  • Ricardo Villalobosチリ/ドイツ · 1992年〜
  • Akufenカナダ · 1995年〜
  • Matthew Herbertイギリス · 1996年〜

代表曲

日本との関係

日本では2000年代のクラブ、電子音楽専門店、ミニマル・テクノのDJ文化を通して受け入れられた。大衆的なヒットとは別の場所で、渋谷や代官山周辺のレコード店、深夜イベント、オンキョー(音響)リスナーの間に浸透した。日本のクリック、音響派、ラップトップ演奏とも相性がよかった。

初めて聴くなら

踊りの輪郭をつかむなら「Deck The ハウス — Akufen (2002)」。サンプルの切れ味とハウスの足腰が同時に分かる。より深く沈むなら「Easy Living — Ricardo Villalobos (2003)」、歌やスウィング感を残した入口なら「Goodbye スウィングtime — Matthew Herbert (2003)」がよい。

豆知識

マイクロハウスという名は、音量が小さいというより、音の単位が小さいことをよく表している。スネア一発の代わりに、短いノイズ、息、ラジオの破片を置く発想があり、同じ四つ打ちでもディスコ的な華やかさとはかなり違う。

影響・派生で結ばれたジャンル

マイクロハウスを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

マイクロハウス の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ドイツ · 2000年前後 (±25年)

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