レダクショニズム
2000年前後ベルリンを中心に展開した、Wandelweiserと音響系の中間に位置する極限即興。
どんな音か
レダクショニズムは、即興演奏から音数、身ぶり、表現の過剰さを極限まで減らした音楽。トランペットの息だけ、打楽器の小さな擦過音、電子機器のかすかなノイズが、長い沈黙の中に置かれる。演奏していない時間も、緊張した音楽の一部として扱われる。
生まれた背景
2000年前後のベルリンを中心に、Wandelweiserの静けさ、Echtzeitmusik、音響系即興が交差して生まれた。フリー・インプロヴィゼーションの激しい応酬から離れ、演奏者がどれだけ音を出さないか、出すならどれほど小さく置くかを問うた。Axel DörnerやBurkhard Beinsはこの領域の重要な演奏家である。
聴きどころ
音が少ないので、出た音そのものだけでなく、出る前と消えた後を聴く。息、金属の接触、皮の振動、部屋の空調音まで意識に入ってくる。退屈に感じる時間を越えると、演奏者同士の小さな判断が見える。
発展
Wandelweiser作曲家(Antoine Beuger等)とも近接し、即興と作曲の境界を再交渉する潮流となった。
出来事
- 2000: Beins/Dörner/Lehn共演 / 2003: 『AMPLIFY: balance』
派生・影響
Onkyokei、Wandelweiser、Free Improvisation、EAI。
音楽的特徴
楽器拡張奏法トランペット、内部ピアノ、フィードバック、自作楽器
リズム極端な静けさ、長い沈黙、テクスチャ志向
代表アーティスト
- Axel Dörner
- Burkhard Beins
代表曲
Polwechsel — Burkhard Beins (2008)
Trumpet Solos — Axel Dörner (2002)
Disco Prova — Burkhard Beins (2003)
Reductions — Axel Dörner (2005)
Common Objects — Burkhard Beins (2010)
日本との関係
日本の音響系即興、ONKYO、ノーインプット・ミキサー周辺の演奏と近い耳で聴ける。大友良英、Sachiko M、中村としまるらの活動を知る人には、ベルリンの静かな即興との接点が見つかる。小空間のライブでこそ体験が深い。
初めて聴くなら
入口は「Trumpet Solos — Axel Dörner (2002)」。トランペットが息やノイズへ分解される感覚が分かる。打楽器的な静けさなら「ディスコ Prova — Burkhard Beins (2003)」。複数演奏者の関係は「Polwechsel — Burkhard Beins (2008)」もよい。
豆知識
レダクショニズムは、音楽を貧しくするのではなく、余計なものを減らして聴覚を鋭くする態度である。音が少ないほど、演奏者の一つの動きや会場の空気が大きく聞こえる。
