エレクトロニック

IDM

Intelligent Dance Music

イギリス / 西ヨーロッパ · 1992年〜

1990年代に成立した、複雑で実験的・非ダンスフロア向けの電子音楽。

どんな音か

IDMは、テクノやエレクトロニカを、ダンスフロアだけでなくヘッドホンでも聴ける複雑な電子音楽として発展させた呼び名。Aphex Twinは美しいメロディと奇妙な音色を並べ、Autechreはリズムを機械の折り紙のように変形させる。Boards of カナダは古い映像のようなシンセで記憶を揺らす。踊れる瞬間もあるが、拍はしばしばねじれる。

生まれた背景

1990年代初頭のイギリスで、Warp RecordsのArtificial Intelligenceシリーズなどを通じて広まった。レイヴやテクノのエネルギーを背景にしながら、家で聴く電子音楽、複雑なビート、実験的な音響へ向かった。Intelligentという名前は議論も呼んだが、当時の電子音楽の聴かれ方を変えたラベルである。

聴きどころ

ドラムの変則性と、意外に美しいコード進行の両方を聴くとよい。拍を数えようとして迷う曲でも、低音の周期やシンセのフレーズが手がかりになる。荒いノイズの奥に柔らかい旋律が隠れていることも多い。

代表アーティスト

  • Aphex Twinイギリス · 1985年〜
  • Boards of Canadaイギリス · 1986年〜
  • Autechreイギリス · 1987年〜
  • Squarepusherイギリス · 1995年〜

代表曲

日本との関係

日本では90年代後半から2000年代の電子音楽リスナー、クラブ、輸入盤店、音楽誌で強く受け入れられた。ゲーム音楽や同人電子音楽を聴く層とも相性がよく、複雑な打ち込みや美しいシンセの語法は日本の制作者にも影響した。

初めて聴くなら

美しい入口は「Xtal — Aphex Twin (1992)」や「Avril 14th — Aphex Twin (2001)」。ポップな郷愁なら「Roygbiv — Boards of カナダ (1998)」。リズムの難解さに挑むなら「Gantz Graf — Autechre (2002)」へ進むとよい。

豆知識

IDMという言葉は便利だが、作家本人やリスナーから嫌われることも多い。踊る音楽を知的ではないと見下すように響くためで、実際にはクラブ文化と実験精神の両方から生まれた音楽である。

影響・派生で結ばれたジャンル

IDMを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 1992年前後 (±25年)

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