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エレクトロニック

テック・ハウス

Tech House

ロンドン / イギリス / 西ヨーロッパ · 1996年〜

ハウスの4つ打ちにテクノのミニマルさを取り入れた、1990年代後半のロンドン発サブジャンル。

どんな音か

ハウステクノの中間に位置する。テンポはBPM(1分あたりの拍数)で124〜128と、両者のちょうど中間あたりだ。ハウスより音色は乾いて電子的、テクノよりは親しみやすくノリ(グルーヴ)が効く。ベースはハウス譲りの太いシンセ。キックはリズムマシン(TR-909など)で打ち込んだような、硬く乾いた一打だ。その隙間をハイハットが細かく刻み、コンガやシェイカーがグルーヴを押す。歌はほとんど入らず、他の曲などから短く切り取った声の断片(サンプル)を繰り返すだけのことが多い。1曲は6〜8分と長めで、DJがつなぎやすいよう作られている。

生まれた背景

内輪のパーティーで生まれた乾いた音が、世界中のDJが集うイビサ島を経て、フェスのメインステージを埋めるまでに育った——テック・ハウスの歩みはそういう物語だ。ハウス(温かく声を中心に据える)とテクノ(冷たくミニマル)を融合する試みとして、1990年代半ばのロンドンのアンダーグラウンドから立ち上がった。初期の拠点は、Terry FrancisとNathan Colesが1994年に始めたパーティー「Wiggle」。Eddie Richardsらが回す乾いたグルーヴの実験場になった。2000年代にはイビサ島を通じて世界へ広まり、クラブDC10の名物パーティー「Circoloco」の中心ジャンルになる。やがてSolomunやJamie Jonesらの世代が、フェスのメインフロアを埋める音にまで押し上げた。Jamie JonesがLee Fossと2010年に立ち上げたレーベルHot Creations(ロンドン拠点)は、現行世代を牽引する一大拠点だ。

聴きどころ

1拍を4分割した細かいハイハット(16ビート)が、4つ打ちキックの隙間で小刻みに揺れる感覚をまず聴いてほしい。同じベースの繰り返しの上に、別の音(パーカッションやシンセ)が数小節ごとに加わったり消えたりする。この出入りが曲を前へ進める。ディープ・ハウスと比べてリヴァーブが少なく乾いており、ベースは旋律ではなく打楽器のように鳴るのも特徴だ。キックが消える数小節(ブレイクダウン)から、キックが戻る一瞬(ドロップ)へ——この緊張と解放はクラブで流れる電子音楽に共通する作りだが、テック・ハウスはそれを派手なメロディではなく、たった一発のキックの復帰だけでやってのける。そこが効きどころだ。

発展

2010年代にHot Creationsレーベル(Jamie Jones主宰)が世界的にシーンを拡大、Ibiza定番ジャンルとなった。

出来事

  • 1998: Mr. C / Terry Francis関連リリース / 2010: Hot Creations設立 / 2013: Jamie Jones『Tracks From The Crypt』

派生・影響

Minimal Techno、Microhouse、Deep House。

音楽的特徴

楽器TR-909、ベースマシン、DAW

リズム120-128 BPM、ミニマル4つ打ち、グルーヴィなパーカッション

リズムを聴く

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

四つ打ち · 124 BPM

代表アーティスト

  • Chris Lakeイギリス · 2003年〜
  • Jamie Jonesイギリス · 2007年〜
  • Fisherオーストラリア · 2017年〜

代表曲

日本との関係

東京WOMB、ageHa、新宿Bar Bonobo、京都Metro、福岡Pipelineなど、テック・ハウス日本のメジャーなクラブの定番ジャンル。Soichi Terada、DJ Nori、AOKI takamasaら、日本人プロデューサーも欧州のレーベルから定期的にリリースしている。

初めて聴くなら

まず今の音から入ろう。Solomun『Customer Is King』(2018)を流せば、乾いたキックと細かいパーカッションだけで体が動く——テック・ハウスがなぜ世界中のフロアを埋めるのかが分かる。メロディック寄りだが現行世代の代表格だ。もう少し踊らせたいなら、Jamie JonesがリミックスしたAzari & III『Hungry for the Power』(Ridge Street Remix, 2011)。原曲はカナダのグループの歌ものだが、Jonesの手で乾いたフロア仕様に組み替えられた一曲だ。起源に遡るなら、Terry Francis『Architecture』(1998)。Wiggleに連なるDJたちの曲を集めた、乾いたグルーヴの教科書的なミックス作品(複数曲をつないだアルバム)である。

豆知識

テック・ハウス」という名称は、音楽ジャーナリストが名付けたのではなく、DJたち自身の間から広まったとされる(諸説あり)。よく語られるのは、Mr. C(Richard West)が片面に「Tech」、もう片面に「ハウス」と書いたカセットをEddie Richardsに渡し、「デトロイトにはテクノ、シカゴにはハウスがある。自分たちのリミックスはみんな『テック・ハウス』と呼ぼう」と仲間のDJたちに持ちかけた、という逸話だ。内輪の冗談めいた呼び名が、やがて毎週Beatportのチャートを丸ごと占める名前になる——当人たちには知る由もなかった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1980年代1990年代テック・ハウステック・ハウスハウスハウス凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
テック・ハウスを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 1996年前後 (±25年)