ロック・メタル

シューゲイズ

Shoegaze

イギリス / 西ヨーロッパ · 1988年〜

1980年代末のイギリスで成立した、ノイズとリバーブで包んだ轟音ロック。

どんな音か

BPM 100〜140のオルタナ系ロック。エレキギター(歪み・リバーブ・ディレイ・コーラスを大量に重ねる「ウォール・オブ・サウンド」)、エレキベース、ドラム、ヴォーカル(ささやくような中性的トーン、男女どちらも)。ギター中心の分厚い音響の壁、その中にうっすら歌が浮かぶ構造。歌詞は英語、テーマは恋愛、内省、夢、性、抽象的なイメージ。録音はわざと音像をぼかし、楽器の境界を曖昧にする。「靴を見つめる(shoe + gaze)」という名前は、ライブでギタリストがエフェクター(足元の機器)を踏むため、ずっと下を向いていることに由来。

生まれた背景

1980年代末〜90年代前半の英国南部。My Bloody Valentine『Loveless』(1991、4年と50万ポンドをかけて作られた伝説的傑作)、Slowdive『Souvlaki』(1993)、Lush、Ride、Cocteau Twins(より広義)が代表。1990年代半ばのブリットポップ(Oasis、Blur)台頭で商業的に縮小し、シーンは事実上1996年頃に終焉。2000年代後半以降、Asobi Seksu(ニューヨーク日系)、M83、Beach ハウス、Wild Nothing、最近ではWishy、Hotline TNT、Wednesdayなど世代を超えたリバイバルが続いている。

聴きどころ

「ウォール・オブ・サウンド」: 複数のギター・トラックが何層にも重なり、個々の音が判別不可能な分厚い壁を作る。ヴォーカルがギターの音響に埋もれていて、歌詞が聴き取れないことが多い(意図的)。ベースが珍しく前面に出て、ドラムが控えめなのも特徴。My Bloody Valentine『Soon』のギター・サウンドの揺れ(トレモロ・アーム使用)は教科書的。

代表アーティスト

  • Cocteau Twinsイギリス · 1979年〜1997
  • My Bloody Valentineアイルランド · 1983年〜
  • Rideイギリス · 1988年〜
  • Slowdiveイギリス · 1989年〜

代表曲

日本との関係

Cocteau Twinsの『Treasure』(1984)、My Bloody Valentine『Loveless』(1991)は日本でカルト的人気がある。日本シューゲイズ・シーンは2000年代以降に成長し、Boris、Coaltar of the Deepers、tetragrammaton、cruyff in the bedroom、Asobi Seksu(ニューヨーク日系)、最近ではFor Tracy Hyde、kiruなど。Boris『Pink』(2005)は世界的にもシューゲイズの傑作とされる。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、My Bloody Valentine『Loveless』(1991)。シューゲイズの教科書。続けて、Slowdive『Souvlaki』(1993)、Cocteau Twins『Treasure』(1984)。最近のものなら、Wishy『Triple Seven』(2024)、Hotline TNT『Cartwheel』(2023)。日本のものなら、Boris『Pink』(2005)。

豆知識

My Bloody Valentine『Loveless』(1991)の制作費は推定50万ポンド(当時1億円)、レーベルCreation Recordsを倒産寸前に追い込んだ。ケヴィン・シールズ(MBV)はその後22年間、新作アルバムをリリースせず、2013年にようやく『m b v』を発表した。「シューゲイズ」という名前は1990年にイギリスの音楽紙Sounds誌が、ライブで下を向くMoose、Slowdive、Lushを揶揄して付けた呼称。

影響・派生で結ばれたジャンル

シューゲイズを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

シューゲイズ の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 1988年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る