ヘヴィメタル
1970年代初頭のイギリスで成立した、重厚な歪み・スピード・劇的な世界観を持つロック。
どんな音か
歪んだエレキギター2本(リードとリズム)、ベース、ドラム、ボーカル。BPMは120台から180台が主流で、ドラムはバスドラムをツーバス(左右の足で交互)で連打し、ライドシンバルの中央を強く打ち続ける。ギターはパワーコード(5度の重ね)と速いソロを切り替え、リフが曲の主題になる。歌は高音のシャウト、低音のグロウル、語りに近いクリーンと表現幅が広い。歌詞は神話、戦争、SF、宗教批判、社会への怒り、内省。録音は意図的に圧縮を強くかけ、壁のように分厚い音を作る。
生まれた背景
1968〜70年、イギリスミッドランズ地方の工業都市バーミンガム。Black Sabbathが工場の機械音を直接ギターに置き換えるような重さでデビューしたのが本格的な始まり。Led Zeppelin、Deep Purpleと並んで「ヘヴィー・ロック」の御三家になる。1970年代後半にイギリスの若手バンド群(NWOBHM = ニューウェーブ of British ヘヴィメタル)からIron Maiden、Judas Priest、Saxonが出て、1980年代にメタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスがアメリカ合衆国西海岸からスラッシュ・メタルで世界化。1990年代以降、デス、ブラック、ドゥーム、ブラッケンド、メタルコアと細分化が止まらず、現在もシーンは健在。
聴きどころ
リフ(ギターの中心フレーズ)が曲全体を支配する、その繰り返しのなかでドラマが作られる構造。ドラムのキック・パターンとギターのリズムが何拍目で噛むか、ソロの位置と長さ、ボーカルの声域の切り替え。ライブで観ると分かりやすいのは、ヘッドバンギング(首を縦に振る)のリズム取り。これが取りやすいリフこそ「良いメタルのリフ」とされる。
代表アーティスト
- Black Sabbath
- Iron Maiden
- Metallica
代表曲
- Iron Man — Black Sabbath (1970)
- Paranoid — Black Sabbath (1970)
- Run to the Hills — Iron Maiden (1982)
- The Number of the Beast — Iron Maiden (1982)
- Master of Puppets — Metallica (1986)
日本との関係
1980年代、Loudness(ラウドネス)が日本人として初めて全米メジャー(Atlantic)と契約し、80年代の日本のメタル・シーンを代表した。Anthem、X JAPAN、聖飢魔II、SEX MACHINEGUNS、BABYMETALまで、独自の系譜が続く。BABYMETALは「アイドル×メタル」の組み合わせを2010年代に世界で成立させた稀有な例で、メタルというジャンルのジェンダー観を更新したと評価されることがある。
初めて聴くなら
原型を1曲なら、Black Sabbath『Paranoid』(1970)。3分の短さに「メタルとは何か」が全部入っている。スラッシュの最高峰なら、Metallica『Master of Puppets』(1986)。8分の構築美。日本のメタルなら、X JAPAN『Silent Jealousy』。クラシックの素養とメタルの速さが並走する代表曲。
豆知識
「ヘヴィー・メタル」という言葉自体は1968年のSteppenwolf『Born to Be Wild』の歌詞「heavy metal thunder」が音楽用語として広まる発端と言われる。ヘッドバンギングの動作は、Led Zeppelinのライブで前列の客が頭を振っているのを見たローディーが命名したという説が有名。
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- ロック・メタルプログレッシブロック
- ロック・メタルスペースロック
- エレクトロニックアンビエント
- エレクトロニックフリー・インプロヴィゼーション
- エレクトロニック新複雑性
- エレクトロニックインダストリアル
- ロック・メタルニューウェーブ
- ロック・メタルポストパンク
