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ロック・メタル

ヘヴィメタル

Heavy Metal

バーミンガム / イギリス / 西ヨーロッパ · 1970年〜

1970年代初頭のイギリスで成立した、重厚な歪み・スピード・劇的な世界観を持つロック。

どんな音か

すべてはギターのリフ(中心となる反復フレーズ)から始まる。編成は歪んだエレキギター2本(リードとリズム)、ベース、ドラム、ボーカル。BPMは120台から180台が主流で、速いサブジャンルでは低音の大太鼓(バスドラム)を両足で高速に踏み込み、地響きのような連打を生む(ダブルバス)。ギターはパワーコード(低い音とその5度上を重ねた厚い和音)と速いソロを切り替え、リフが曲の主題になる。歌い方は、高く張り上げて叫ぶ声、喉をうならせる低い声(グロウル)、ふつうに澄んで歌う声まで幅広い。歌詞は神話、戦争、SF、宗教批判、社会への怒り、内省。録音では、小さい音と大きい音の差をあえて詰めて全体を均一に大きくし、壁のように分厚く途切れない音にする。

生まれた背景

1969〜70年、イギリスミッドランズ地方の工業都市バーミンガムで生まれた。Black Sabbathが、工場の機械音をそのままギターに移したような重い音でデビューした。これが本格的な始まりとされ、続くLed Zeppelin、Deep Purpleと合わせて「ヘヴィー・ロック」の源流が出そろった。1970年代後半には、疾走感のあるギャロップ・リズムを持ち込んだIron Maiden、骨太な様式を磨いたSaxonらイギリスの若手バンド群(NWOBHM = ニューウェーブ of British ヘヴィメタル)が台頭。彼らより一足早い1974年にデビューし、道を示していたJudas Priestも加わって、スタイルが固まっていった。1980年代には、リフを極限まで速く刻むスラッシュ・メタルが登場する。最速のスレイヤー、社会派のメガデス、緻密なメタリカ(いずれもサンフランシスコ・ベイエリア/ロサンゼルスなど米西海岸)と、ニューヨークのアンスラックスが「ビッグ4」として一気に世界へ広げた。以降も枝分かれは止まらない――より遅く重く沈むドゥームメタル、叫び声を多用するデスメタルやブラックメタル、攻撃性を突き詰めるメタルコアなどが次々と生まれた。速さ・重さ・暗さのどれを極めるかで道は分かれ、その都度それぞれが熱心なファンを抱える独立したシーンを生んだ。ジャンルは今も広がり続けている。

聴きどころ

リフ(ギターの中心となるフレーズ)が曲全体を支配し、その繰り返しのなかでドラマが生まれる。バスドラム(キック)とギターのリズムが、どの拍でぴたりと合うか。ソロがどこで、どれだけの長さで割り込むか。ボーカルが声域をどう切り替えるか――たとえばJudas Priestのロブ・ハルフォードは天を突くような絶叫を、Iron Maidenのブルース・ディキンソンはオペラ的なビブラートを聴かせる。ライブで観ると分かりやすいのは、ヘッドバンギング(首を縦に振る動作)のリズム取りで、首が勝手に動いてしまうリフこそ、そのまま「良いリフ」の証だ。

代表アーティスト

  • Black Sabbathイギリス · 1968年〜2017
  • Iron Maidenイギリス · 1975年〜
  • Metallicaアメリカ合衆国 · 1981年〜

代表曲

日本との関係

1980年代、Loudness(ラウドネス)が日本人として初めて全米メジャー(Atlantic)と契約し、80年代の日本のメタル・シーンを代表した。Anthem、X JAPAN、聖飢魔II、SEX MACHINEGUNS、BABYMETALまで、独自の系譜が続く。BABYMETALは「アイドル×メタル」の組み合わせを2010年代に世界で成立させた稀有な例で、メタルというジャンルのジェンダー観を更新したと評価されることがある。

初めて聴くなら

原型を1曲なら、Black Sabbath『Paranoid』(1970)。3分の短さに「メタルとは何か」が全部入っている。スラッシュの最高峰なら、Metallica『Master of Puppets』(1986)。表題曲は8分を超える大作で、緻密に組み上げた構成が圧巻だ。日本のメタルなら、X JAPAN『Silent Jealousy』(1991)。クラシックの荘厳な様式とメタルの疾走感が、一曲のなかで同居する。

豆知識

Black Sabbathのギタリスト、トニー・アイオミは、板金工場の事故で右手の指先2本を失った。痛みを和らげるため弦を緩く張り、軽い弦に替えたところ、あの低く重い音が生まれた――事故がジャンルの音を作ったとも言える逸話だ。なお「ヘヴィー・メタル」という言葉が音楽の文脈で広まったきっかけのひとつは、1968年のSteppenwolf『Born to Be Wild』の歌詞「heavy metal thunder」だとされる(ジャンル名としての定着には1970年代の音楽評論の役割が大きく、語源には他説もある)。

影響・派生で結ばれたジャンル

ヘヴィメタルを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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イギリス · 1970年前後 (±25年)