エレクトロニック

フリー・インプロヴィゼーション

Free Improvisation

ロンドン / イギリス / 西ヨーロッパ · 1965年〜

別名: Free Improv

1960年代後半にUK/欧州で成立した、Free Jazzから派生しジャンル/フォルム/和声規則を全て放棄した即興音楽。

どんな音か

フリー・インプロヴィゼーションは、曲、コード進行、決まった拍を前提にしない即興音楽。サックスの息だけの音、ギターの弦をこする音、打楽器の金属音、電子ノイズが、会話のように出入りする。音が少ない時間も多く、沈黙が演奏の一部になる。AMMの録音では、誰が主旋律を担当しているかという聴き方が通用せず、場全体がゆっくり変形する。

生まれた背景

1960年代後半のイギリスと欧州で、フリージャズ、現代音楽、電子音楽、美術のパフォーマンスが近づくなかで成立した。Derek BaileyやEvan Parkerは、ジャズの即興から出発しながら、定型的なブルース感やスウィングを離れて、音そのものの反応を追った。譜面の再現でもセッションのソロ回しでもない、演奏者同士の判断がそのまま形になる音楽である。

聴きどころ

メロディを探し続けると疲れるので、音の距離を聴くとよい。ある楽器が短く鳴ったあと、別の楽器が応えるのか、無視するのか、空白を置くのか。大きい音より小さい擦過音、息、倍音の変化に焦点を合わせると、演奏者の反応速度が分かる。録音の部屋鳴りも重要だ。

発展

Incusレーベル(Derek Bailey/Evan Parker主宰)を中心にシーン化。後の Onkyokei、Reductionism、EAI(エレクトロアコースティック・インプロヴィゼーション)に接続。

出来事

  • 1965: AMM結成 / 1968: AMM『AMMMusic』 / 1980: Bailey『Improvisation』(著書)

派生・影響

Onkyokei、Reductionism、EAI、Lowercase。

音楽的特徴

楽器可変(ギター、サックス、打楽器、電子楽器)

リズムテンポフリー、構造を持たない即興

代表アーティスト

  • Derek Baileyイギリス · 1963年〜2005
  • AMMイギリス · 1965年〜
  • Evan Parkerイギリス · 1965年〜
  • 大友良英日本 · 1979年〜
  • Burkhard Beinsドイツ · 1995年〜

代表曲

日本との関係

日本では大友良英、灰野敬二、即興演奏のライブハウス文化、ノイズやオンキョー(音響)の文脈で受け止められてきた。商業的な大流行ではないが、東京や関西の小規模会場では、海外演奏家との交流も多い。聴衆も静かに音の発生を見守るような独特の空気を共有する。

初めて聴くなら

集団即興の入口には「AMMMusic — AMM (1968)」。ギターの即興語法を知るなら「Improvisation — Derek Bailey (1980)」。サックスの息と循環呼吸の密度を聴くなら「Topography of the Lungs — Evan Parker (1970)」がよい。

豆知識

Freeという言葉は、何をしてもよいという軽さより、あらかじめ決めた支えを外す緊張を含んでいる。演奏者は自由に弾くのではなく、他人の音、部屋、偶然のノイズに細かく反応し続ける。

影響・派生で結ばれたジャンル

フリー・インプロヴィゼーションを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イギリス · 1965年前後 (±25年)

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