ナイジェリア
Nigeria
サブサハラ・アフリカ
ウィズキッド(Wizkid)の「Essence」が米ビルボードに居座り、バーナ・ボーイ(Burna Boy)がスタジアムを満員にする——数年前なら考えられなかった光景だ。ナイジェリア勢が米英のチャートに載るのは、もはや特別なことではなく日常になった。その源にあるのがアフロビーツ(アフロビーツ、2010年代に広まったポップの総称)だ。フェラ・クティが1970年代に確立した政治色の濃いアフロビート(アフロビート)とは名前が似ているだけの別物で、こちらは軽快なダンスポップを指す。バーナ・ボーイやウィズキッドが先頭を切るが、層の厚さこそが強みだ。グラミーを獲ったテムス(Tems)からTikTok発で世界に飛び出したレマ(Rema)、「Love Nwantiti」がバイラルヒットしたCKayまで、世代もルートも違う顔ぶれが次々とチャートに送り込まれる。アフリカ発のポップがここまで広く世界の主流に届いた例は、歴史的にもなかった。
自国アーティストの人気曲
- Who's Dat Girl — Ayra Starr & Rema · 2025
Ayra StarrとRemaの共演ヒット。「誰だあの女は」と街で見かけた女性への興味を歌う、ダンスホール融合系。MV視聴数3000万超。
- Last Last — Burna Boy · 2022
アフロビーツ世界化の象徴的1曲。「last last we go dey alright(最終的に、俺たちは大丈夫さ)」と苦境からの回復を歌う。Toni Braxton『He Wasn't Man Enough』をサンプリング。
Last last, na everybody go chop breakfast(ナイジェリア・ピジン英語)最終的には、誰だっていつかは失恋する。— 『breakfast』はナイジェリア俗語で「失恋」。
- Calm Down — Rema · 2022
Remaの世界的ヒット。リミックスにSelena Gomezが参加して米Billboard Hot 100で3位に。アフロビーツのグローバル化を象徴する曲。
海外アーティストの人気曲
世代・地域・経済による違い
ラゴスなど都市部の若い世代がよく聴くのは、アフロビーツにアフロスウィング(アフロスウィング)やアマピアノ(アマピアノ、南アフリカ発のダンスサウンド)を混ぜた音楽だ。地方や宗教コミュニティでは、ハイライフ(ハイライフ、ガーナで生まれナイジェリアでも発展した古典的ポピュラー音楽)、ゴスペル、ヨルバ(Yoruba)の伝統音楽がいまも根強い。イボ(Igbo、東部)、ヨルバ(西部)、ハウサ(Hausa、北部)の各言語圏は、共通のアフロビーツを土台にしつつ、それぞれの民俗音楽を礎にした並行シーンを保つ。たとえば北部ハウサ語圏では、インド映画の影響を受けた歌物の映画産業カンナイウッド(Kannywood)が独自に栄えるなど、同じ土台でも地域ごとに別の花が咲く。アーティストが全国区になれるかどうかは、いまもラゴスのライブ会場で決まる。
