Gファンク
1990年代の西海岸Hip Hopを象徴する、Funkサンプルとシンセを多用したスタイル。
どんな音か
Gファンクの「G」はGangsta(ギャングスタ)の頭文字。音の核はP-Funk(ジョージ・クリントンのParlament/Funkadelicなど)から大量にサンプリングしたシンセの音色で、キーボードかシンセが低くゆったりしたメロディラインを奏でる。ドラムはスローに落とした808のキックと太いスネアで、BPMは80〜95程度——ヒップホップとしてかなりゆっくり。その上にDogg Pound流の引き伸ばした発音のラップが乗る。特徴的なのはシンセウィスパー(高い倍音を持つ細い音色)がメロディを彩る点で、Dr. Dreの「Nuthin' but a 'G' Thang」(1992)のイントロ数秒で即座に分かる。全体の空気は「西海岸の午後」——焦らず、暴力性と開放感が同居する。
生まれた背景
聴きどころ
「Nuthin' but a 'G' Thang」(1992)のイントロで鳴るシンセの音色と、スローに落とした808ドラムの関係を最初に聴いてほしい。続けてWarren Gの「Regulate」(1994)では同じFunkサンプルの構造(マイケル・マクドナルドの「I Keep Forgettin'」がベース)がどう変形されているかが分かる。ラップの声の乗せ方が「急かさない」ことも意識してみると、スタイルの核心に触れられる。
代表アーティスト
- Dr. Dre
- 2Pac
- Warren G
- Snoop Dogg
代表曲
- Nuthin' but a 'G' Thang — Dr. Dre (1992)
- Gin and Juice — Snoop Dogg (1993)
- California Love — 2Pac (1995)
- Regulate — Warren G (1994)
- Still D.R.E. — Dr. Dre (1999)
日本との関係
初めて聴くなら
昼間ドライブしながら聴くなら、Warren Gの「Regulate」(1994)が最初の1曲として最高にハマる。夜に静かに聴くなら、Dr. Dreの「Still D.R.E.」(1999)——『2001』収録で、ピアノのリフとともに時代が凝縮されている。
豆知識
Gファンクのシンセ音色の多くは、実はヤマハのDX7やRoland系のFMシンセではなく、Akai MPCでサンプリングしたP-Funkのレコード音源をピッチ変換したものだ。Dr. Dreは「サンプルをそのまま使うのではなく、演奏し直して隙間を埋める」手法を取っており、著作権問題を避けながらFunkのグルーヴを再現していた。
