NZインディー
Fat Freddy's Drop、Kimbra、Lorde、Marlon Williams、Beneeが並走する、2000年代以降のNZインディー/オルタナの総体。
どんな音か
NZインディーは2000年代以降、Split EnzやShihadのようなロック・バンド以外の枠組みで作られたNZのオルタナ音楽の総体だ。中心はウェリントンのFat Freddy's Drop(2000年結成の7人組、ダブ/ソウル/ジャズ/レゲエ)、オークランドのThe Naked and Famous(2007結成、シンセ・ポップ)、Marlon Williams(2010年代のカントリー/フォーク・SSW)、Lorde(2013年『Royals』で16歳全米1位)、Kimbra(Gotye客演で世界的認知)、そしてBenee(2019『Supalonely』でTikTokヒット)といった、ジャンルは違うが「NZの外部視点で作られた洗練されたポップ」で括られる作家群だ。編成はソロSSWからバンド、電子音楽プロデューサーまで多様で、共通するのは「大国のポップの記号を借りずに自前で作る」自意識だ。
生まれた背景
起点は2000年結成のウェリントンのFat Freddy's Dropで、2005年『Based on a True Story』が全豪1位、全NZ1位、以降ジャム・バンド式のライブで欧州フェス回路を掌握した。2007年オークランド結成のThe Naked and Famousは2010年『Passive Me, Aggressive You』(『Young Blood』収録)で世界に届いた。Kimbra(1990ハミルトン生)は2011年『Vows』でソロを開始、同年Gotyeの『Somebody That I Used to Know』ゲスト参加でグラミー2部門を獲得した。2013年、16歳のLordeが『Royals』で全米1位を7週間維持し、ミニマル・シンセ・ポップの潮流を作った。
聴きどころ
Fat Freddy's Drop『Hope』(2005)を聴くと、7人編成のバンドが同じ小節を繰り返しながら、ホーンセクションとダブ・エフェクトの位相をゆっくりずらしていく「時間の伸縮」が体感できる。1曲が10-15分に及ぶことも珍しくない。Lorde『Royals』(2013)の伴奏はほぼキックとフィンガー・スナップとシンセの3層だけで、この極端なミニマリズムが2010年代ポップ全体を書き換えた。Marlon Williams『Nobody Gets What They Want Anymore』(2018)の低音バリトンはロイ・オービソン系の朗々とした歌唱で、これが同世代のインディー作家群の中で異彩を放つ。
発展
2013年、オークランドのエラ・イェリッチ=オコナー(当時16歳)がLordeとして『Royals』を発表、全米1位を7週間維持し、ミニマル・シンセ・ポップの潮流を作った。翌年グラミー最優秀楽曲賞受賞、17歳での受賞は史上最年少級だった。同時期にAldous Harding(リッテルトン)、Marlon Williams(クライストチャーチ)がフォーク/カントリー側のSSWとして海外評価を確立、2019年オークランドのBenee(ステラ・ベネット)が『Supalonely』でTikTokヒットを飛ばし、Z世代のNZポップを更新した。TEEKS(テ・カウティタ・ラヒ、2018年『First Time』)はマオリ系ソウル・シンガーとして次世代の顔。
出来事
- 2000: Fat Freddy's Drop結成
- 2005: 『Based on a True Story』全NZ1位
- 2011: Kimbra + Gotye『Somebody That I Used to Know』
- 2013: Lorde『Royals』全米1位
- 2019: Benee『Supalonely』
派生・影響
kiwi-rockからの独立的な派生、indie-pop、chamber pop、future-bassと重なる。Fat Freddy's Dropはpacific-reggaeとも強く重なる。
音楽的特徴
楽器ソロ・アコギから7人編成のダブ・バンドまで多様、シンセ、ドラム・マシン、ホーンセクション、時にマオリ語詠唱と伝統楽器プレテレ
リズムFat Freddy's Dropの60-90BPMダブ、Lordeの70-90BPMミニマル・シンセポップ、Marlon Williamsの60-100BPMカントリー・バラード
代表アーティスト
- Fat Freddy's Drop
- The Naked and Famous
- Kimbra
- Lorde
- Marlon Williams
- TEEKS
- Benee
代表曲・古典
Hope — Fat Freddy's Drop (2005)
Wandering Eye — Fat Freddy's Drop (2005)
Young Blood — The Naked and Famous (2010)
Royals — Lorde (2013)
代表曲・現在
Cameo Lover — Kimbra (2011)
Settle Down — Kimbra (2011)
Green Light — Lorde (2017)
Beautiful Dress — Marlon Williams (2018)
First Time — TEEKS (2018)
Nobody Gets What They Want Anymore — Marlon Williams (2018)
Glitter — Benee (2019)
Supalonely — Benee (2019)
Solar Power — Lorde (2021)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
Lorde(本名エラ・マリヤ・ラニ・イェリッチ=オコナー)は2013年『Royals』でグラミー最優秀楽曲賞を17歳で受賞、当時の受賞者中最年少級となった。彼女はオークランド郊外の中流家庭出身で、母フィオナは詩人、その影響で歌詞は独特の詩的抽象度を持つ。Marlon WilliamsはNgāi Tahu(ンガーイ・タフ)とNgāti Ruapani(ンガーティ・ルアパニ)系マオリで、俳優としてはブラッドリー・クーパー監督『アリー/スター誕生』(2018)にウェディング・バンド歌手役、ジャスティン・カーゼル監督『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』(2019)に出演している。Fat Freddy's Dropはウェリントンの深夜ジャムセッションから育ち、バンド名は元メンバーが「デッド」に酔って倒れた話に由来する(彼はFat Freddyという通称だった)。
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 伝統・民族アイランド・レゲエ
