太平洋レゲエ
Herbs(1979)からKatchafire、Six60、Sons of Zionまで、NZ/フィジー/サモア/トンガのPasifikaコミュニティが育てたルーツ・レゲエ。
どんな音か
太平洋レゲエは1979年オークランド結成のHerbs以降、NZのPasifika(サモア、トンガ、クック諸島、ニウエ、フィジー、マオリ)コミュニティが育てたルーツ・レゲエとレゲエ・ポップの総体を指す。ジャマイカのルーツ・レゲエ(70年代Bob Marley、Culture、Burning Spearら)を直接の祖とし、そこにPasifika特有の合唱コーラス、マオリ語やサモア語のフレーズ、太平洋の島々の生活感覚を織り込む。編成はギター2本+ベース+ドラム+キーボード+ホーンセクション+ボーカル多重コーラスが典型で、Katchafireのようにトゥアレグ的なワンドロップ・リズムを厳格に守るバンドと、Six60のようにR&B/ポップ寄りに広げるバンドがある。
生まれた背景
決定打は1979年オークランド結成のHerbsで、サモア/クック諸島/マオリ系メンバーによる多人数編成、1981年アルバム『What's Be Happen?』所収の『French Letter』はムルロア環礁でのフランス核実験に抗議したプロテスト・ソングとして、NZだけでなく南太平洋全域で歌われた。彼らのアイデンティティ核はDawn Raid事件(1974-76年のPasifikaへの警察による深夜家宅捜索)後の Pasifika民権運動と直結している。1997年結成のハミルトンのKatchafire(マオリ系のRawiri家兄弟中心)は2003年『Revival』でルーツ・レゲエへの原理主義的忠実さを保ち、以降20年にわたりNZレゲエ最重要バンドとなった。
聴きどころ
発展
2008年ダニーデン結成のSix60(ダニーデンのオタゴ大学在学中にメンバーが住んでいたCastle Street 660番地から命名、Matiu Walters中心)はレゲエ/ソウル/R&Bを融合して2011年『Don't Forget Your Roots』でNZ最速のダイヤモンド認定を獲得、2019年イーデン・パーク・スタジアム(NZ最大)を単独ソールドアウト(4万人動員)、NZ史上最大の単独公演となった。同時期にStan Walker(マオリ系、2009年オーストラリアン・アイドル優勝)、Sons of Zion、TrinityRoots、House of Shemがシーンを厚くした。Fat Freddy's Dropは直接レゲエとは名乗らないが、この系譜の隣人として存在する。
出来事
- 1979: Herbs結成
- 1981: Herbs『French Letter』核実験反対
- 1997: Katchafire結成
- 2008: Six60結成
- 2011: 『Don't Forget Your Roots』
- 2019: Six60イーデン・パーク4万人公演
派生・影響
reggaeの直接の子孫、island-reggaeとの兄弟関係、maori-waiataとの浸透。ハワイのjawaiian、フィジーのvude、サモアのpese系伝統音楽ともコード進行を共有する。
音楽的特徴
楽器エレキギター、エレキベース、ドラム(ワンドロップ)、キーボード/オルガン、ホーンセクション、時にウクレレ、パラソウルとサモアの木製ドラム
リズムジャマイカ由来のワンドロップ4/4、時に4ビートのステッパーズ、Six60はR&B寄りの90BPMミドル
代表アーティスト
- Herbs
- Katchafire
- Fat Freddy's Drop
- Sons of Zion
- Stan Walker
- TEEKS
代表曲・古典
E Papa Waiari — Herbs (1981)
French Letter — Herbs (1981)
Collie Herb Man — Katchafire (2003)
Get Away — Katchafire (2003)
代表曲・現在
Now And Days — Sons of Zion (2016)
Rise — Six60 (2019)
Aotearoa — Stan Walker (2020)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
Herbsの『French Letter』は1985年グリーンピース所有のRainbow Warrior号がフランス秘密諜報部により爆破されたRainbow Warrior事件(1名死亡)より4年前の1981年発表で、Pasifikaが核実験問題を音楽で提起した最初の重要曲だった。Six60のバンド名はメンバーがオタゴ大学(ダニーデン)在学時に住んでいた学生寮Castle Street 660番地に由来する。オークランドは以降の活動拠点であり、結成地ではない。2019年のイーデン・パーク公演(4万人動員)はNZ史上最大の単独公演となり、翌年発表のライブ盤『Six60 Live at Eden Park』は全NZ1位を獲得した。
