アイランド・レゲエ
ニュージーランド・サモア・トンガ・ハワイの太平洋諸島系コミュニティ発のレゲエ・ポップ。Six60、Stan Walker、Common Kingsら。
まずはここから
ひとことで言うとニュージーランド・サモア・トンガ・ハワイの太平洋諸島系コミュニティ発のレゲエ・ポップ。Six60、Stan Walker、Common Kingsら。
まずはこの曲からSix60 — Don't Forget Your Roots ▶ YouTube
代表的な人J Boog
どんな音か
アイランド・レゲエは、太平洋諸島(ハワイ、サモア、フィジー、トンガ、クック諸島、マオリ・NZ)の民族的アイデンティティを核にしたレゲエ音楽の総称で、直接の祖はジャマイカのルーツ・レゲエ(70年代Bob Marley、Culture、Burning Spearら)だが、そこにPasifika特有のハーモニー・コーラス、アイランド生活の光景、マオリ語/サモア語/ハワイ語のフレーズを織り込む。核心にはNZのHerbs、Katchafire、Six60、そしてハワイ系のジャワイアン(Jawaiian、ハワイのレゲエ)、米国西海岸のPasifikaディアスポラのCommon KingsやJ Boogが含まれる。編成はエレキギター2本+ベース+ドラム+キーボード+ホーンセクション+ボーカル多重コーラス、時にウクレレやパフパフを加える。
聴きどころ
Herbs『French Letter』を聴くと、5-6人のボーカルが同時に和声で歌うPasifika特有の合唱密度に驚くはずだ。Bob Marleyのようなアイソレイテッドなリード・ボーカル型とは対照的に、島の伝統歌唱の集団歌唱パターンがそのままレゲエに移植されている。Katchafire『Get Away』はドラムのシャッフルとベースのライン取りがジャマイカ本国のバンドと並べても遜色ない緻密さを持つ。Six60『Don't Forget Your Roots』はマオリ語のフレーズを英語歌詞に自然に混ぜており、これが2010年代のPasifika R&Bレゲエの完成形だ。ハワイ側のBraddah IZは4弦ウクレレの独特な音色が、レゲエというよりハワイアン・ソウルに近い柔らかさを生む。
初めて聴くなら
代表アーティスト
- J Boog
- Six60
- Common Kings
代表曲
- Six60 — Don't Forget Your Roots (2011)
- J Boog — Let's Do It Again (2011)
- Common Kings — Wade in Your Water (2013)
生まれた背景
起点は1979年オークランド結成のHerbsで、彼らはサモア/クック諸島/マオリ系メンバーによる多人数編成で、1981年『What's Be Happen?』所収の『French Letter』はムルロア環礁でのフランス核実験に抗議した太平洋規模のプロテスト・ソングだった。この時期のPasifikaコミュニティは、1974-76年のDawn Raid事件(NZ政府がPasifika住民に対して行った深夜家宅捜索)後の民権運動高揚期にあり、レゲエはジャマイカのラスタファリ運動と同型の「Pasifika民族的自覚」の音楽言語となった。
続きを読む
ハワイ側ではKa'au Crater BoysとBraddah IZ(1959-1997)がジャワイアンの型を作り、1997年IZの『Somewhere Over the Rainbow / What a Wonderful World』が没後世界的ヒットとなった。
日本との関係
豆知識
Braddah IZ(本名イスラエル Kamakawiwo'ole、1959-1997)はハワイ系Pasifika音楽の最重要人物で、生涯を通じて肥満と糖尿病に苦しみ、38歳で死去した。彼の死後、ハワイ州は州旗を半旗にし、遺体は22時間州議会議事堂に安置され、10万人以上が最後の別れをした。
続きを読む
1993年録音の『Somewhere Over the Rainbow / What a Wonderful World』は、CDリリースが1996年、TVドラマ『ER』での使用が2001年、映画『50回目のファースト・キス』(2004)、『ハワイアン・ドリーム』(2011)と、彼の死後にじわじわと世界的ヒットとなった稀有な例だ。Herbsの『French Letter』の歌詞「Have some sensitivity to what we're feeling」は、1985年のRainbow Warrior爆破事件を予言した曲として、後に再評価された。
影響・派生で結ばれたジャンル
系譜図を見る
感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
アイランド・レゲエが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
