伝統・民族

アイランド・レゲエ

Island Reggae / Pasifika Pop

ニュージーランド / オセアニア · 2000年〜

ニュージーランド・サモア・トンガ・ハワイの太平洋諸島系コミュニティ発のレゲエ・ポップ。Six60、Stan Walker、Common Kingsら。

どんな音か

ハワイ、ニュージーランド、サモア、トンガ、フィジーなど太平洋諸島系コミュニティ発のレゲエポップ。テンポは70〜95BPMで、ジャマイカン・レゲエの「ワン・ドロップ」リズム(2拍目と4拍目を強調する独特のドラムパターン)を基本にしつつ、ハワイのスチール・ギターやアコースティック・ギター、サモアのウクレレ、ポリネシアン・ハーモニー(複数人で重ねる甘いコーラス)を加える。歌は柔らかく、英語+マオリ/サモア/トンガ語のフレーズが混じる。録音は明るく、潮風と日光を思わせる広いリヴァーブ感が特徴。

生まれた背景

1970年代、ジャマイカのレゲエが太平洋を渡り、先住民音楽との親和性の高さからハワイやニュージーランドに根付いた。マオリのHerbs(1979年結成)、サモア系のFiji(ハワイ拠点)、トンガ系のポリネシアン・コーラス文化が下敷きにある。2000年代以降、SoundCloudとYouTubeの普及で、ニュージーランドのSix60、ハワイのJ Boog、カリフォルニアのCommon Kings、トンガ/サモア系のStan Walkerらが台頭。先住民の権利運動、移民コミュニティの結束、家族(aiga)の価値観が歌詞の中核にある。

聴きどころ

聴きどころはまず、ジャマイカン・レゲエより明らかに柔らかいドラムのアタック。スネアの音が丸く、ハイハットの刻みも穏やか。ポリネシアン・ハーモニーは、ゴスペル合唱ともジャマイカン・レゲエとも違う、3度・5度を重ねた甘い和音で、サビが家族の合唱のように響くのが特徴。Six60の『Don't Forget Your Roots』のようにマオリの伝統旋律を匂わせる曲、Common Kingsの『Wade in Your Water』のように完全にポップ寄りの曲、と幅も広い。

代表アーティスト

  • J Boogアメリカ合衆国 · 2007年〜
  • Six60ニュージーランド · 2008年〜
  • Common Kingsアメリカ合衆国 · 2011年〜

代表曲

日本との関係

ハワイ文化が日本で長年人気だった影響で、ハワイ系のJawaiian レゲエ(ハワイ+ジャマイカン)は日本のサーフ/カフェ系プレイリストで定番化している。J Boogの『Let's Do It Again』はハワイ系ショップやサーフブランドのBGMでおなじみ。Six60は2018年に日本公演を行い、ニュージーランド観光局のキャンペーンでも使われた。日本のレゲエ・シーン(横浜・湘南)との親和性は高く、PUSHIMやMINMIなどのジャパニーズ・レゲエ・アーティストと共通する空気感を持つ。

初めて聴くなら

最初の一曲はSix60の『Don't Forget Your Roots』。マオリ語フレーズを織り込んだフックと、太平洋の潮風を思わせる広いコーラスが、アイランド・レゲエの核を一発で伝える。次にCommon Kingsの『Wade in Your Water』はポップ寄りで聴きやすく、J Boogの『Let's Do It Again』はハワイ・サイドの王道。Stan Walkerの『I AM』はゴスペル的な迫力もある。海辺のドライブ、夕方のテラス、夏のBBQ、要するに「外で日に焼けながら聴く」音楽。

豆知識

ニュージーランドのSix60はオークランド大学の学生寮の住所「660 Castle Street」から名前を取った。アイランド・レゲエオーストラリアのバイロンベイ、米カリフォルニアのサーフタウン、日本の湘南/沖縄、と「夏の海岸沿い」のローカル文化に同時多発的に根付いた珍しい音楽で、ジャマイカ本国よりもむしろ周辺地域での生命力が強いジャンルとも言える。ハワイ語の「アロハ(aloha)」やマオリ語の「キアオラ(kia ora)」が歌詞に紛れ込み、太平洋諸島の言語的多様性をそのまま音楽に持ち込んでいる点も、他のレゲエ系ジャンルにはない個性。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1950年代1960年代2000年代アイランド・レゲエアイランド・レゲエポップポップレゲエレゲエ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
アイランド・レゲエを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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