ダブ
1970年代のジャマイカで成立した、Reggaeのリズムトラックをエフェクトで再構築する音楽。
どんな音か
レゲエの楽曲を、ミキシング・コンソールを楽器のように扱って再構築した音楽。元の歌をほぼ取り除き、ベースとドラムを主役に据え、リバーブ(残響)とディレイ(山びこ)を浴びせる。ヴォーカルやギターは突然出現して突然消える。BPMは70〜90のゆったり。録音技術自体が作曲行為になる、という発想がジャンルの中心。空間が音の主成分になる。
生まれた背景
1968〜72年、ジャマイカのキング・タビー(エンジニアのオズボーン・ラドック)とリー・ペリー(プロデューサー)が、レゲエの45回転シングルB面に「楽器バージョン」(ヴォーカル抜き)を入れる慣習から発展させた。当初はDJがマイクで即興ラップ(「toasting」)を乗せるための土台だったが、ミキシングそのものが芸術として独立した。1970年代後半にイギリスに渡り、ポストパンク(The Slits、PIL)に強い影響を与え、1980年代以降はマッシヴ・アタック、トリッキーらの「ブリストル・サウンド」、エイドリアン・シャーウッド(On-U Sound)、現在のEDM全般のミキシング哲学につながった。
聴きどころ
音が突然消えて、エコーだけが残る瞬間(「dub spaces」)。ベースとドラムだけになった時の空間の広さ。曲のなかでミキサー卓のフェーダー(音量つまみ)が動くのが聴き分けられる。同じ曲の「ボーカル・バージョン」と「ダブ・バージョン」を続けて聴くと、何が変わったかが分かりやすい。
代表アーティスト
- Lee "Scratch" Perry
- King Tubby
- Augustus Pablo
代表曲
- King Tubby's Special — King Tubby (1973)
- King Tubby Meets Rockers Uptown — King Tubby (1976)
- King Tubby Meets the Rockers Uptown (Pablo) — Augustus Pablo (1976)
- Police and Thieves (dub) — Lee "Scratch" Perry (1976)
- Black Ark in Dub — Lee "Scratch" Perry (1980)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
「Dub」は元々「複製(duplicate)」の略。スタジオで作るアセテート盤(1点物の試聴盤)を「dub plate」と呼んだのが語源。リー・ペリーは自身のスタジオ「Black Ark」(1973〜79)を最終的に放火して廃業させたが、その理由は「悪霊が住み着いたから」と本人が語っている。
