ラテン・カリブ

ダブ

Dub

ジャマイカ / カリブ海 · 1970年〜

1970年代のジャマイカで成立した、Reggaeのリズムトラックをエフェクトで再構築する音楽。

どんな音か

レゲエの楽曲を、ミキシング・コンソールを楽器のように扱って再構築した音楽。元の歌をほぼ取り除き、ベースとドラムを主役に据え、リバーブ(残響)とディレイ(山びこ)を浴びせる。ヴォーカルやギターは突然出現して突然消える。BPMは70〜90のゆったり。録音技術自体が作曲行為になる、という発想がジャンルの中心。空間が音の主成分になる。

生まれた背景

1968〜72年、ジャマイカのキング・タビー(エンジニアのオズボーン・ラドック)とリー・ペリー(プロデューサー)が、レゲエの45回転シングルB面に「楽器バージョン」(ヴォーカル抜き)を入れる慣習から発展させた。当初はDJがマイクで即興ラップ(「toasting」)を乗せるための土台だったが、ミキシングそのものが芸術として独立した。1970年代後半にイギリスに渡り、ポストパンク(The Slits、PIL)に強い影響を与え、1980年代以降はマッシヴ・アタック、トリッキーらの「ブリストル・サウンド」、エイドリアン・シャーウッド(On-U Sound)、現在のEDM全般のミキシング哲学につながった。

聴きどころ

音が突然消えて、エコーだけが残る瞬間(「dub spaces」)。ベースとドラムだけになった時の空間の広さ。曲のなかでミキサー卓のフェーダー(音量つまみ)が動くのが聴き分けられる。同じ曲の「ボーカル・バージョン」と「ダブ・バージョン」を続けて聴くと、何が変わったかが分かりやすい。

代表アーティスト

  • Lee "Scratch" Perryジャマイカ · 1959年〜2021
  • King Tubbyジャマイカ · 1968年〜1989
  • Augustus Pabloジャマイカ · 1971年〜1999

代表曲

日本との関係

1990年代後半、フィッシュマンズ(『Long Season』『宇宙 日本 世田谷』)、Little Tempo、Mute Beat、こだま和文、ドライ&ヘヴィなど日本のダブ・シーンが世界的にも評価された。最近では特にフィッシュマンズがアメリカ合衆国・ヨーロッパで再発見されている。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、King Tubby & Augustus Pablo『King Tubbys Meets Rockers Uptown』(1976)。ダブの教科書。Lee Perry『Super Ape』(1976)も外せない。日本のものなら、フィッシュマンズ『LONG SEASON』(1996)。

豆知識

「Dub」は元々「複製(duplicate)」の略。スタジオで作るアセテート盤(1点物の試聴盤)を「dub plate」と呼んだのが語源。リー・ペリーは自身のスタジオ「Black Ark」(1973〜79)を最終的に放火して廃業させたが、その理由は「悪霊が住み着いたから」と本人が語っている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1960年代1970年代1980年代1990年代2000年代ダブダブレゲエレゲエダンスホールダンスホールジャングルジャングルダブ・テクノダブ・テクノダブステップダブステップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ダブを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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ジャマイカ · 1970年前後 (±25年)

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