ロック・メタル

クラウトロック

Krautrock

ドイツ / 西ヨーロッパ · 1968〜1979年

別名: Kosmische Musik

1960年代末-70年代の西ドイツで成立した、即興・反復・電子音楽性を特徴とする実験的ロック。

どんな音か

1960年代後半〜70年代の西ドイツで生まれた、英米ロックへの反動として成立した実験的ロック。BPM 100〜130、繰り返しの「モトリック・ビート」(8分音符のキックを延々と続ける)が骨格。シンセサイザー、Moog、メロトロン、エレキ・ピアノ、エレキ・ギター、エレキ・ベース、ドラム。曲尺は5〜25分、即興・反復・展開を重視。歌は少なめ、ドイツ語または英語、淡々とした語り口。録音は当時のスタジオ最先端技術を投入し、ステレオの空間設計が緻密。

生まれた背景

1968〜75年の西ドイツ、特にケルン、デュッセルドルフ、ベルリン。Can(1968結成)、Faust、Neu!、Tangerine Dream、Klaus Schulze、Amon Düül II、Kraftwerk(1970結成)、Popol Vuh、Cluster、Harmoniaなど、各都市で並行発生した。「クラウトロック」(イギリスメディアが付けた、ドイツのザワークラウト=酢漬けキャベツに引っかけた呼称)は当事者には嫌われたが、現代では肯定的に使われる。1970年代後半にKraftwerkがエレクトロニック・ポップ寄りに進化し、世界規模の影響力を持った。Brian Eno、David Bowie、Joy Division、Sonic Youth、現在のElectronic音楽の基盤。

聴きどころ

「モトリック・ビート」(高速8分音符の単調な繰り返し)が時間感覚を変える効果。Neu!の「Hallogallo」、Can『Tago Mago』など。シンセサイザーの音色実験、ステレオの空間配置。ヴォーカルが楽器の一部として扱われる感覚。ドイツ語の歌詞は意味より音響として聴く。

発展

1970年代Neu!のmotorikリズムやKraftwerkの電子音楽探求がIDM/Post-rock/Synthpop全般に深い影響を残した。

出来事

  • 1969: Can『Monster Movie』 / 1972: Neu!『Neu!』 / 1974: Kraftwerk『Autobahn』

派生・影響

Ambient、Synth-pop、Post-rock、Berlin School、IDM。

音楽的特徴

楽器ギター、ベース、ドラム、シンセ、テープ

リズムmotorik(4/4反復)、長尺即興

代表アーティスト

  • Tangerine Dreamドイツ · 1967年〜
  • Canドイツ · 1968年〜1979
  • Neu!ドイツ · 1971年〜1975

代表曲

日本との関係

1970年代の四人囃子、Far East Family Band、Outer Limits、Pageantらが直接の影響を受けた。坂本龍一はYMO以前からKraftwerkを研究、YMO『Solid State Survivor』(1979)はKraftwerkとの並行発生・相互参照。Cornelius、Boris、Acid Mothers Templeなど、日本のオルタナ系シーンにも影響は脈々と継続している。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Can『Tago Mago』(1971)。クラウトロックの教科書。続けて、Neu!『Neu!』(1972)、Kraftwerk『Autobahn』(1974)。シンセ寄りなら、Tangerine Dream『Phaedra』(1974)、Klaus Schulze『Mirage』(1977)。

豆知識

Kraftwerk『Autobahn』(1974)のタイトル曲(22分38秒)はドイツの高速道路を運転する感覚を音響化したもの。当初は理解されなかったが、アメリカ合衆国でラジオ放送(短縮編集版)されて全米Billboard 25位にランクインし、世界的に有名になった。Canのドラマー、ヤキ・リーベツァイト(2017年没)は、自らのドラム哲学を「自己消滅(self-effacement)」と呼び、ドラマーの存在感を最小化することを目指した。

影響・派生で結ばれたジャンル

クラウトロックを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ドイツ · 1968年前後 (±25年)

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