エレクトロニック

シンセウェイヴ

Synthwave

パリ / フランス / 西ヨーロッパ · 2006年〜

別名: Outrun / Retrowave

1980年代の映画/ビデオゲームのアナログシンセ音楽を参照する、2000年代後半以降の電子音楽。

どんな音か

1980年代風シンセサイザー音楽の現代的再構成。BPM 80〜120。ディジタル・シンセ(プロフェット、ジュピター、JX-3P、DX7)、ドラムマシン(LinnDrum、Oberheim DMX)、シンセ・ベース、シンセ・パッド、たまにエレキ・ギター。ヴォーカルはほぼ無し、入っても加工(リバーブ、コーラス、ローパス)が強い。曲尺は4〜7分。歌詞は英語(あれば)、80年代のSF映画、ネオン街、ナイトドライブ、ビデオゲームへのノスタルジア。録音はわざと80年代のアナログ感(VHSのノイズ、テープのヒス)を残す。

生まれた背景

2000年代後半、フランスのKavinsky『Nightcall』(2010、映画『ドライヴ』2011サウンドトラック)が起点。アメリカ合衆国のFM Attack、Mitch Murder、Lazerhawk、The Midnight、FM-84、イギリスのCom Truise、Perturbator(フランスダークシンセ寄り)らが2010〜18年にシーンを形成。映画『ドライヴ』(2011)、ゲーム『Hotline Miami』(2012)、ドラマ『Stranger Things』(2016)で1980年代風サウンドが世界規模で消費され、シンセウェイヴが大ブレイク。ダークシンセシンセウェイヴヴェイパーウェイヴ周辺と境界を行き来する派生も多い。

聴きどころ

シンセサイザーの「キラキラしたアルペジオ」と「うねるサブベース」の対比。ドラムマシン(LinnDrumなど1980年代の機種)の硬質なスネア音色。サイドチェイン処理(キックに合わせて他の音が呼吸する)が現代EDM並みに使われる。1980年代の本物の音楽より「80年代らしさ」を強調した、ノスタルジア商品としての側面も強い。

発展

2010年代を通じてKavinsky、College、Mitch Murder、Lazerhawk、The Midnight、FM-84らが続々登場。2015年以降『Stranger Things』(2016) のSurvive、『Hotline Miami』(2012) サウンドトラックの成功で大衆化し、Darksynth(Carpenter Brut、Perturbator)が派生した。

出来事

  • 2007: Kavinsky『Teddy Boy』 / 2011: 映画『Drive』サントラ / 2012: 『Hotline Miami』 / 2013: Mitch Murder『Current Events』 / 2016: 『Stranger Things』S/Vが80sシンセ復興を後押し

派生・影響

Outrun、Darksynth、Retrowave、Dreamwave、Chillsynthへ分岐。

音楽的特徴

楽器アナログシンセ(Juno、Jupiter)、DX7、リニアドラムマシン、ボコーダー

リズム100-120 BPM、ガテッドリバーブのスネア、四つ打ちまたはエレクトロビート

代表アーティスト

  • Kavinskyフランス · 2006年〜
  • Mitch Murderスウェーデン · 2009年〜
  • Lazerhawkアメリカ合衆国 · 2010年〜
  • Carpenter Brutフランス · 2012年〜
  • Perturbatorフランス · 2012年〜
  • The Midnightアメリカ合衆国 · 2012年〜
  • FM-84イギリス · 2013年〜

代表曲

日本との関係

シンセウェイヴそのものが日本の1980年代シティポップ・テクノを直接の参照点にしている。Anamanaguchi(NY、日本チップチューンに影響された)、tofubeats、Cornelius、Mondo Grosso、Tomggg、TORIENAなどが日本側からの応答とされる。海外シンセウェイヴアーティストも日本のサブカルチャー(アニメ、ビデオゲーム)を直接引用することが多い。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、Kavinsky『Nightcall』(2010)。映画『ドライヴ』のオープニング曲。アルバムなら、The Midnight『Endless Summer』(2016)。攻撃的なら、Perturbator『The Uncanny Valley』(2016)。日本のものなら、tofubeats『lost decade』(2013)。

豆知識

シンセウェイヴ/ヴェイパーウェイヴ周辺の文化は、1980年代を生きていない世代(主に1990年代以降生まれ)が「経験していない80年代」をノスタルジア化する珍しい現象。「シンセウェイヴ」(1986年セガのアーケードゲーム)はジャンルの中心的なビジュアル参照点で、紫とピンクのネオン、グリッドの地平線、椰子の木、フェラーリのシルエットが定型化されている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代2000年代2010年代シンセウェイヴシンセウェイヴシンセポップシンセポップダークシンセダークシンセ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
シンセウェイヴを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

フランス · 2006年前後 (±25年)

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