ポスト・ミニマリズム
1980年代以降、初期ミニマリズムの厳格な還元主義を緩めて感情表出と多様な素材を取り入れた潮流。
どんな音か
ポスト・ミニマリズムは、初期ミニマルの反復を受け継ぎながら、より感情的な和声、物語性、ロックやジャズの影響を取り入れた音楽。John Adamsでは反復する弦や管楽器が大きな波になり、GlassやReichの語法も柔らかく広がる。
生まれた背景
聴きどころ
反復が単なるループではなく、和声の変化やオーケストラの厚みで大きく成長するところを聴く。初期ミニマルよりドラマがあり、クライマックスもはっきりしている作品が多い。
発展
アダムス「Shaker Loops」(1978)、「Harmonielehre」(1985)、「Nixon in China」(1987)、「Doctor Atomic」(2005)が代表作。ライヒ「Different Trains」(1988)、「The Cave」(1993)も後期ミニマリズムから後退した叙情性を示した。世代下のニコ・ミューリー、ブライス・デスナーまで広がる。
出来事
- 1978: アダムス「Shaker Loops」
- 1985: アダムス「Harmonielehre」
- 1987: アダムス「Nixon in China」初演
- 1988: ライヒ「Different Trains」
派生・影響
現代米国オペラ、ハリウッド映画音楽の反復書法、現代器楽曲の調性的書法、TVドラマ音楽(ジョニー・グリーンウッドら)に影響を残している。
音楽的特徴
楽器管弦楽、合唱、室内楽、電子音響
リズム反復、叙情性、調性的書法
代表アーティスト
- スティーヴ・ライヒ
- フィリップ・グラス
- ジョン・アダムス
代表曲
- Glassworks — フィリップ・グラス (1981)
- Harmonielehre — ジョン・アダムス (1985)
- Different Trains — スティーヴ・ライヒ (1988)
- Shaker Loops — ジョン・アダムス (1978)
- Nixon in China — ジョン・アダムス (1987)
日本との関係
日本では現代音楽、映画音楽、ミニマル好きの聴衆に受け入れられている。John Adamsの作品はオーケストラ公演でも取り上げられ、ポストクラシカルを聴く耳とも近い。
初めて聴くなら
入口は「Shaker Loops — ジョン・アダムス (1978)」。大編成の高揚なら「Harmonielehre — ジョン・アダムス (1985)」。ライヒの記憶の音楽として「Different Trains — スティーヴ・ライヒ (1988)」もよい。
豆知識
Post-minimalismは、ミニマルの後というだけでなく、反復を感情や物語に開く方向を示す。聴きやすさと現代性の橋渡しになった。John Adamsの作品では、同じパターンがオーケストラの色彩と和声のうねりで大きなドラマに成長し、初期ミニマルより映画的に聴こえる。 オペラや大編成作品にも向かったことで、反復の技法は実験音楽の枠を越え、現代クラシックの聴きやすい入口にもなった。 反復の心地よさを保ちながら、旋律や和声の変化で聴き手を長い物語へ連れていく点が、初期ミニマルとの違いになる。
