古典

サード・ストリーム

Third Stream

アメリカ合衆国 / 北米 · 1957年〜

1957年ガンサー・シュラーが提唱した、クラシックとジャズを統合する第三の流れ。

どんな音か

サード・ストリームは、クラシックとジャズを統合する第三の流れとして、ガンサー・シュラーが1957年に提唱した概念。ジャズをオーケストラで飾るだけでも、クラシックにスウィングを混ぜるだけでもない。即興、書法、室内楽的な精密さ、ビッグバンドの響きを対等に扱う、新しい作曲実践を目指した。

生まれた背景

1950年代のアメリカ合衆国では、モダンジャズが高度化し、クラシック側でも現代音楽が広がっていた。シュラーはホルン奏者、作曲家、批評家として両方の領域に通じ、ジャンルの階層を越える方法を探った。John Lewis、Modern Jazz Quartet、George Russellらの仕事も、この文脈で重要である。

聴きどころ

ジャズらしいソロだけを待たず、書かれた部分と即興部分がどう接続するかを聴く。弦や木管が室内楽のように絡み、リズム隊がジャズの時間感覚を保ち、ソリストが構造の中で動く。成功作では、クラシックとジャズが交互に出るのではなく、一つの言語として混ざっている。

発展

シュラー「Concertino for Jazz Quartet and Orchestra」(1959)、モダン・ジャズ・カルテット(ジョン・ルイス)の作品、レナード・バーンスタイン、ガーシュウィン以前の試みに連なる。1990年代以降は具体的運動より一般的「クラシック+ジャズ融合」の概念として続く。

出来事

  • 1957: シュラー「Third Stream」用語提唱
  • 1959: シュラー「Concertino for Jazz Quartet and Orchestra」
  • 1971: シュラー、ニューイングランド音楽院サード・ストリーム科設立
  • 1980年代: 概念として一般化

派生・影響

現代のジャズ・オーケストラ作品、クラシック作曲家のジャズ語法(タン・ドゥン、武満徹のジャズ的書法)に影響を残している。

音楽的特徴

楽器ジャズ・コンボ+管弦楽、混合アンサンブル

リズムジャズ的即興+クラシック的構築

代表アーティスト

  • ガンサー・シュラーアメリカ合衆国 · 1950年〜2015

代表曲

  • Transformationガンサー・シュラー (1957)
  • Concertino for Jazz Quartet and Orchestraガンサー・シュラー (1959)
  • Densitiesガンサー・シュラー (1962)
  • Conversationsガンサー・シュラー (1959)
  • Journey into Jazzガンサー・シュラー (1962)

日本との関係

日本ではジャズ喫茶、現代音楽、映画音楽、吹奏楽の文脈でサード・ストリーム的な発想が受け止められてきた。日本の作曲家やジャズ奏者にも、クラシック教育と即興の両方を持つ人は多い。サード・ストリームという名称を使わなくても、室内楽的ジャズやオーケストラ・ジャズの理解に役立つ。

初めて聴くなら

入口は「Concertino for Jazz Quartet and Orchestra — ガンサー・シュラー (1959)」。ジャズ・カルテットと管弦楽の関係が分かりやすい。続けて「Transformation — ガンサー・シュラー (1957)」で初期の理念を、「Conversations — ガンサー・シュラー (1959)」で対話としての構成を聴くとよい。

豆知識

シュラーはサード・ストリームを、二つのジャンルの中間物としてではなく、第三の独立した流れとして考えた。つまり妥協案ではなく、クラシックの作曲技術とジャズの即興性を同じ高さで扱うための名前だった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1950年代1970年代サード・ストリームサード・ストリームポスト・ミニマリズムポスト・ミニマリズム凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
サード・ストリームを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1957年前後 (±25年)

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