ロック・メタル

マスロック

Math Rock

アメリカ合衆国 / 北米 · 1991年〜

1990年代前半に成立した、変拍子・複雑なリズムとアルペジオ志向のギターを特徴とするインディロック。

どんな音か

ロックの編成で、複雑な変拍子(7/8、9/16、11/8など)、不協和音、ポリリズム(複数のリズムの同時進行)を多用したスタイル。BPM 100〜180。エレキギター(クリーン中心、タッピングやテンション・コードを多用)、エレキベース、ドラム(変拍子に対応した複雑なパターン)。歌は無いか、あっても歌い上げず語りに近い。曲尺は3〜7分、変拍子の中で構造が頻繁に切り替わる。録音はクリアで各楽器の細部まで聴こえる、ライブ感を残す作り。

生まれた背景

1990年代前半のアメリカ合衆国シカゴ、Tortoise、Sleeping People、後にBattles、Hella、Don Caballero、Slintらがマス・ロックを確立。同時期にイギリスのFoals(初期)、日本のtoe(2000結成)、LITE、tricot、最近はBlack カントリー, New Roadなど世界中で派生。2000年代以降、エモポストロックとの融合(American Football、TTNG、Maps & Atlases)、ポストハードコアとの融合(Don Caballero、Battles)など、サブジャンルが多数。

聴きどころ

変拍子: 普通の4/4拍子の感覚で聴くと「ずれている」と感じる瞬間。実は8拍子の曲が7+1や5+3に分割されている、または11/16拍子のような変則的な配置。ギターのタッピング(右手で弦を叩く奏法)、ベースとギターのカウンターポイント(別々のリズムで動く)。ドラムが変拍子の中で安定する技術。

発展

2000年代Battlesが国際的に成功、日本のtoe/tricotが新たな波を生んだ。Polyrhythm重視・ヴォーカル省略の傾向が強い。

出来事

  • 1991: Slint『Spiderland』 / 1995: Don Caballero『2』 / 2007: Battles『Mirrored』 / 2009: toe『For Long Tomorrow』

派生・影響

Post-rock、Emo、Post-hardcore、Midwest emo。

音楽的特徴

楽器クリーンギター、ベース、ドラム

リズム変拍子、ポリリズム、タッピング

代表アーティスト

  • Slintアメリカ合衆国 · 1986年〜1991
  • Tortoiseアメリカ合衆国 · 1990年〜
  • Don Caballeroアメリカ合衆国 · 1991年〜
  • American Footballアメリカ合衆国 · 1997年〜
  • toe日本 · 2000年〜
  • Battlesアメリカ合衆国 · 2002年〜
  • LITE日本 · 2003年〜
  • tricot日本 · 2010年〜

代表曲

日本との関係

日本のマス・ロック・シーンは世界的にも極めて層が厚い。toe(東京、2000結成)、tricot(京都、女性3人組+ドラム)、LITE、Mouse on the Keys、a crowd of rebellion、Lego Big Mouth、HERE。toeは欧米ツアーを継続的に行い、世界的にも高評価。tricotは「世界で最も技巧的な女性ロックバンド」として欧米でも人気。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Don Caballero『Don Caballero 2』(1995)。マス・ロックの教科書。Battles『Mirrored』(2007)、American Football『American Football』(1999)。日本のものなら、toe『For Long Tomorrow』(2009)、tricot『THE』(2017)。

豆知識

マスロック」という言葉は、1990年代前半にシカゴの音楽シーンで「ロックなのに数学的に複雑」という意味で付けられた。当事者(Don Caballeroら)はあまりこの呼称を好まなかった。Battlesのドラマー、ジョン・スタニアは、両足で交互にバスドラムを叩く独特のスタイルで知られ、ロック・ドラムの常識を更新した。

影響・派生で結ばれたジャンル

マスロックを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1991年前後 (±25年)

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