マスロック
1990年代前半に成立した、変拍子・複雑なリズムとアルペジオ志向のギターを特徴とするインディロック。
どんな音か
ロックの編成で、複雑な変拍子(7/8、9/16、11/8など)、不協和音、ポリリズム(複数のリズムの同時進行)を多用したスタイル。BPM 100〜180。エレキギター(クリーン中心、タッピングやテンション・コードを多用)、エレキベース、ドラム(変拍子に対応した複雑なパターン)。歌は無いか、あっても歌い上げず語りに近い。曲尺は3〜7分、変拍子の中で構造が頻繁に切り替わる。録音はクリアで各楽器の細部まで聴こえる、ライブ感を残す作り。
生まれた背景
聴きどころ
変拍子: 普通の4/4拍子の感覚で聴くと「ずれている」と感じる瞬間。実は8拍子の曲が7+1や5+3に分割されている、または11/16拍子のような変則的な配置。ギターのタッピング(右手で弦を叩く奏法)、ベースとギターのカウンターポイント(別々のリズムで動く)。ドラムが変拍子の中で安定する技術。
発展
2000年代Battlesが国際的に成功、日本のtoe/tricotが新たな波を生んだ。Polyrhythm重視・ヴォーカル省略の傾向が強い。
出来事
- 1991: Slint『Spiderland』 / 1995: Don Caballero『2』 / 2007: Battles『Mirrored』 / 2009: toe『For Long Tomorrow』
派生・影響
Post-rock、Emo、Post-hardcore、Midwest emo。
音楽的特徴
楽器クリーンギター、ベース、ドラム
リズム変拍子、ポリリズム、タッピング
代表アーティスト
- Slint
- Tortoise
- Don Caballero
- American Football
- toe
- Battles
- LITE
- tricot
代表曲
- Good Morning Captain — Slint (1991)
- For Respect — Don Caballero (1993)
- Atlas — Battles (2007)
For Carlos — Don Caballero (1995)
Atomic Number — Battles (2011)
日本との関係
日本のマス・ロック・シーンは世界的にも極めて層が厚い。toe(東京、2000結成)、tricot(京都、女性3人組+ドラム)、LITE、Mouse on the Keys、a crowd of rebellion、Lego Big Mouth、HERE。toeは欧米ツアーを継続的に行い、世界的にも高評価。tricotは「世界で最も技巧的な女性ロックバンド」として欧米でも人気。
初めて聴くなら
1枚だけ聴くなら、Don Caballero『Don Caballero 2』(1995)。マス・ロックの教科書。Battles『Mirrored』(2007)、American Football『American Football』(1999)。日本のものなら、toe『For Long Tomorrow』(2009)、tricot『THE』(2017)。
