ロック・メタル

スクリーモ

Screamo

サンディエゴ / アメリカ合衆国 / 北米 · 1991年〜

別名: Skramz

1990年代カリフォルニアで成立した、Emoから派生した攻撃的・スクリーム多用のサブジャンル。

どんな音か

スクリーモのギターは歪んでいるが、ヘヴィメタルほど低音を強調しない。弦を細かく刻むトレモロ奏法や、不協和なコードを突然鳴らす「ブラスト」が多用される。ドラムはハードコア的な速さで叩かれることもあれば、突然静止して声だけになることもある。声は「叫ぶ」というより「破れる」に近く、音程よりも感情の圧力を優先する。曲は短い——多くが2〜4分——が、その中で静と動が何度も切り替わる。サエティア(Saetia)の録音はドラムの音が小さく、ギターと声が異常に前に出た音像で、音楽よりも感情の断片を集めたような質感がある。

生まれた背景

スクリーモは1991〜92年頃、カリフォルニア州サンディエゴとサンフランシスコのアンダーグラウンドシーンで発生した。エモ(Emo)が感傷的な歌詞とクリーンボイスを特徴としていたのに対し、スクリーモはより攻撃的なヴォーカルと非線形的な曲構造を選んだ。ジャスパー(Heroin)、パーラメント・オブ・オウルズなどのバンドが初期のスタイルを定め、サエティアやInjury、Neil Perryが1990年代後半に洗練させた。2000年代にMySpaceでファンが増えたが、ヘヴィロック系「スクリーモ」(ホークス・オブ・ファイアなど)との混同が起きて用語が揺らいでいる。

聴きどころ

「Venus and Bacchus — Saetia (1999)」では最初の静寂からギターが割り込む瞬間のコントラストに注意する。その後、静と爆発が何回繰り返されるかを数えると曲の構造が見えてくる。「A warm room — envy (2006)」ではスクリームの間に歌われるクリーンボイスとの対比に耳を向ける。声が破れるとき、歌詞の言葉が分からなくても何かが伝わると感じる人が多い。

発展

2000年代Saetia/Orchid/City of Caterpillarが第二波を形成。日本にもenvy、heaven in her armsが登場した。

出来事

  • 1991: Heroin結成 / 1999: Saetia『Saetia』 / 2002: City of Caterpillar『City of Caterpillar』

派生・影響

Emo、Post-hardcore、Mathcore、Powerviolence。

音楽的特徴

楽器ディストーションギター、ベース、ドラム、シャウト声

リズム可変、急激ダイナミクス、激しいスクリーム

代表アーティスト

  • envy日本 · 1992年〜
  • Saetiaアメリカ合衆国 · 1997年〜1999

代表曲

日本との関係

日本のバンドenvyはスクリーモの文脈で最も国際的に評価された例で、ヨーロッパやアメリカ合衆国のシーンにも深く根を張っている。envy の音楽はスクリーモのコアな攻撃性に叙情性を加えた独自のスタイルで、「Hare Tsuki (2003)」や「A warm room (2006)」は海外の愛好家にも広く知られる。日本では渋谷や新宿のライブハウスが主な発信地だった。

初めて聴くなら

「A warm room — envy (2006)」は静かに始まるため最初のハードルが低い。envy の音楽でスクリーモの感触を掴んだら、「Venus and Bacchus — Saetia (1999)」へ。こちらはより短く、より激しく、より唐突だ。

豆知識

サエティアは1997〜2001年の活動期間中にアルバムを1枚しかリリースせず、音源の多くはシングルやコンピレーション収録だった。解散後に海外からの評価が急増し、ブートレグや非公式リリースが出回ったが、2014年に公式コンピレーションがリリースされた。envy は初期から日本語と英語のどちらでも歌詞を書き、どちらの言語圏でも「言葉が壁にならない」音楽として受け入れられた。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1980年代1990年代スクリーモスクリーモエモエモ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
スクリーモを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1991年前後 (±25年)

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