インディー・フォーク
2000年代後半にFleet Foxes、Bon Iver、Mumford & Sonsらが確立した、伝統フォーク楽器とインディーロックの感性を融合した現代フォーク復興運動。
どんな音か
アコースティック・ギター、バンジョー、マンドリン、フィドル、ピアノ、ヴォーカル(時にハーモニー)が中心。BPM 70〜120、ゆったりした4拍子。エレキ楽器とドラムは控えめで、入っても柔らかい音色。歌は語りに近い親密さ、男性ヴォーカルが多いが女性、男女デュオも目立つ。歌詞は英語、テーマは自然、内省、家族、恋愛、宗教、死。録音はわざとローファイ(部屋鳴り、息遣い、ノイズを残す)で、リスナーが歌い手の隣にいるような距離感を作る。
生まれた背景
2000年代後半の米国西海岸とロンドン。Bon Iver『For Emma, Forever Ago』(2007、ジャスティン・ヴァーノンがウィスコンシンの山小屋で1人で録音)、Fleet Foxes『Fleet Foxes』(2008)、Sufjan Stevensの一連の作品、Mumford & Sons『Sigh No More』(2009)が世界規模で広がり、リーマン・ショック後の不安と「自然回帰」の感性が結合した。2010年代を通じてThe Lumineers、Iron & Wine、Beirut、Of Monsters and Men、Sufjan Stevens、最近はBig Thief、Phoebe Bridgers、Adrianne Lenkerまで継続。
聴きどころ
ヴォーカルのハーモニー(2〜4声の重なり)。Bon Iverのファルセット(裏声)。Fleet Foxesの森に響くようなリバーブ。録音の親密さ(息遣いやノイズが聴こえる)。アコースティック・ギターのフィンガー・ピッキングのパターン。歌詞は文学的で、何度も聴くほど発見がある。
発展
2010-2014年に商業的ピークを迎え、Mumford & Sonsのスタジアム規模成功でメインストリーム化した。
音楽的特徴
楽器アコースティック・ギター、バンジョー、マンドリン、ヴァイオリン
リズム中速、4/4、コーラス重視
代表アーティスト
- Sufjan Stevens
- Fleet Foxes
- Bon Iver
- Mumford & Sons
代表曲
- Chicago — Sufjan Stevens (2005)
- Skinny Love — Bon Iver (2007)
- White Winter Hymnal — Fleet Foxes (2008)
- Little Lion Man — Mumford & Sons (2009)
- Holocene — Bon Iver (2011)
- I Will Wait — Mumford & Sons (2012)
日本との関係
日本ではフジロックのGreen Stage、サマソニのGRASS STAGEを通じて欧米のインディー・フォークが受容された。Bon Iver、Sufjan Stevensの来日公演はフェス常連。日本人のインディー・フォーク系ではPredawn、青葉市子、王舟、Lampなど、世界的にも評価される存在がある。
初めて聴くなら
1枚だけ聴くなら、Bon Iver『For Emma, Forever Ago』(2007)。インディー・フォークの起点。Fleet Foxes『Fleet Foxes』(2008)、Sufjan Stevens『Carrie & Lowell』(2015)、Phoebe Bridgers『Punisher』(2020)、Big Thief『Two Hands』(2019)。
豆知識
Bon Iverのアルバム名「For Emma, Forever Ago」は、ジャスティン・ヴァーノンが当時の彼女Emmaに捧げた愛と別れの記録。録音は2006〜07年の冬、彼が父親の山小屋(ウィスコンシン州北部、人里離れた森)に1人でこもって行った。1曲あたり録音費数百ドルで作ったアルバムが世界で100万枚以上売れた、インディー伝説の典型例。
