アイリッシュ・ロック
Van Morrison、Thin Lizzy、U2の系譜で世界市場に届いた、アイルランド発ロックの総体。
まずはここから
ひとことで言うとVan Morrison、Thin Lizzy、U2の系譜で世界市場に届いた、アイルランド発ロックの総体。
まずはこの曲からVan Morrison — Brown Eyed Girl ▶ YouTube
代表的な人Van Morrison
どんな音か
アイリッシュ・ロックは、地理的にはアイルランド共和国と北アイルランドの両方から、音楽的にはR&B(Van Morrison)、ハードロック(Thin Lizzy)、パンク/ニューウェイヴ(The Boomtown Rats)、アンセミック・スタジアム・ロック(U2)、ブルース(Rory Gallagher)まで幅広く含む「アイルランド出身のロック」の総体を指す。共通項があるとすれば、ケルト的な旋律感覚、口承バラッドの語りの残響、そして「島から出て世界と対峙する」自意識の三つで、これは同時期のイギリスロックにもアメリカ合衆国ロックにもない独特の緊張を生む。多くのアイリッシュ・ロック曲が5〜6分と長尺で、サビの繰り返しが「アリーナで合唱される」ことを前提に書かれている点も特徴的だ。
聴きどころ
Van Morrisonの『Madame George』(『Astral Weeks』所収)を聴くと、ロックとジャズとシャン=ノース朗詠が同居する瞬間があり、これがアイリッシュ・ロックの隠れた原型だ。Thin Lizzyの『The Boys Are Back in Town』のツイン・リード・ギターは、実はアイリッシュ・トラッドのフィドルの二重奏を電化した構造で、二本のギターが3度で重なる箇所を意識して聴くと出自が見える。U2の『Sunday Bloody Sunday』(1983)は北アイルランド紛争の1972年血の日曜日事件を主題にしており、エッジのディレイ・ギターとラリーの軍隊風スネアが政治的緊張を音にしている。Hozierの低音ボーカルには、シャン=ノースの朗詠的な語尾処理が残っている。
初めて聴くなら
入り口はU2の『With or Without You』(1987)、エッジのディレイ・ギターと歌の抑制されたクレッシェンドがアイリッシュ・ロックのアンセム型の完成形だ。Van Morrisonなら『Moondance』(1970)、彼の入り口として最もポップに聴きやすい。Thin Lizzyは『The Boys Are Back in Town』(1976)、Rory Gallagherは『Shadow Play』(1978)。最新世代ならHozier『Take Me to Church』(2013)とFontaines D.C.『Starburster』(2024)。夜のドライブ、あるいはヘッドホンで歌詞を追いながら、が向いている。
代表アーティスト
- Van Morrison
- Rory Gallagher
- Thin Lizzy
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- The Boomtown Rats
- U2
- Hozier
- Fontaines D.C.
代表曲
- Van Morrison — Brown Eyed Girl (1967)
- Van Morrison — Astral Weeks (1968)
- Van Morrison — Moondance (1970)
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- Thin Lizzy — Whiskey in the Jar (1972)
- Thin Lizzy — Jailbreak (1976)
- Thin Lizzy — The Boys Are Back in Town (1976)
- The Boomtown Rats — Rat Trap (1978)
- Rory Gallagher — Shadow Play (1978)
- Rory Gallagher — Bad Penny (1979)
- The Boomtown Rats — I Don't Like Mondays (1979)
- U2 — Sunday Bloody Sunday (1983)
- U2 — With or Without You (1987)
- U2 — One (1991)
- U2 — Vertigo (2004)
生まれた背景
音楽的特徴の詳細
楽器エレキギター、ベース、ドラム、ボーカル、キーボード、ハーモニカ、時にフィドルやホイッスル
リズムスタンダードなロック4/4、時にジグ由来の6/8跳ね、パワー・バラッドの3拍子
発展
同じ島の北側から、1971年結成のRory Gallagher(バリシャノン生、独奏ブルース・ギタリストとして活動)、1990年代のThe CranberriesやAsh、2000年代のSnow PatrolやThe Frames、そして2010年代後半以降のHozier、Fontaines D.C.、Villagers、The Murder Capital、CMATが続く。Hozierの『Take Me to Church』(2013)は世界10億再生を超え、Fontaines D.C.は2024年『Romance』でグラミー・ノミネートを獲得した。
出来事
- 1968: Van Morrison『Astral Weeks』
- 1972: Thin Lizzy『Whiskey in the Jar』英6位
- 1978: Boomtown Rats『Rat Trap』英1位
- 1987: U2『The Joshua Tree』
- 2013: Hozier『Take Me to Church』
派生・影響
Celtic RockとCeltic Punkの直接の親戚で、Horslipsのようにトラッドと融合した系譜と、U2のようにトラッドから離れた系譜がこの中で分岐する。
その後の代表曲
- Hozier — Take Me to Church (2013)
- Fontaines D.C. — Boys in the Better Land (2018)
- Fontaines D.C. — Starburster (2024)
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- Hozier — Too Sweet (2024)
日本との関係
U2の日本公演は日本のロック史の一里塚で、1983年武道館、1993年『Zoo TV』ツアー東京ドーム、2006年ドーム公演と、世代ごとに象徴的イベントを残してきた。Van MorrisonとThin Lizzyは日本のロック好きの間で「渋いところを聴く」対象として長年愛好され、フィル・ライノットは日本のハード・ロック好きから根強い支持がある。Hozierは2019年に来日し東京・大阪で単独公演、2024年『Too Sweet』のヒットで一気に若年層の認知が上がった。Fontaines D.C.は2023年フジロック出演以降、日本のインディー・シーンで最も注目されるアイルランド・バンドとなっている。
豆知識
U2のBonoの本名はPaul Hewsonで、10代の頃に近所のBono Vox(良い声、の意)という補聴器店の看板を仲間があだ名にしたのが由来だ。エッジ(The Edge、本名David Evans)は英エセックス州(現グレーター・ロンドン)Barking生まれのウェールズ系で、実はアイルランド生まれではない。
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Thin Lizzyのフィル・ライノットはアフロ・アイリッシュ(母アイルランド人、父はガイアナ(旧英領ギアナ)出身の船員Cecil Parris)で、1970年代のアイルランドで数少ない黒人ロック・スターだったが、1986年に薬物中毒で36歳で亡くなった。彼の等身大の銅像はGrafton Streetから路地を入ったHarry Streetに立っており、いまも待ち合わせ場所として使われている。Rory Gallagherのトレードマークの色褪せた1961年製フェンダー・ストラトキャスターは、1963年に彼が2番目のオーナーとして購入した個体で、雨の中でライブをした結果ラッカー塗装が剥がれたと伝えられる。
影響・派生で結ばれたジャンル
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