アイリッシュ・フォーク・リバイバル
1960-70年代、伝統歌謡と器楽を舞台音楽として再構築した世代。
まずはここから
ひとことで言うと1960-70年代、伝統歌謡と器楽を舞台音楽として再構築した世代。
まずはこの曲からThe Dubliners — Seven Drunken Nights ▶ YouTube
代表的な人The Dubliners
どんな音か
アイリッシュ・フォーク・リバイバルは、家庭のセッションと農村のパブに眠っていたアイルランド語と英語のバラッド、ジグ、リールを、コンサートホールとレコード盤で聴かせる舞台音楽として再構築した1960-70年代のムーブメントを指す。The Chieftainsが器楽アンサンブルの型を作り、The Dublinersが酒場歌をアリーナ級の音楽に翻訳し、Planxtyがブズーキ(ギリシャの八弦楽器)をアイリッシュに導入して和声感を刷新し、Bothy Bandが疾走感のあるダンス・チューンで型を完成させた。編成はフィドル、ホイッスル、パイプ、ボタン・アコーディオン、ブズーキ、ギター、そしてボーカルによる集団合唱で、無伴奏歌唱と器楽セットを一枚のアルバムに同居させる構成が定着した。
聴きどころ
The Dublinersのしわがれ声のロニー・ドリューと、それに対抗する高音のルーク・ケリーという二枚看板の対比を聴いてほしい。ドリューがしゃがれた語りで酒場歌を歌い、ケリーが澄み切ったテナーで政治バラッドを担当する、その役割分担が集団歌唱の緊張を作る。Planxtyの1972年のセルフ・タイトルド盤ではDónal Lunnyのブズーキが際立ち、それまでのアイリッシュ・トラッドになかった和声のドローン感を持ち込んでいる。Bothy Bandのライブ盤を聴くと、Paddy Keenanのイリアン・パイプが常軌を逸した速度で鳴り続ける瞬間があり、これがロック世代のリスナーを一気に引き込んだ。
初めて聴くなら
最初の一枚はThe Dublinersの『A Drop of the Hard Stuff』(1967)。『Seven Drunken Nights』を含み、パブ・バラッドを商業レコードに翻訳した記念碑的作品だ。次にPlanxty『Cold Blow and the Rainy Night』(1974)、Liam O'Flynnのイリアン・パイプとAndy Irvineのマンドリンが完璧に噛み合った瞬間が味わえる。Christy Mooreの『Ordinary Man』(1985)は、彼のソロ活動の頂点で、政治バラッドとラブソングが交互に配置された聴きやすい入門盤だ。最新世代を知りたければLankumの『False Lankum』(2023)、伝統素材が現代の実験音楽になる過程が聴ける。
代表アーティスト
- The Dubliners
- Paul Brady
- Liam O'Flynn
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- Christy Moore
- Clannad
- Paddy Keenan
- De Dannan
- The Bothy Band
- Lankum
代表曲
- The Dubliners — Seven Drunken Nights (1967)
- The Dubliners — Whiskey in the Jar (1967)
- The Dubliners — Raglan Road (1971)
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- The Bothy Band — The Kesh Jig / Give Us a Drink of Water / The Famous Ballymote (1975)
- Paul Brady — Arthur McBride (1976)
- Clannad — Dúlamán (1976)
- The Bothy Band — The Blackbird (1976)
- De Dannan — My Irish Molly O (1980)
- Clannad — Theme from Harry's Game (1982)
- Christy Moore — Ride On (1984)
- Christy Moore — Ordinary Man (1985)
- Paul Brady — The Island (1985)
生まれた背景
契機は1951年のComhaltas Ceoltóirí Éireann(伝統音楽保存協会)創設と、1960年代前半にダブリンのMerrion Row沿いのO'Donoghue's Pubで日常的に行われた集団セッションだった。The Dublinersはここで生まれ、続いてChristy Moore、Andy Irvine、Dónal Lunny、Liam O'Flynnが結集したPlanxtyが1972年にデビュー、Bothy Bandが1975年に続いた。
音楽的特徴の詳細
楽器フィドル、イリアン・パイプス、ティン・ホイッスル、ブズーキ、ボタン・アコーディオン、コンサーティーナ、ボーラン、ギター
リズムジグ(6/8)、リール(4/4)、ホーンパイプ(4/4)、スロー・エア(自由リズム)を一組にする「セット」形式
発展
Clannadは1976年『Dúlamán』でアイルランド語アルバムを商業的成功に導き、1982年の『Theme from Harry's Game』でシンセ入りのアンビエントなケルト音を世界に届けた。De Dannanは1975年結成のギャルウェイ拠点バンドで、Dolores Keaneや後のMary Blackを輩出した。Paul Bradyは1976年のAndy Irvineとの共演盤『Andy Irvine/Paul Brady』でアイリッシュ英語バラッドの決定版を残した。
出来事
- 1962: The Chieftains結成
- 1962: The Dublinersが7 Drunken Nightsで英BBC放送禁止
- 1972: Planxtyデビュー
- 1975: Bothy Band結成
- 1985: Christy Moore『Ordinary Man』
派生・影響
リバダンス(1994)以降の舞台ケルト、Celtic Woman以降の輸出型ケルト・ポップ、そして2020年代のLankumやThe Mary Wallopersによる暗黒ドローン・トラッドまで、直系の子孫を持つ。米国のケルト・パンクは、この世代の英語バラッドを最も熱心に消化した外部集団だった。
その後の代表曲
- Lankum — The Wild Rover (2019)
- Lankum — Go Dig My Grave (2023)
日本との関係
豆知識
The Dublinersの『Seven Drunken Nights』(1967)は、下ネタを含む歌詞のためBBCラジオで放送禁止になったが、それがかえって話題を呼び英チャート7位のヒットとなった。Planxtyのブズーキ導入は偶然の産物で、Andy Irvineがバルカン半島を旅した1965〜68年にブルガリアで購入した楽器を持ち帰ったのが起点だった。
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Bothy Bandは1979年に空中分解しているが、メンバーはその後Moving Hearts、Patrick Street、Kate Bushのバックバンドなどに散り、現代アイルランド伝統音楽のほぼ全ての系譜に繋がっている。
影響・派生で結ばれたジャンル
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