ブルーグラス・ゴスペル
ブルーグラスの楽器編成と高音ハーモニーで歌われる、白人福音音楽様式。
どんな音か
ブルーグラス・ゴスペルは、バンジョー、マンドリン、フィドル、ギターの速い弦の響きに、高く澄んだハーモニーで信仰を歌う音楽。ソロ歌唱より家族や仲間で声を重ねる感覚が強く、The Stanley Brothersの歌では、山あいの教会や葬送の静けさが近くに感じられる。楽器は軽快でも、歌詞には死後の再会、救い、旅路の寂しさが多い。
生まれた背景
聴きどころ
声の重なりと、楽器の細かい刻みの対比を聴くとよい。バンジョーやマンドリンが速く動いても、歌はまっすぐ言葉を届ける。特にテナーの高い声が上に乗る瞬間、祈りと山の空気が一緒に立ち上がる。速い曲より遅いゴスペルでハーモニーの切実さがよく分かる。
発展
1950-60年代のスタンレー・ブラザーズ『Angel Band』など多数の名演を経て、1970年代以降はドック・ワトソン、リカルド・スコッグスらでフォーク観客にも広まった。コーエン兄弟映画『オー・ブラザー!』(2000)サウンドトラックで世界的に再注目された。
出来事
- 1947: ビル・モンロー『Wicked Path of Sin』録音
- 1966: スタンレー・ブラザーズ『Cry from the Cross』
- 2000: 『オー・ブラザー!』サウンドトラックで国際的人気
派生・影響
現代Americana、Newgrass、ロック~ゴスペル融合(ライ・クーダー、エミルー・ハリス)、Christian Bluegrassに連続する。
音楽的特徴
楽器マンドリン、バンジョー、フィドル、ギター、コントラバス、声(三~四声)
リズム速いブレイクダウン拍、ハイ・テナー、モーダル和声
代表アーティスト
- The Stanley Brothers
代表曲
- Angel Band — The Stanley Brothers (1955)
- How Mountain Girls Can Love — The Stanley Brothers (1958)
- I'll Fly Away — The Stanley Brothers (1962)
- Rank Stranger — The Stanley Brothers (1960)
- Wayfaring Stranger — The Stanley Brothers (1960)
日本との関係
初めて聴くなら
入口は「Angel Band — The Stanley Brothers (1955)」。別れと救いの感覚がまっすぐ伝わる。より寂しさが深い曲なら「Rank Stranger — The Stanley Brothers (1960)」。よく知られた讃美歌として「I'll Fly Away — The Stanley Brothers (1962)」も聴きやすい。
豆知識
ブルーグラス・ゴスペルでは、演奏の技巧より声の誠実さが強く聴かれることがある。高速のソロを誇るブルーグラスの中で、ゴスペル曲はバンドの信仰、家族性、共同体の記憶を示す場にもなる。
