讃美歌
プロテスタント諸派を中心に発達した、有節形式の英語・各国語讃美歌の総合伝統。
どんな音か
有節形式の歌詞を持つ讃美歌。メロディは親しみやすく、同じフレーズが複数回反復されることで、歌い手・聴き手の記憶に定着しやすい。リズムは規則的な4拍子が基本で、装飾音は最小限。複数のボーカリストが、ユニゾンもしくはハーモニーで歌われることが多い。オルガンやピアノの伴奏が標準で、その和声は古典的である。歌詞は英語もしくは各国の言語で、神への祈り、感謝、願いが中心。
生まれた背景
聴きどころ
メロディの単純さと、それがもたらす記憶性。オルガンやピアノの伴奏のニュアンス。複数のボーカリストのハーモニー。歌詞の内容と音楽表現の一致。宗教的な厳粛さと、親しみやすさのバランス。
発展
19-20世紀には『Hymns Ancient and Modern』『The English Hymnal』など決定版讃美歌集が編纂された。ファニー・クロスビーら米国の盲目作詞家が福音歌(Gospel hymn)を発展させ、ムーディ&サンキーの伝道運動と結びついて新世界讃美歌が花開いた。20世紀後半は新作讃美歌(Hymn Explosion)とエキュメニカル化が進んだ。
出来事
- 1707: アイザック・ウォッツ『Hymns and Spiritual Songs』刊行
- 1779: ジョン・ニュートン『Amazing Grace』作詞
- 1861: 『Hymns Ancient and Modern』初版
- 1875: ムーディ&サンキー、福音讃美歌運動を本格化
派生・影響
Black Gospel・Country Gospel・CCM・Praise & Worshipなど現代キリスト教大衆音楽全般の祖型。讃美歌『Amazing Grace』はフォーク・ソウル・ロック等で広く歌われる。
音楽的特徴
楽器会衆斉唱、オルガン、ピアノ、合唱
リズム有節形式、共通韻律、四声和声、覚えやすい旋律
代表アーティスト
- Choir of King's College, Cambridge
- The Tabernacle Choir at Temple Square
代表曲
- Amazing Grace
- Holy, Holy, Holy — The Tabernacle Choir at Temple Square
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
『Amazing Grace』は 1779 年に作詞されたもので、作詞者のジョン・ニュートンは元々は奴隷商人だった。改心後に神学者となり、この讃美歌が自らの精神的救済の体験を表現している。その後数百年を経ても、この歌詞と旋律が宗教的背景を超えて愛され続けているのは、普遍的な人間の願いが込められているからだと考えられる。
